ニューヨーク・ヤンキースの田中将大が28日、本拠地でのロサンゼルス・エンゼルス戦に先発し、7回途中5安打2失点で勝敗はつかなかった。この日の田中は相手打線にボールを見極められ、5四死球を与える苦しい内容。それでも11奪三振を奪う力投で、4回の内野ゴロの間と、6回のソロアーチによる失点にとどめた。試合は田中降板時には1点ビハインドだったヤンキースが逆転し、3−2で勝利した。同じくヤンキースのイチローは9番・レフトで先発出場し、3打数無安打ながら1打点を記録している。
 リーグ屈指の強力打線にも負けなかった。
 エンゼルスは一昨年の新人王マイク・トラウトが2番、通算500本塁打を達成したばかりのアルバート・プホルスが3番に座るラインアップ。要警戒のバッターと続けて対戦する初回、田中は1死後、トラウトにレフト前に運ばれる。だが、プホルスには内と外を投げ分けて、最後は内角低めのツーシームで空振り三振。4番のハウィー・ケンドリックはフルカウントから四球も、エリック・アイバーはスプリットでバットに空を切らせ、初回はすべてのアウトを三振で奪う。

 デビューから快調なピッチングで3勝をあげているルーキーをエンゼルスはよく研究していた。低めの変化球には手を出さず、カウント球を狙う。それを察した田中も甘くならないよう際どいコースに投げるため、どうしてもボールが先行し、うまくリズムがつくれない。過去4試合でわずか2四球だった右腕が、この日は4回までに5四死球を与えた。

 そんな4回、ヒットと四死球ですべての塁が埋まり、J.B.シャックのセカンドゴロの間に1点を先制される。5回もトラウト、プホルスは打ち取ったものの、ケンドリックの打球をレフトのイチローがバランスを崩して捕れず(記録は三塁打)、毎回走者を背負うピッチングが続く。

 5回、ヤンキースはようやく1死二、三塁のチャンスをつくり、イチローのショートゴロの間に同点に。しかし、直後の6回、先頭のデイビッド・フリースに外のストレートを弾き返された。打球はライトスタンドへ飛び込む勝ち越し弾。味方の得点後のイニングで失点し、流れは決して良くなかった。

 ただ、決してズルズル行かないのが田中の長所だ。被弾の後は3人で切って取ると、7回も先頭打者をフルカウントからスプリットで空振り三振に仕留める。ここで球数は108球となり、ジョー・ジラルディ監督はピッチャー交代を告げた。苦しみながらも試合をつくった新人を本拠地のファンは拍手で称えた。

 その力投に打線も応える。降板後の7回、マーク・テシェイラがソロアーチを放って試合を振り出しに。これで田中の負けを消すと、8回には相手のバッテリーミスに乗じて決勝点をあげた。楽天時代も田中が投げると、たとえリードを許しても味方が追いつき、逆転していた。海を渡っても、攻撃陣との良好な関係が生まれつつある。