29日、J1第5節が各地で行われ、日立柏サッカー場では柏レイソルと大宮アルディージャが2対2で引き分けた。試合は序盤からボールを支配した柏が前半27分、DF橋本和のゴールで先制した。柏は後半5分にもFW工藤壮人のゴールでリードを広げた。柏リードのまま終盤に突入したものの、大宮も38分、40分とDF高橋祥平がゴールを決めて同点に追いつく。しかし、その後、両チームにゴールは生まれず、勝ち点1を分け合った。

 柏・高山、2アシストも実らず(柏)
柏レイソル 2―2 大宮アルディージャ
【得点】
[柏] 橋本和(27分)、工藤壮人(52分)
[大宮] 高橋祥平(83分、85分)
「負けに等しい試合」
 ミックスゾーンで工藤は厳しい表情でこう語った。柏は残り15分まで完璧に近いかたちで主導権を握っていた。しかし、前線からのプレスの勢いが弱まると、パワープレーに出てきた大宮を抑えきれず。ホームでの今季初勝利を逃した。

 柏はFWレアンドロとMFレアンドロ・ドミンゲスにボールを集ることで前線に起点をつくった。そしてMF高山薫と橋本の両ウィングバックが攻め上がり、サイド攻撃からチャンスを作りだした。21分、高山が右サイドを抜け出し、中央にグラウンダーのクロス。これにファーサイドから飛び込んできたレアンドロが右足で合わせたが、シュートはゴール上に大きく外れた。

 先制点はそんなサイド攻撃から生まれた。27分、左サイドからのフリーキックが、右サイドにこぼれたところに高山が反応。高山が中央に入れたクロスを、橋本が左足で押し込んだ。橋本にとって、26日に誕生した長女に捧げるゴール。直後には、ベンチ前でチームメートとゆりかごパフォーマンスを披露した。

 守っては、前線から素早いプレスをしかけて簡単に大宮に攻撃を組み立てさせない。相手のシュート数をゼロに抑え、リードして試合を折り返した。

 後半立ち上がりには、カウンターから追加点を奪った。決めたのは工藤。L・ドミンゲスがドリブルでPA手前まで持ち込み、スルーパス。反応した高山は、相手DFよりも一瞬早くスライディングで中央へ折り返す。フリーで待ち構えていた工藤が、難なくゴールに流し込んだ。工藤は「アップの時に自分の応援歌を歌ってくれたサポーターに、少しは応えることができた」と開幕戦以来の今季2点目を喜んだ。

 柏はその後もボールを支配して大宮ゴールに迫った。しかし、訪れたチャンスを決めきれず、とどめを刺すことができなかった。

 すると、徐々に全体の運動量が落ち、大宮に押し込まれた。38分、MFチョ・ヨンチョルに左サイドからのクロスを上げられ、ゴール前でFWズラタンにヘディングされる。これを、高橋に押し込まれ、1点差に詰め寄られた。
 40分にも高橋に決められた。またも左サイドからクロスを上げられ、ファーサイドにいたDF菊地光将に胸トラップから右足を振り抜かれた。このシュートを高橋に頭で触られ、ボールをゴール右上に。菊地にボールが渡る前、橋本は目測を誤ってボールに触れなかった。それだけに「自分のミス絡みの失点で追い付かれたので、チャラどころか悔しい気持ちしかない」と唇を噛んだ。

「内容的には良かったが、もちろん良い時間帯で再三作ったチャンスで決めていれば違った結果になっていたとは思う」
 ネルシーニョ監督は、相手にとどめを刺せなかったことを悔やんだ。工藤も「もうひとつ頑張らないといけない時間で頑張れなかった。僕も前線からチェイシングをして、しっかりとプレッシャーをかけていかなければいけなかった部分もある。後ろの選手だけの責任ではない」と課題を口にした。

 それでも、残り15分までの柏のゲーム運びはほぼ完璧だった。指揮官は「今年で一番良いゲームができたと思う」と語り、工藤も「迫力ある攻撃ができた」と収穫を口にした。次戦こそ、クオリティーを90分間維持し、サポーターに勝利を届ける。