(写真:表彰式を欠席した大迫はビデオメッセージを寄せた)

 17日、日本陸上競技連盟(JAAF)は「JAAF ATHLETICS AWARD 2018」を都内ホテルで開催した。年間最優秀選手賞にあたる「アスリート・オブ・ザ・イヤー」には10月のシカゴマラソンで男子マラソン日本記録を更新した大迫傑(Nike)が選ばれた。ファン投票による「Most Valuable Player 2018」は、今年度よりスタートした日本グランプリシーズ男子初代チャンピオンに輝いた山縣亮太(セイコーホールディングス)が選出された。

 

 優秀選手賞は、インドネシア・ジャカルタでのアジア競技大会で男子マラソン金メダリストの井上大仁(MHPS)、同男子棒高跳び金メダリストの山本聖途(トヨタ自動車)、世界競歩チーム選手権2冠(男子20km、団体)の池田向希(東洋大学)が受賞した。

 

 東京運動記者クラブ選出の新人賞はアジア競技大会男子200m優勝の小池祐貴(住友電工)、1月の大阪国際女子マラソンで初マラソン日本歴代3位を記録した松田瑞生(ダイハツ)を選出。JAAF選出の新人賞にはU20世界競選手権大会男子走り幅跳びで金メダルを獲得した橋岡優輝(日本大学)だった。

 

 好調の兆しを見せている日本マラソン界。アワードでも最優秀選手賞に大迫、優秀選手賞に井上、新人賞に松田が選ばれた。

 

 式典には欠席となったが、大迫は10月のシカゴで2時間5分50秒をマーク。2月の東京マラソンで設楽悠太(Honda)が叩き出した日本記録を21秒塗り替えた。文句なしの受賞と言っていいだろう。

 

 2014年にアメリカに拠点を移し、結果を残し続けた。14年は3000m、15年は5000mで日本記録を更新。そして今年のマラソンで日本記録樹立だ。

 

 大迫はビデオメッセージでこうコメントを寄せた。
「これを糧にイチから頑張ります。MGC(マラソン・グランド・チャンピオンシップ)に向けて体調を合わせて、再来年の切符を穫れるよう努力したい」

 

 来年9月に行われる東京オリンピックのマラソン日本代表選考レースとなるMGCの出場権は得ている。日本最速の称号は手にした。そこで最強であることも証明したい。

 

 大迫、設楽の日本記録に刺激を受けているのは井上だろう。東京マラソンでは設楽に次ぐ日本人2位。2時間6分台の好タイムにも納得はしていなかった。

 

 8月のアジア競技大会では日本勢32年ぶりの金メダルを手にしてみせた。井上も式典を欠席したが、「かつてないほど盛り上がりを見せています。自分も負けないように頑張りたい」とコメント。ライバルたちに負けじとさらなる飛躍を誓った。

 

 また好調のマラソン勢を支えた日本実業団陸上競技連合には特別賞が授与された。同連合は15年、実業団マラソン特別強化プロジェクト「Project EXCEED」によりマラソン日本新記録樹立者には1億円の報奨金を与えると発表した。日本マラソン界の社会的関心を高めるとともに、好結果にも繋げた。

 

(文・写真/杉浦泰介)