このグループも混戦が予想される。今大会のダークホースと目されるベルギー、名将ファビオ・カペッロ率いるロシア、北アフリカの新興勢力アルジェリア、“アジアの虎”韓国。大本命はいないものの、タレントが揃うベルギー、組織力の高いロシアの突破が有力と見る。

 ベルギーは3大会ぶりにW杯の舞台に戻ってきた。最高成績は1986年メキシコW杯の4位。欧州のトップクラブでプレーするタレントを揃えた“赤い悪魔”(ベルギーの愛称)が狙うは、86年を超えることだ。

 スタイルは堅守速攻。欧州予選10試合4失点の堅守から、攻撃力の高いアタッカー陣が相手ゴールに襲い掛かる。守備の要DFヴァンサン・コンパニは、屈強なフィジカルでボールを奪い、そのまま自らが攻撃の起点となる優れたDFだ。勝負強さも兼備しており、ここぞの場面で決定的なゴールを決める。攻撃陣のキーマンはMFエデン・アザールだ。ドリブル、シュート、パス。アタッカーに必要な能力をすべて高水準で備えている。彼が勝負どころで仕事をすれば、ベルギーの上位進出も夢ではない。

 ロシアはクリスティアーノ・ロナウド擁するポルトガルを退け、予選グループ首位でブラジル行きを決めた。3大会ぶりのW杯で、まずはグループリーグ突破を目指す。

 カペッロの作り上げたチームは、実に完成度が高い。ボールを奪われた後にすぐプレッシングをかけ、相手の出足を遅らせる。その間に守備組織を構築し、準備万端で相手の攻撃を迎え撃つ。守護神のGKイゴール・アキンフェエフは驚異的な反射でピンチを防ぎ、DFセルゲイ・イグナシェビッチとDFヴァシリ・ペレズツキのCBコンビは圧倒的なフィジカルで相手アタッカーを封じ込める。ボールを奪ってからは突破力のあるFWアレクサンドル・ココーリンにつなぎ、巡ってきたチャンスを02年日韓W杯にも出場したFWアレクサンドル・ケルザコフがフィニッシュ。華麗さはないが、リアリストのカペッロらしいサッカーで大舞台に臨む。

 アルジェリアは2大会連続4回目の出場だ。10年南アフリカW杯はグループリーグ全敗、ノーゴールという散々な結果に終わった。今大会はその悔しさを晴らす舞台である。

 メンバーには南アW杯経験者のベテラン・中堅と成長著しい若手がバランス良く選ばれた。キーマンは背番号10を背負うサイドアタッカーMFソフィアン・フェグーリ。リーガエスパニョーラで経験を積む24歳は、スキルフルかつスピードに乗ったドリブルでチャンスをつくり出す。パスサッカーを志向するアルジェリアにあって、個人技で局面を打開できるフェグーリは貴重だ。初戦はタレント軍団のベルギー。強豪相手に粘り強く戦い、勝ち点を拾えるか。

 韓国は8大会連続9回目のW杯出場だ。2大会連続の16強入りを狙うが、現状は芳しくない。大会前最後のテストマッチとなった9日のガーナ戦で、0対4と大敗したのだ。パスミスなどからピンチを招き、失点を重ねた。名リベロとして名を馳せたホン・ミョンボ監督の下、本番までに守備の建て直せるかがグループリーグ突破のカギとなる。
 攻撃陣にはドイツゴールを量産したFWソン・フンミン、プレミアリーグで活躍するMFイ・チョンヨンなど人材は揃っている。堅守のロシア相手には先制ゴールを奪い、常に優位な立場で試合を進めたいところだろう。