8月18日にスタートした第18回アジア競技大会(インドネシア・ジャカルタ)が9月2日に幕を閉じた。日本代表選手団は205個(金75、銀56、銅74)を獲得した。メダル獲得数は中国の289個(金132、銀92、銅65)に次ぐ全体2位。前回の韓国・インチョン大会で獲得した201個(金47、銀77、銅77)を上回った。ホスト国のインドネシアは98個(金31、銀24、銅43)で全体4位。競泳で6冠を成し遂げた池江璃花子がMVPを獲得した。次回は2022年に中国・杭州で開催される。

 

 45カ国・地域から約1万1000人が参加したアジア大会。夏のジャカルタを舞台に、4年に1度の“アジアのオリンピック”で日本は躍動した。競技によっては主力を欠いて臨んだチームもあったが、75個の金メダルは歴代2位の獲得数だ。

 

 勢いを付けたのはトビウオジャパン(競泳日本代表)だ。メダル総数は中国を2個上回る52個(金19、銀20、銅13)。日本選手団が獲得したメダルの4分の1を稼いだ。中でも池江は国内での勢いそのままに多種目に渡って大活躍。出場8種目というタフな日程をこなし、日本選手1大会最多の6種目で金メダルを手にしたのだ。日本勢では4人目、女子としては初のMVP受賞である。男子の小関也朱篤は平泳ぎ3冠、女子の鈴木聡美は平泳ぎ2冠と個人種目で力を発揮した。

 

 競泳と並ぶお家芸のひとつ柔道も9種目で金メダルを獲得。特に女子は7種目中6種目を制覇である。9月の世界選手権控えた選手は出場しなかったのにも関わらず、圧倒的な成績を収めた。一方で男子体操、女子レスリングは無冠に終わった。男子体操は柔道と同じように世界選手権のメンバーは今回帯同していない。世界選手権でもライバルとなる中国に後塵を拝したかたちだ。レスリングは一部世界選手権にも出場する選手がエントリーしたが、表彰台の頂点には立てなかった。

 

 陸上は4×100mリレー、競歩という近年好調の種目で金メダルを獲得した。同リレーで1走を務めた山縣亮太が個人種目の100mでは銅メダル。自己ベストに並ぶ10秒00をマークするなど日本選手団の主将として存在感を示した。男子50kmはエースの荒井広宙が出なかったが、勝木隼人が制して層の厚さを見せつけた。陸上日本代表の主将・右代啓祐は十種競技で連覇。男子マラソンでは井上大仁が32年ぶりの金メダルを手にするなど明るい話題が多かった。

 

 チーム種目での活躍も目立った。競泳(女子4×100m、女子4×100mメドレー)、陸上(男子4×100m)、トライアスロン(混合)というリレー種目に加え、多くの団体種目で金メダルを手にした。男女ホッケー、男女フェンシング、女子サッカー、女子バドミントン、女子ソフトボール、柔道混合、女子7人制ラグビー、女子ソフトテニス、馬術などで優勝。フェンシングは男子エペと女子フルーレ、ホッケーは男女で、いずれも初の金メダルを獲得した。

 

 東京オリンピックで採用される種目も実施された。社会人代表で臨んだ野球は韓国に敗れて銀メダルだったものの、ソフトボールは大会5連覇を成し遂げた。空手は型と組手で4種目、ローラースポーツは3種目を制した。スポーツクライミングは女子の野口啓代が優勝、男子の藤井快が準優勝。女子バスケットボール3×3は銀メダルを獲得した。

 

 東京オリンピックへ弾みがついたと言えるだろう。更なるヒーロー、ヒロインの誕生に期待したい。

 

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陸上男子4×100mリレー 山縣亮太 2014年6月掲載『星に願いを』前編後編

陸上男子十種競技 右代啓祐 2014年7月掲載『星に願いを』前編後編
              2014年12月掲載『リオの風』第1回

 

陸上男子マラソン 井上大仁 2018年3月16日掲載 アジア大会マラソン代表発表会見記事

バドミントン女子団体 松友美佐紀 2013年3月掲載『FORZA SHIKOKU』第1回第2回第3回最終回

競泳女子50m、100m平泳ぎ、女子4×100mメドレーリレー 鈴木聡美 2015年2月掲載『リオの風』第3回

トライアスロン混合リレー 佐藤優香 2015年4月掲載『リオの風』第5回

柔道女子70kg級、混合団体 新添左季 2017年10月掲載『スポーツ11ガイド』全日本学生柔道体重別選手権特集