北海道胆振東部地震の影響により、7日に札幌ドームで予定されていたチリ代表戦が中止になり、森保ジャパンの初陣は11日に吹田スタジアムで行われたコスタリカ代表戦となりました。結果は3対0の快勝でしたね。

 

 森保一監督はU-21代表監督を兼任しているため、アジア競技大会を戦いながらA代表のメンバー選考をしなければならない難しい状況でした。それでも当然結果は求められる。A代表監督として白星発進できたことはめでたいです。お祝いしたいくらいですよ(笑)。

 

 コスタリカ戦は森保監督の代名詞とも言われている3-4-2-1のフォーメーションではなくオーソドックスな4-4-2でスタートしました。日本人ならばみんな馴染みのあるシステムで、安定感を持たせ、攻守に渡ってコンパクトなサッカーをしたかったのでしょうね。

 

 木の幹と枝葉

 

 センターラインのGK東口順昭、センターバックに槙野智章、ボランチに青山敏弘、FWに小林悠と国内組のベテランを起用しました。その周辺を若手が動き回る布陣でした。木で言えば幹にあたるところにベテランを配置。そして左右なり、前後なりをMF中島翔哉、MF堂安律、FW南野拓実ら若い選手が枝葉を広げてゴールを目指す動きが多く見えましたね。センターラインの選手たちがしっかりとカバーリングできていたからこそ、彼らが積極的にドリブルで仕掛けるシーンが多かったのだと思います。

 

 それに加え、あまりポジションチェンジをせずに自分たちの持ち場で各々の能力を発揮していたことも安定して戦えた1つの要因だったと思います。集まってすり合わせる時間も短かったでしょうから、選手の位置を左右入れ替えて相手を混乱させるよりは、ポジションを固定して戦う方が僕も得策だと思いました。

 

 あれだけコスタリカ戦で良い試合をすると、今回招集を見送られたロシアW杯レギュラー組は内心焦っているのではないでしょうか(笑)。世論では次の10月シリーズ(12日、デンカビックスワンスタジアムでパナマ代表戦、16日に埼玉スタジアムでウルグアイ代表戦)で彼らを招集するのでは、と囁かれていますが僕はまだ呼ばなくていいのではないかと思います。できれば次も今回と似たようなメンバーで戦ってほしい。

 

 若い選手には国際試合を経験させることは大切ですし、手応えを感じさせる必要もある。彼らが日の丸を背負ってピッチ上でどれだけ自分を表現できるかを観るのも楽しみじゃないですか。ここでアピールを続ければロシアW杯メンバーもうかうかしていられない。競争の原理を煽ることでさらにポジション争いが白熱しそうです。

 

●大野俊三(おおの・しゅんぞう)

<PROFILE> 元プロサッカー選手。1965年3月29日生まれ、千葉県船橋市出身。1983年に市立習志野高校を卒業後、住友金属工業に入社。1992年鹿島アントラーズ設立とともにプロ契約を結び、屈強のディフェンダーとして初期のアントラーズ黄金時代を支えた。京都パープルサンガに移籍したのち96年末に現役引退。その後の2年間を同クラブの指導スタッフ、普及スタッフとして過ごす。現在、鹿島ハイツスポーツプラザの総支配人としてソフト、ハード両面でのスポーツ拠点作りに励む傍ら、サッカー教室やTV解説等で多忙な日々を過ごしている。93年Jリーグベストイレブン、元日本代表。

*ZAGUEIRO(ザゲイロ)…ポルトガル語でディフェンダーの意。このコラムでは現役時代、センターバックとして最終ラインに強固な壁を作った大野氏が独自の視点でサッカー界の森羅万象について語ります。


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