23日、中央競馬(JRA)の今年最後のグランプリレース第63回有馬記念(G1、芝・2500m)が千葉・中山競馬場で開催された。3番人気の3歳牡馬ブラストワンピース(池添謙一騎手)が1着、1番人気のレイデオロ(クリストフ・ルメール騎手)が2着、9番人気のシュヴァルグラン(ヒュー・ボウマン騎手)が3着に入った。障害レースで圧倒的強さを誇り、注目を集めたオジュウチョウサン(武豊騎手)は5番人気に推されたが、9着に終わった。

 

  ブラストワンピースが3歳クラシックでは届かなかったG1勝利を古馬相手に掴み取ってみせた。

 

 スタートから飛び出したのはオジュウチョウサン。2016年からの中山グランドジャンプ3連覇をはじめ障害G1史上最多の5勝を挙げている障害レースの絶対王者だ。人気投票で3位に押され、注目を集めた7歳牡馬が場内を沸かす。

 

 ホームストレートを前に先頭に立ったのは川田将雅が鞍上のキセキ。昨年の菊花賞馬がリードを奪う。1番人気のレイデオロ、3番人気のブラストワンピースは中団につけ、虎視眈々と仕掛けどころを伺っているようだった。

 

 最後の直線を迎えてもキセキが先頭を守っていた。逃げるキセキをゴール前の“心臓破りの坂”でとらえたのは外から突いてきたブラストワンピースだ。見事な末脚でトップを奪う。このまま逃げ切りたいが、レイデオロが追いかけてくる。昨年のダービー馬で、今年は天皇賞・秋を制した実力馬が迫ってきた。

 

 それでも「なんとか踏ん張ってくれた」(池添)とクビ差で制した。ブラストワンピースは“3度目の正直”でグランプリ制覇だ。全6戦に騎乗してきた池添は「この馬はG1獲れると言い続けてきて、ダービー、菊花賞と獲れなかった。やっと証明できてうれしいです」と胸を張る。人気に推されながらダービーは5着、菊花賞は4着と苦汁をなめてきた。

 

「まだまだこれから成長してくれる」と池添は期待を寄せる。来年のさらなる飛躍を誓った。

 

(文/杉浦泰介)