15日(日本時間)、FIFAワールドカップブラジル大会のグループD第1節で、コスタリカ代表(FIFAランキング28位)がウルグアイ代表(同7位)に3−1で逆転勝ちを収めた。前回大会4強のウルグアイは前半24分、PKを獲得し、FWエディンソン・カバーニが決めて先制する。しかし、後半に入ってコスタリカがFWジョエル・キャンベル、DFオスカル・ドゥアルテが立て続けにゴールをあげて逆転に成功。39分にも途中出場のFWマルコス・ウレーニャがダメを押し、公式戦で初めてウルグアイを下した。

 ウルグアイ、エースのスアレス欠場響く(フォルタレーザ)
ウルグアイ 1−3 コスタリカ
【得点】
[ウ] エディンソン・カバーニ(24分)
[コ] ジョエル・キャンベル(54分)、オスカル・ドゥアルテ(57分)、マルコス・ウレーニャ(84分)

 ウルグアイにとっては痛すぎる敗戦だ。
 属するグループDは同国の他、イタリア、イングランドとW杯優勝経験のあるチームがひしめく“死の組”。初戦の相手コスタリカには過去6勝2分と負けたことがない。確実に勝ち点3を奪い、強豪との対決へ勢いをつけたい一戦だった。

 しかし、5バック気味に守りを固めつつ、3トップにボールを集めるコスタリカに手こずった。12分にはフニオル・ディアに左クロスをあげられ、FWブライアン・ルイスに頭で合わされそうになるなど、攻め込まれるシーンが目立つ。

 それでも、ウルグアイはセレッソ大阪に所属する前回大会得点王のFWディエゴ・フォルランとカバーニの2トップがポジションを変えながら相手陣内に侵入し、攻撃のリズムをつくる。15分にはMFクリスティアン・ロドリゲスが左斜めの位置からクロスをあげ、カバーニがヘッドでつなぐ。右サイドから抜け出したDFディエゴ・ゴディンが押し込み、ボールはゴールラインを割ったが、判定は惜しくもオフサイド。その直後にはフォルランのFKから、こぼれ球をカバーニがボレーシュートを放つも、バーの上を通過した。

 ウルグアイの時間帯になってきた23分、先制点が生まれる。FKを獲得し、フォルランがゴール前に放り込むと、競り合いでコスタリカのDFがウルグアイのDFディエゴ・ルガノを後ろから倒してしまう。判定はPK。キッカーのカバーニが右足でゴール右隅に叩き込んだ。

 これで1−0。リードを奪ったウルグアイは43分には右45度の角度からフォルランが左足からミドルシュート。相手GKケイラー・ナバスにジャンプ一番、外へ弾き出されたものの、ペースをつかんで試合を折り返す。

 ところが、後半に入り、流れは一転、コスタリカへ。5分、MFクリスティアン・ボラニョスのFKが、ゴール前に詰めていたMFセルソ・ボルヘスに渡る。ヘッドで合わせ、GKが弾き返したところへ、さらにシュートを浴びせた。

 続く9分には右サイドに攻め込んでDFクリスティアン・ガンボアが折り返しのクロスを。ウルグアイのDFが右に寄ったところに、ファーサイドでフリーになったのがキャンベルだった。右足を振り抜き、ゴールネットを揺らす。1−1。コスタリカが同点に追いつき、試合は分からなくなった。

 その4分後、勝ち越したのはコスタリカだ。右サイドでのFK。ボラニョスのキックはファーサイドのドゥアルテにピンポイントで合う。相手DFにとってはもっとも対応しにくい位置でドゥアルテが頭から飛び込んだ。連続ゴールで2−1。逆転を喫し、ウルグアイにとっては苦しい展開になった。

 こうなると5バック気味のコスタリカの守備陣が効いてくる。ウルグアイは攻撃の選手を増やして、まずは同点を狙うが、相手の守備網に引っかかった上、カウンターで逆襲に合う。これを止めようとするあまり、ファウルが増え、かえってピンチを招く。

 コスタリカは攻めに回ると、きっちりシュートで終え、セットプレーも確実に味方に合わせるなどプレーの精度が高かった。そして試合も大詰めを迎えた39分、カウンターからキャンベルがスルーパス。途中出場のウレーニャが右サイドに抜け出し、角度のないところからキーパーの逆をついてシュートを放つ。これがゴール左隅に収まって勝敗は決した。

 ウルグアイにとっては敗れただけでなく、得失点で2点差をつけられたのは今後に響きそうだ。しかも、終了間際にはDFマキシミリアーノ・ペレイラがうまくいかないフラストレーションから相手の足を蹴りあげて一発退場。次のイングランド戦(20日)は出場停止となったのも痛い。エースストライカーのFWルイス・スアレスは1点ビハインドになっても投入されず、大会直前に行った左ヒザ手術からの回復状況も気がかりだ。64年前のブラジルW杯では優勝を収めた古豪がグループリーグ敗退の窮地に陥った。

 一方、前評判を覆す勝利を収めたコスタリカは21日にイタリアに挑む。

(石田洋之)

【ウルグアイ】
GK
フェルナンド・ムスレラ
DF
ディエゴ・ルガノ
ディエゴ・ゴディン
マキシミリアーノ・ペレイラ
マルティン・カセレス
MF
ワルテル・ガルガーノ
→アルバロ・ゴンサレス(60分)
クリスティアン・ロドリゲス
→アベル・エルナンデス(76分)
エヒディオ・アレバロ
FW
ディエゴ・フォルラン
→ニコラス・ロデイロ(60分)
クリスティアン・ストゥアーニ
エディンソン・カバーニ

【コスタリカ】
GK
ケイラー・ナバス
DF
ジャンカルロ・ゴンサレス
ミチャエル・ウマニャ
オスカル・ドゥアルテ
フニオル・ディアス
クリスティアン・ガンボア
MF
セルソ・ボルヘス
クリスティアン・ボラニョス
→ミチャエル・バランテス(89分)
ジェルトシン・テヘダ
→ホセ・クベロ(74分)
FW
ジョエル・キャンベル
ブライアン・ルイス
→マルコス・ウレーニャ(83分)