ボクシングのロンドン五輪男子ミドル級金メダリストの村田諒太(三迫)が22日、島津アリーナ京都でプロ4戦目(73.4キロ契約、10回戦)に臨み、ヘスス・ネリオ(メキシコ)に6R2分35秒KO勝ちを収めた。これで村田はデビューから4戦連続KO勝利。立ち上がりから主導権を奪うと、6Rに2度のダウンを奪って試合を決めた。
 ボクシング人生の本格的なスタートとなった思い出の地で相手をきっちり倒し切った。
 村田は南京都高(現京都廣学館高)時代の3年間を京都で過ごし、高校5冠を達成。ボクシング部の顧問だった武元前川先生(故人)から基礎を叩き込まれた。

「先生は厳しい方でしたが、その指導を通じて可能性は誰にでも広がっていることを伝えてくれました」
 そう当時を振り返る村田が、この日はリング上で自らの可能性を広げる結果と内容をみせた。

 立ち上がりはガードを高くして相手の攻撃を防ぎ、ジャブで間合いを図りつつプレッシャーをかける。右を伸ばし、ロープに詰めてフック、ボディを叩き込んでペースをつかんだ。

 ネリオは拳を振るって前に出ようとするものの、村田にパンチを的確に当てられ、後退せざるを得ない。相手が出てこられないと見た村田は攻勢を強める。相手が離れればジャブで機先を制してのストレート。接近戦になればフックとボディ、アッパーで削り、メキシカンに反撃の糸口をつかませない。

 5R終盤には右ストレートでぐらつかせて連打で追いつめ、一方的な展開に。そして6R、左ボディで消耗させ、右でダウンを奪う。立ち上がってきたネリオに対してジャブできっちり距離を合わせながら、狙いすました右を突き刺した。このラウンド2度目のダウン。ひざまづいた相手に立ち上がる余力は残っていなかった。

「練習している右のパンチで倒せたのでうれしい」
 KO勝利に村田は笑顔を見せた。「なかなか当てるのが難しかった」と振り返ったものの、今回の強化ポイントとしてあげていた右ストレートを炸裂させ、狙い通りの試合ができたのではないか。
 
 勝利後のリング上では「世界王者は取らなければいけない義務」と言い切った。順調に勝ち進めば、来年にも世界挑戦が見えてくる。金メダリストがチャンピオンへの階段をまたひとつ昇った。