昨夏の甲子園を沸かせ、北海道日本ハムからドラフト1位指名を受けて入団した吉田輝星(金足農)の背番号が「18」に決定した。プロ野球におけるエースナンバーだ。

 

 

 本人は「びっくりした。背番号に負けないピッチングをしたい」と語り、端正な顔をほころばせていた。

 

 過日、栗山英樹監督に会った際、“甲子園の怪物”の印象について聞いてみた。

 

「意外に小さいんですよ。身長は僕くらいかな」

 

 それが第一声だった。

 

 栗山の身長は176センチである。外野手ならともかく、吉田はピッチャーとしてはかなりの小柄である。

 

 実際の背丈よりマウンド上で高く、大きく見えるのは大物の証拠だろう。

 

 甲子園のスターの背には「18」がよく似合う。近年では桑田真澄と松坂大輔が代表格だ。

 

 桑田も松坂も、エースとして甲子園で2度の優勝を経験している。

 

 桑田の「18」への強いこだわりを物語る一文がある。

 

<僕は、この背番号をいただいたときから、それにふさわしい選手、人間になろうと思ってずっと自分なりに努力してきた。

 

 18番は一軍で活躍しなきゃいけない番号。だからこそ晩年のシーズン終了後に「18番をお返しします」と話をしたことがあった。チームに貢献できていないのにつけているのは18番に対して申し訳ないと思ったからだ。>(自著『心の野球 超効率的努力のススメ』幻冬舎)

 

 そう言えば桑田も公称174センチながら、マウンドでは実物以上に大きく見えた。ダイナミックなフォームが、桑田の全身に躍動感を与えていた。その象徴が背中の「18」だった。

 

 全盛期の躍動感なら松坂も負けてはいない。桑田ほどの制球力はなかったが、パワーでは松坂の方が一枚上だった。

 

 その松坂の背番号も来シーズンからは西武にはじまり、レッドソックスや日本代表でも付けていた「18」に戻る。

 

「18は自分の背番号。体の一部だと思っている」

 

 回帰魚が生まれた場所に戻ってきたような心境か。

 

 中日に移籍して1年目の今季、6勝をあげたことで年俸は1500万円から1億円にアップした。ご同慶の至りといいたいところだが、真価が問われるのは来季だ。

 

 ろうそくの火は消える前が一番明るいと言うが、体調さえ万全なら、まだ2ケタ勝利は可能だろう。38歳には完全燃焼を期待したい。

 

 さて。吉田との新旧18番対決はあるのか。来シーズンの見どころがひとつ増えた。

 

<この原稿は2018年12月21日号『漫画ゴラク』を一部再構成したものです>

 


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