新生K-1発足、11月に「WORLD LEAGUE」を開催

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 新たな立ち技格闘技イベントとして誕生する「K-1 WORLD LEAGUE」の発足記者会見が29日、都内で開かれ、11月3日に東京・代々木競技場第二体育館で第1回大会を行うことが発表された。プロデューサーには1990年代に人気ファイターとして活躍し、チームドラゴンの代表を務める前田憲作が就任。立ち技格闘技団体の「Krush」を主催する株式会社グッドルーザーが運営を担当する。前田プロデューサーは「サッカーのW杯のような大きな舞台として誰もが楽しめるイベントにしていきたい」と意気込みを語った。
(写真:前田プロデューサー<左>と公式サポーターに就任した関根勤が「老若男女、あらゆる人に見てほしい」と呼びかけた)
 かつては一世を風靡した「K-1」が装いを新たに登場する。
 93年に日本で誕生し、一大ブームを巻き起こしたK-1は近年、国内では完全にその名が聞かれなくなっていた。12年には運営会社が破産。その後は香港に拠点を置く「K-1Global Holdings Limited」が大会を興行しているものの、日本でK-1を冠したイベントは12年10月の「K-1 WORLD GP」以来、開催されていない。

「誰もが夢見たK-1をこのままなくすわけにはいかない」
 その思いから立ち上がったのが、K-1のリングで闘ってきた前田プロデューサーをはじめとする往年の名選手たちだ。昨年から「K-1 GYM」を都内3カ所に相次いで設立。全日本キックボクシング2階級制覇の内田康弘、K-1 WORLD MAX日本代表決定トーナメントを3度優勝した小比類巻貴之、初代Krush63キロ級王者の梶原龍児が各ジムの代表やチーフトレーナーを務め、若手ファイターの育成と底辺拡大に取り組んできた。
(写真:恵比寿の道場を主宰する小比類巻は「まだ現役なんで、またリングに戻ってきたい」と参戦も表明した)

 これをさらに発展させ、アマチュアやプロとして闘いの場を提供すべく、新しいK-1は動き出す。具体的には7月21日にアマチュア大会として「K-1 CHALLENGE 2014」を東京・新宿FACEで実施。併せて高校生のトーナメント「K-1甲子園2014」を行う。11月のK-1 WORLD LEAGUEでは55キロ級、60キロ級、65キロ級、70キロ級にヘビー級(無差別級)の5階級を設ける予定で、日本人ファイターの層が厚い軽量級に重点を置くかたちになる。またK-1 GYMも全国に広げていきたい考えだ。

 会見ではK-1 WORLD LEAGUEの参戦予定選手も発表され、08年のK-1甲子園覇者のHIROYA、同年のK-1 WORLD MAX日本代表決定トーナメントの覇者・城戸康裕、11年の同大会で日本トーナメントを制した久保優太らが登壇した。さらには格闘技通で知られるタレントの関根勤が公式サポーターで登場。「世界中から強い選手が集まってキックボクシングのオリンピックができるのは楽しみ」と新しいK-1に期待を寄せた。

「K-1」の名称をつけたものの、これまでの運営組織とは全く母体は異なり、世界展開している「K-1Global Holdings Limited」とも別に活動する。「あくまでも日本におけるK-1としてスタートする」と運営に携わるグッドルーザーの宮田充代表は語っており、国内で再び人気に火をつけるには、マッチメイクでいかにファンを引き付けられるかがカギを握る。

 K-1に代わって、世界的にはシンガポールに拠点を置く「GLORY」が立ち技格闘技界では隆盛を誇り、多くの強豪選手が契約を結んでいる。11月の旗揚げ戦では「世界を意識したチョイスになる」と海外からも選手を呼ぶ構えだが、どのくらいの知名度を持ったファイターがリングに上がるかは未知数だ。

 K-1と並行してKrushも従来通りのペースで興行を続けていく方針で、国内には他の立ち技格闘技団体も各地で大会を開いている。それぞれのイベントが個性を打ち出しつつ、連携を図らなければ共倒れになる不安もある。Krushのプロデューサーでもある宮田は「同じではいけない。出場選手、マッチメイクの部分は違うかたちで見せられば」と話しており、それをごこまで具現化できるかもポイントとなる。

「目標は高く、夢は大きく、地に足のついたイベントづくりを心がけたい。100年続くK-1、未来永劫続くK-1を次の世代によいかたちでバトンタッチできるように精一杯頑張りたい」
 前田プロデューサーは静かな口調にも強い決意をにじませた。あの熱狂をリングに呼び戻すべく、新生K-1の挑戦にゴングが鳴る。
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