フランス、スイスの突破が有力か 〜グループE開幕前展望〜
選手層の厚い1998年W杯王者・フランスが頭ひとつ抜けている。それに続くのは好選手を擁するスイス。エクアドルはこの2カ国から勝ち点を拾えるかが、グループリーグ突破のカギを握る。ホンジュラスは3回目の出場で悲願のW杯初勝利を目指す。
フランスは10年南アフリカW杯で、チーム内外で起こったいざこざが影響して屈辱のグループリーグ敗退に終わった。今大会は上位に進出して“レ・ブルー”(フランス代表の愛称)の名誉を挽回したいところだ。
陣容は充実している。ベテランのDFパトリス・エヴラ、中堅どころではMFフランク・リベリ、FWカリム・ベンゼマ、そしてユベントスで進境著しい21歳MFポール・ポグバ。ベテランから若手まで、バランスの良いチーム構成となった。
フランスの基本システムは4−3−3。前線にはベンゼマを中央に据え、左にリベリ、右にMFマテュー・ヴァルビュエナが陣取る。その上で、攻撃の中心を担うのはリベリだ。今季の欧州最優秀選手にも選出されるなど、まさに脂が乗りきっているプレーヤーである。ボールを奪った後、リベリにボールが渡るとフランスのギアが一気に上がる。彼はスピードに乗ったドリブルでスペースを侵略し、ラストパスまたは自分でシュートにも持ち込める。本番も攻撃のオールラウンダーに、ボールが多く集まるだろう。
守備陣も安定している。最終ラインは高さ、強さ、速さを兼ね備えており、ポグバを含めた中盤の3選手もボール奪取能力が高い。ボールを奪った後は、シンプルに縦へパスを展し、自慢の攻撃陣に速攻を託す。
不安な点を挙げるならば、W杯を経験している選手の少なさだろう。過去にW杯メンバーに選ばれたのは、23名中6名。その中で、リベリ、エヴラといったレギュラー組がいかにチームを牽引できるか。
スイスは同国史上最強との呼び声もある布陣で、節目の10回目のW杯に臨む。
GKディエゴ・ベナーリオ、DFシュテファン・リヒトシュタイナー、MFギョクハン・インレル、MFジェルダン・シャキリ、FWヨシブ・ドルミッチ……欧州のトップカテゴリーで活躍する選手が揃った。このタレント集団を束ねるのは、欧州チャンピオンズリーグを2度制した名将オットマール・ヒッツフェルト監督。65歳のヒッツフェルト監督は今大会で第一線を退く意向を示しており、名将が最後にどのような采配を振るうのかにも注目が集まる。
その中で注目は右サイドアタッカーのシャキリだ。名門バイエルン・ミュンヘンでプレーする22歳は、スキルフルなドリブルで相手守備陣を混乱に陥れる。また、身長169センチと小柄ながら、屈強なDFに当たり負けしない強さも兼ね備えている。強烈なミドルシュートも魅力だ。個で局面を打開できるプレースタイルは、同じくバイエルンに所属するリベリと類似している。スイスとフランスが激突する第2戦では、右サイドのシャキリと左サイドのリベリがちょうど対峙するかたちとなる。果たして、22歳の新鋭はこのマッチアップを制してチームに勢いをもたらすことができるか。
南米予選を4位で通過したエクアドルは、2大会ぶり3度目のW杯出場だ。最高成績は06年ドイツW杯で果たしたベスト16。ブラジルでは2度目のグループリーグ突破が目標となる。
エクアドルの生命線は、サイド攻撃だ。右サイドのMFアントニオ・バレンシア、左サイドのジェフェルソン・モンテーロが、スピードに乗ったドリブルからチャンスをつくりだす。彼らがサイドを突破した後は、抜群の強さを誇るFWフェリペ・カイセドがゴール前でフィニッシュを狙う。
守備は4バックと2ボランチで、危険なエリア前に壁を築く。ボールホルダーにはファーストディフェンダーが激しく体を寄せ、周囲はカバーリングに回る。フランス、スイスの強力な攻撃陣を押さえ込むことができれば、2度目のベスト16に大きく近づく。
ホンジュラスは2大会連続3回目の出場となった。南アW杯は、2敗1分けでグループリーグ敗退。3試合でノーゴールの得点力不足が響いた。
W杯初勝利のカギは、相手の攻勢に耐えながら、いかにして得点を奪えるか。攻守のキーマンはそれぞれイングランドでプレーするMFウィルソン・パラシオスとDFマイノール・フィゲロア。パラシオスはセントラルMFとして、ドリブルでボールを運び、ミドルシュートで自らもゴールを狙う。フィゲロアは強靭なフィジカルを生かしたハードディフェンスでプレミアリーグの並み居るアタッカーと渡り合ってきた。彼らを中心に、強固な組織をつくった上で強豪との戦いに臨みたい。初勝利にはフランス、スイスに比べて実力が落ちるエクアドルとの第2戦に全力を注ぐのが得策か。
◎ フランス
〇 スイス
▲ エクアドル
ホンジュラス
(鈴木友多)
フランスは10年南アフリカW杯で、チーム内外で起こったいざこざが影響して屈辱のグループリーグ敗退に終わった。今大会は上位に進出して“レ・ブルー”(フランス代表の愛称)の名誉を挽回したいところだ。
陣容は充実している。ベテランのDFパトリス・エヴラ、中堅どころではMFフランク・リベリ、FWカリム・ベンゼマ、そしてユベントスで進境著しい21歳MFポール・ポグバ。ベテランから若手まで、バランスの良いチーム構成となった。
フランスの基本システムは4−3−3。前線にはベンゼマを中央に据え、左にリベリ、右にMFマテュー・ヴァルビュエナが陣取る。その上で、攻撃の中心を担うのはリベリだ。今季の欧州最優秀選手にも選出されるなど、まさに脂が乗りきっているプレーヤーである。ボールを奪った後、リベリにボールが渡るとフランスのギアが一気に上がる。彼はスピードに乗ったドリブルでスペースを侵略し、ラストパスまたは自分でシュートにも持ち込める。本番も攻撃のオールラウンダーに、ボールが多く集まるだろう。
守備陣も安定している。最終ラインは高さ、強さ、速さを兼ね備えており、ポグバを含めた中盤の3選手もボール奪取能力が高い。ボールを奪った後は、シンプルに縦へパスを展し、自慢の攻撃陣に速攻を託す。
不安な点を挙げるならば、W杯を経験している選手の少なさだろう。過去にW杯メンバーに選ばれたのは、23名中6名。その中で、リベリ、エヴラといったレギュラー組がいかにチームを牽引できるか。
スイスは同国史上最強との呼び声もある布陣で、節目の10回目のW杯に臨む。
GKディエゴ・ベナーリオ、DFシュテファン・リヒトシュタイナー、MFギョクハン・インレル、MFジェルダン・シャキリ、FWヨシブ・ドルミッチ……欧州のトップカテゴリーで活躍する選手が揃った。このタレント集団を束ねるのは、欧州チャンピオンズリーグを2度制した名将オットマール・ヒッツフェルト監督。65歳のヒッツフェルト監督は今大会で第一線を退く意向を示しており、名将が最後にどのような采配を振るうのかにも注目が集まる。
その中で注目は右サイドアタッカーのシャキリだ。名門バイエルン・ミュンヘンでプレーする22歳は、スキルフルなドリブルで相手守備陣を混乱に陥れる。また、身長169センチと小柄ながら、屈強なDFに当たり負けしない強さも兼ね備えている。強烈なミドルシュートも魅力だ。個で局面を打開できるプレースタイルは、同じくバイエルンに所属するリベリと類似している。スイスとフランスが激突する第2戦では、右サイドのシャキリと左サイドのリベリがちょうど対峙するかたちとなる。果たして、22歳の新鋭はこのマッチアップを制してチームに勢いをもたらすことができるか。
南米予選を4位で通過したエクアドルは、2大会ぶり3度目のW杯出場だ。最高成績は06年ドイツW杯で果たしたベスト16。ブラジルでは2度目のグループリーグ突破が目標となる。
エクアドルの生命線は、サイド攻撃だ。右サイドのMFアントニオ・バレンシア、左サイドのジェフェルソン・モンテーロが、スピードに乗ったドリブルからチャンスをつくりだす。彼らがサイドを突破した後は、抜群の強さを誇るFWフェリペ・カイセドがゴール前でフィニッシュを狙う。
守備は4バックと2ボランチで、危険なエリア前に壁を築く。ボールホルダーにはファーストディフェンダーが激しく体を寄せ、周囲はカバーリングに回る。フランス、スイスの強力な攻撃陣を押さえ込むことができれば、2度目のベスト16に大きく近づく。
ホンジュラスは2大会連続3回目の出場となった。南アW杯は、2敗1分けでグループリーグ敗退。3試合でノーゴールの得点力不足が響いた。
W杯初勝利のカギは、相手の攻勢に耐えながら、いかにして得点を奪えるか。攻守のキーマンはそれぞれイングランドでプレーするMFウィルソン・パラシオスとDFマイノール・フィゲロア。パラシオスはセントラルMFとして、ドリブルでボールを運び、ミドルシュートで自らもゴールを狙う。フィゲロアは強靭なフィジカルを生かしたハードディフェンスでプレミアリーグの並み居るアタッカーと渡り合ってきた。彼らを中心に、強固な組織をつくった上で強豪との戦いに臨みたい。初勝利にはフランス、スイスに比べて実力が落ちるエクアドルとの第2戦に全力を注ぐのが得策か。
◎ フランス
〇 スイス
▲ エクアドル
ホンジュラス
(鈴木友多)