日本、男女ともに決勝T進出決定 〜JA全農世界卓球〜
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(写真:起用された3戦を全勝と結果を残している石垣)
◇チャンピオンシップ・ディビジョン
・女子グループB
日本 3−0 台湾
(石垣3−0ファン、石川3−1チェン・イチン、平野3−1チェン・スーユー)
「石垣が大きかった。1番で勢いをつけてくれた」と村上恭和監督が称えたトップバッター・石垣の活躍で、グループリーグ突破を決めた。
グループリーグでの天王山と位置付けていた台湾戦。互いに3戦全勝で大一番を迎えた。日本は台湾に分が良い石垣を1番手に起用し、以降を石川、平野というオーダーで臨んだ。石垣は「2番、3番に頼りがいのある人がいたので“思い切って攻めていこう”という気持ちでやれました」と、プレッシャーのかかる役目だったが、その責務を果たした。
攻撃的な気持ちはプレーにも表れた。第1ゲームは9−9の場面で強打を連続。いずれも得点となり、11−9でモノにした。「守りに入ってしまうと相手のペースになってしまう」と、守備的な戦術のカットでも積極的に攻めの姿勢を貫いた。
第2、3ゲームは終始、相手を翻弄した。11−3、11−4と付け入るスキを与えないまま試合を終わらせた。このストレート勝ちで勢いに乗った日本は、石川と平野がいずれも3−1で勝利。グループBの最大のライバルにも3対0で完勝した。
石垣は福原愛(ANA)の欠場により、代替選手として登録された。グループリーグの組み分け決定後の選出で“台湾キラー”として期待されていた。本人は「福原さんのようにチームを支えることはできない」と語っていたが、ここまではカットマンとして、その役割は十二分に果たしている。
これでグループリーグ1位突破を確実にした。明日1日は世界ランキングでも60位と格下のオーストラリアが相手。ある程度メンバーを温存して戦うこともでき、1位通過を果たせば、翌2日は休養日に充てられる。まさに理想的と言える展開に村上監督は「全て3対0は想定していなかった。100点だと思います」と笑顔を見せた。2大会ぶりのメダル獲得へ、満点スタートだ。
・男子グループC
日本 3−0 フランス
(丹羽3−2フロール、水谷3−2ルベッソン、松平3−2ゴジ)
1位突破へ向けて、負けられない戦いが続く日本は、同じく1敗しているフランスと対戦した。倉嶋洋介監督によれば「オールラウンドで粘り強いチーム」というフランス。その分析通り簡単には勝たせてくれなかった。1番手・丹羽、3番手の松平はいずれも2ゲーム連取する優位な展開に運びながらフルゲームまでもつれた。2番手の水谷も3−2で辛くも勝利。結果的に3対0で制したが、苦しい戦いだった。
日本 3−1 ポルトガル
(水谷3−0アポローニャ、丹羽3−2フレイタス、松平2−3モンテイロ、水谷3−1フレイタス)
これぞエースという仕事ぶりだった。1番手で登場した水谷は、初対戦となったティアゴ・アポローニャをストレートで一蹴すると、2対1となった第4試合では現在世界ランキング12位と勢いに乗るマルコス・フレイタスも退けた。
勝負を決めたフレイタスとの一戦では、幸先良く2ゲームを連取した。しかし、第3、4ゲームを落としてしまう。元々違和感のあった右足の付け根あたりをゲームを重ねるごとに痛めていった。開始直後に痛み止めを飲んで、第5ゲームに臨んだ。指揮官からは「無理だったら棄権しろ」と言われていたが、「ここまで来たんでやるしかない」と意地を見せる。足への負担を考慮し、台から離れずバックハンドで勝負した。
前陣速攻型へとモデルチェンジし、11−6でフルゲームまでもつれた試合を制した。水谷には周囲からエースとして大きな期待を寄せられるが「自分はポイントを取ることだけで必死」と語る。それでも、これでグループリーグで4カ国相手に6試合を戦い無敗。誰もが水谷をエースと認める活躍ぶりだ。
無敗のポルトガルを倒し、明日のハンガリー戦で勝てば1位突破も見えてくる。倉嶋監督も「もう一度、気を引き締めて戦いたい」と語った。ここまで無敗の水谷、丹羽に続く第3の男の出現にも期待したい。
(文/杉浦泰介)