セ・リーグのクライマックスシリーズ(CS)・ファーストステージ第2戦が14日、神宮球場で行われ、巨人が東京ヤクルトを4対0で下した。巨人は2回に長野久義のホームランで先制。4回にはケーシー・マギー、亀井善行にも一発が飛び出した。投げては先発の菅野智之がヒットを1本も許さず、シャットアウト勝ち。巨人は連勝でリーグ優勝の広島が待つファイナルステージへと駒を進めた。

 

◇ファーストステージ第2戦
 菅野、与四球1のみ。CS初のノーヒットノーラン(巨人2勝 神宮)
巨人     4 = 010|300|000
東京ヤクルト 0 = 000|000|000
勝利投手 菅野(1勝0敗)
敗戦投手 原(0勝1敗)
本塁打  (巨)長野1号ソロ、マギー1号ソロ、亀井1号2ラン

 

 エースの快投で巨人がファイナルステージ進出を手繰り寄せた。

 

「1人で投げ切ってください」。前夜のヒーローの言葉が現実のものとなった。好リリーフでチームを救った上原浩治がエールを送った相手は、この日の先発のマウンドに上がった菅野にだ。最多勝、最優秀防御率、最多奪三振と投手3冠を達成した29歳。40年ぶりのシーズン8完封を挙げるなど沢村賞が有力な菅野が、その言葉に応えるようなピッチングでスコアボードにゼロを重ねた。

 

 3万人を超えるを集めた神宮球場。ヤクルトは大卒3年目の右腕・原樹里がマウンドを送る。原は坂本勇人、田中俊太、マギーから2三振を奪うなど三者凡退でスタート。その裏は菅野が坂口智隆、川端慎吾、山田哲人の3人で終わらせた。

 

 試合が動いたのは2回。巨人打線がエースを早々に援護する。長野がバックスクリーンに先制ホームランを放った。さらに4回には2発が飛び出した。まずは先頭のマギーが初球を左中間にスタンドへ運ぶ。亀井はランナー1人を置いて、ライトスタンドへ叩き込んだ。4点のリードはこの日の菅野は十分すぎた。

 

 菅野はその後も快調なピッチングを続ける。リーグNo.1のチーム打率を誇るヤクルト打線から凡打の山を築く。7回2死で山田にフォアボールを出すまでは圧巻のパーフェクトピッチ。初のランナーを許した後のウラディミール・バレンティンも外の変化球で空振り三振に切って取り、ヤクルトに付け入るスキを与えなかった。

 

 菅野は8回までで106球を投じた。最終回も当然マウンドへ。まずは荒木貴裕をアウトコースの変化球でレフトフライに打ち取る。続く西田明央をライトフライに抑えると、坂口を高めのストレートでセンターフライに仕留めた。3人を7球で料理。最後まで危なげのないエースのピッチングで試合を終わらせた。CSでのノーヒットノーラン達成は初の快挙だ。

 

 一方のヤクルトは8回にセットアッパーの近藤一樹、9回にはクローザーの石山泰雅という連夜の勝ちパターンをつぎ込む。必死の抵抗を見せたが、最後まで打線は湿ったままだった。2戦合計で4安打。青木宣親の不在が響いたのか、山田、バレンティンといった主軸は音なしだった。

 

 17日からの広島とのファイナルステージはリーグ3位の巨人が進む。7勝17敗1分けと大きく負け越したリーグ王者相手に“下剋上”を果たせるか。ファーストステージのように短期決戦で打線がかみ合えば勝機は見えてくる。

 

(文/杉浦泰介)