6日、明治安田生命J3リーグ(J3)の第5節が各地で行われ、相模原ギオンスタジアムではSC相模原がブラウブリッツ秋田を3対0で下した。相模原は3月に加入した注目の元日本代表FW高原直泰が先発出場。その相模原は前半、ボールを支配し、秋田ゴールに迫った。しかし、高原のシュートがポストを直撃するなど、チャンスを生かせず、無得点で試合を折り返した。後半も相模原が押し込む展開。すると後半28分、高原のアシストからMF菅野哲也が先制点を決め、33分にはDFフェアー・モービーが2点目を奪った。さらに41分、高原がPKを決めてダメを押した。相模原は今季2勝目。次節はアウェーでFC琉球と戦う。

 シュート21本で秋田を圧倒(ギオン)
SC相模原 3−0 ブラウブリッツ秋田
【得点】
[相模原] 菅野哲也(73分)、フェアー・モービー(78分)、高原直泰(86分)
 さすがの一言だった。高原は加入から時間が経っていないにも関わらず、チームの中心としてプレー。内容のみならず、ゴールとアシストという結果も出した。

 相模原は序盤から高いボール支配率を誇り、主導権を握った。その中で高原は前線の収めどころとしてパスを受け、周囲にさばいて攻撃のリズムをつくった。しかし、チームのクロスやシュートの精度が低く、決定機を作りだすには至らない。

 そんな40分、高原がゴール正面、PA手前でパスを受けると、そこから右足を一閃。低くて速いシュートはゴール枠内に飛んだが、左ポストを直撃した。高原はこれがファーストシュート。惜しくも得点にはならなかったものの、あいさつ代わりの一撃でスタジアムを沸かせた。

 雨が降る中で始まった後半も、相模原が押し込む展開となった。
 迎えた28分、相模原に待望の先制点が生まれた。アシストしたのが高原だった。右サイドからのクロスを、高原が頭でファーサイドへ流し、走り込んできていた菅野につなぐ。受けた菅野は右足でゴールにねじ込んだ。
 高原が「ひとつゴールが入って勢いが出た」というとおり、相模原は33分、モービーが追加点。勝ち点3を大きく手繰り寄せた。

 そして、41分、高原が試合を締めくくる。味方がPKを獲得。高原がボールをセットした瞬間、会場から大きな歓声が起こった。
「蹴らしてもらおうかなと思ってボールをとりにいった。そうしたら周りの選手が『タカさん、蹴ってください』と。逆にプレッシャーを感じましたけどね(笑)」
 その時の様子を高原はこう明かした。そして、重圧のかかる中で、しっかりとシュートをゴール左下に決めた。直後、高原は交代でベンチへ。ピッチを退く背番号31に、観客から拍手が送られた。

「今日は高原のところにしっかりボールが集まり、そこが起点となりサイドが出たりサイドバックまでのタメの時間が作れていた」
 木村哲昌監督は上々のデビューを飾ったストライカーに賛辞を惜しまなかった。また、指揮官は「今日の試合で1点入れた後に、一番『ここからだぞ!』と声を出していたのが高原。そこがやはり隙間を作らない、1点を入れた後に油断しないところがしっかり意識を持っている」と語り、高原のメンタリティも称えた。

「自分が彼らに影響を与えていって、より高いところを目指していけるようにやっていければいい。そういうところも含めて自分にオファーを出してくれたと思っている。そういうところを自覚して、選手たちにいい影響をあたえていけるようにやっていきたい」
 高原は最後にこう語った。Jリーグはもちろん、日本代表、海外で勝負してきた男は、他の選手にとって最高の教本だろう。現在、2勝3敗と負け越している相模原。今後は、高原効果で、巻き返しを図る。