今シーズン、J1で首位に勝ち点差4の7位(4月21日現在)につけているアルビレックス新潟。会長を務める池田弘は“地域密着”というJリーグの理念を実現した経営者である。かつて“サッカー不毛の地”と呼ばれた新潟を本拠地にするアルビレックスが、2003年から3年連続でJリーグ年間観客最多動員数を記録するまでになったことは広く知られている。アルビレックスをJ屈指の観客動員を誇るチームに育てた池田に、二宮清純がインタビュー。新潟、そしてアルビレックスへの思いを訊いた。
二宮: アルビレックスの試合は年間どれぐらいご覧になるんですか?
池田: 今はほとんどホームだけですね。最初の7年ぐらいはほぼ全部。アウェイも観に行きました。J1に昇格するか、しないかぐらいの時は心臓に悪かった(笑)。私の方も気持ちが入っていましたからね。人前じゃ泣いたことはないんですが、昇格が決まった時はボロボロ泣きましたね。2部落ちしなかった時もジワッときましたね。

二宮: もちろんJリーグの優勝が一番の目標でしょう。まずはJ1で3位以内に入るか、天皇杯で優勝してAFCアジアチャンピオンズリーグ(ACL)出場ですか?
池田: そうですね。チャンスがあればチャーター機を飛ばしてアウェイ戦にも行きたいですね。昨シーズンのリーグ戦を前期、後期に分ければ、後期は1位でした。前後期であればACLに行けるチャンスもありましたね。

二宮: 池田さんがアルビレックスに関わるきっかけは?
池田: それはまちづくりですね。私は宮司なので、この町を幸せにするにはどうしたらいいかというテーマでやっている。実業団スポーツでも、学校スポーツでもない地域スポーツの在り方にJリーグという概念がものすごくピッタリと合ったんです。ヨーロッパでは、いい意味で地域と地域の戦いですよね。それで世界中から来て、考え方が違っても、ハイタッチして抱き合うことができるのがスポーツ。スポーツの持つ力って、それだけすごいものだと思うんです。

二宮: 池田さんが目指すのは、スポーツを通じての地域貢献ということですね。
池田: 本当の人間の幸せって、やっぱりファミリーであったり、地域であったりに仲間がいて、その時に楽しく生きられる地域をつくることだと思うんです。その点でスポーツは、ものすごく大きな役割をしているんじゃないでしょうか。

二宮: アルビレックス新潟の試合には、多くの老若男女が訪れます。
池田: スポーツはすごい力を持っている。私はスポーツを応援していて、ひしひしと感じます。皆さんにも本音で笑い、本音で泣くということを、スポーツを通して感じて欲しかった。

二宮: サッカーの試合などのスポーツの大会は、いわば地域の“お祭り”ですもんね。
池田: そうですね。チームが成功するのはお祭りの原型と一緒ですよね。お祭りは寄付をして、なおかつお金を払って、みんなで盛り上がって楽しんでいるじゃないですか。そこはやっぱりすごく大事なことだと思いますね。

<現在発売中の小学館『ビッグコミックオリジナル』(5月5日号)に池田会長のインタビュー記事が掲載されています。こちらもぜひご覧ください>