3日(日本時間)、ブラジルW杯に向けて米国で事前合宿中のサッカー日本代表はタンパでW杯出場国のコスタリカ代表と国際親善試合を行ない、3対1で勝利した。日本は序盤からボールを支配してチャンスをつくりだしたが、ゴールを奪うことができない。すると前半31分、FWブライアン・ルイスに先制点を奪われ、1点ビハインドで試合を折り返した。それでも日本は後半も主導権を握り、後半15分にMF遠藤保仁のゴールで追いつくと、35分、MF香川真司の得点で逆転した。終了間際にはFW柿谷陽一朗のゴールでダメを押した。日本は7日(同)にザンビア代表とテストマッチを行った後、ブラジルに向かう。

  柿谷、途中出場から1G1A(タンパ)
日本代表 3−1 コスタリカ代表
【得点】
[日本] 遠藤保仁(60分)、香川真司(80分)、柿谷曜一朗(90分+2)
[コ] ブライアン・ルイス(31分)

 日本らしいサッカーが90分間続いた。攻撃面では選手が連動し、横と縦を織り交ぜたパスワークで相手ゴールに迫った。守備では前線からのプレッシングを継続。前半こそチャンスを決めきれなかったものの、主導権をコスタリカに渡すことはなかった。

 序盤から日本は攻撃のかたちをつくれていた。11分、FW大迫勇也が右サイドからのクロスに頭で合わせたがゴール上に外れた。23分にはMF青山敏弘からのスルーパスに大迫が抜け出したが、これはオフサイドをとられた。25分、MF大久保嘉人が右サイドから斜めに中央へ走り込み、香川からパスを受けてPA内で左足シュート。30分には、右サイドでボールを持った香川がゴール前に入れたクロスを大迫が落とし、走り込んできたMF山口蛍が左足で狙った。いずれもGKに防がれたものの、日本はコスタリカが5バックの守備的布陣を敷くなかで、確実にスペースを見つけ、そこを突けていた。

 しかし、31分、日本はコスタリカのカウンターから先制点を奪われてしまう。DFジュニオール・ディアスに左サイドを抜け出され、ファーサイドへのクロスをルイスに右足で合わせられた。DF今野泰幸がマークしていたルイスの動きに遅れた。少なくとも体を寄せて、簡単にシュートを打たせたくない場面だった。日本は主導権を握りながらも、リードを許して試合を折り返した。

 アルベルト・ザッケローニ監督は後半開始から大久保に代えてMF岡崎慎司、青山を下げて遠藤を投入した。前線に“いつもの”面子が揃うと、日本のリズムはさらによくなった。岡崎がDFラインの裏へ動き出し、香川やMF本田圭佑もゴール前に顔を出す。また今野とDF内田篤人の両サイドバックも積極的に攻撃参加し、コスタリカを押し込んだ。

 そんな後半15分、日本に同点弾が生まれた。香川が左サイドからクロスを上げ、逆サイドで受けた本田が中央へグラウンダーのパス。これを攻め上がっていた内田がスルーし、ボランチの位置からPA内に入ってきた遠藤が右足でゴールネットを揺らした。雪崩のようにゴール前に選手が入っていくことで、コスタリカのDFにブロックをつくらせなかった。

 同点直後にDF長友佑都、26分にはDF酒井宏樹がそれぞれ今野、内田に代わってピッチに入った。31分にも大迫が柿谷と交代。積極的な交代策に「コンディションの面が大切で、出場時間を選手に与えるのがすごく大切」という指揮官の意図がうかがえた。そして、この交代策が逆転へとつながった。

 35分、日本は山口、柿谷、香川という“セレッソ大阪トリオ”の連係で逆転弾を奪った。山口が自陣から前線の柿谷へロングフィード。柿谷はワンタッチで香川に落としてゴール前へ走り込む。受けた香川はドリブルで攻め上がり、PA内で柿谷とのワンツーから右足でゴール右下へ流し込んだ。チームコンセプトである“縦へ速く”を表すようなゴールだった。日本はさらに攻勢を強めるとアディショナルタイム、ゴール前で岡崎が相手DFと競り合ってこぼれたボールを、拾った柿谷が冷静にフィニッシュし、試合を決めた。

「相対的にはコンディションが上がってきて、いい試合ができたのではないか。主導権を握りながらサッカーをするんだというメンタリティが大切で、そういう意味では(選手は)良くやってくれた」
 ザッケローニ監督の表情は明るくはなかったものの、滑らかな口調から順調な仕上がりに手応えを掴んでいるように感じられた。香川も「逆転で勝ちきって、失点も最小限に抑えられて良かった」と結果に満足気だった。

 だが、香川は「前半で1点欲しかった。相手に先制される前に取らないと本番は厳しくなる」と気を引き締めることも忘れなかった。ザンビアとのテストマッチを含め、初戦のコートジボワール戦まであと12日。万全の状態で本番を迎えるため、ザックジャパンは調整の総仕上げにかかる。