16日(日本時間)、FIFAワールドカップブラジル大会のグループE第1節で、スイスがエクアドルに2−1で勝利した。スイスは前半22分、エクアドルのエネル・バレンシアに先制ゴールを決められたものの、後半3分にFWアドミル・メーメディのゴールで同点。その後は拮抗した展開が続いたが、スイスが後半アディショナルタイムにFWハリス・セフェロビッチの得点で逆転した。

 終了間際、カウンターから決勝点(ブラジリア)
スイス 2−1 エクアドル
【得点】
[ス] アドミル・メーメディ(48分)、ハリス・セフェロビッチ(90分+3)
[エ] エネル・バレンシア(22分)

 スイスが土壇場で勝ち点3をもぎ取った。ゴールを決めたのはともに途中交代でピッチに立った2人。欧州チャンピオンズリーグを2度制した名将オットマール・ヒッツフェルト監督の采配が的中した。

 スイスがMFジェルダン・シャキリを中心に厚みのある攻撃を仕掛けたの対し、エクアドルはしっかりとした守備から鋭いカウンターを披露。序盤は両チームの持ち味がぶつかり合う展開となった。そんな22分、試合が動いた。スイスはPA外の左でFKを与えると、ゴール前でエネル・バレンシアにヘディングで叩き込まれた。
 先制されたスイスは36分、MFギョクハン・インレルがPA手前からミドルシュートを狙うもGKに弾かれ、1点リードされたまま試合を折り返した。

 すると、後半開始からヒッツフェルト監督が動いた。MFバレンティン・シュトッカーに代えてメーメディを投入。この交代策が結実したのはわずか3分後だ。左CKにメーメディが頭で合わせ、同点に追いついたのだ。指揮官の的確な選手起用が光った。

 その後は一進一退の攻防が続いた。15分、エクアドルのエネル・バレンシアがミドルシュートを放つがわずかにゴール上へ。28分には、スイスのシャキリがショートカウンターから抜け出し、PA内左サイドでシュートを打ったものの、枠をとらえられなかった。スコアが動かないまま時間だけが過ぎていった。

 アディショナルタイムに突入し、両チームが勝ち点1を分け合うかに思われた。しかし、スイスが自陣ゴール前で相手の攻撃を防ぐと、そこからカウンター。右サイドから左サイドをサイドチェンジを受けたDFリカルド・ロドリゲスへが、ゴール前へグラウンダーのクロスを上げる。これをセフェロビッチが左足でゴールに蹴り込んだ。勝負を決める一撃にスイスの選手たちは喜びを爆発させた。このセフェロビッチも、後半30分にヒッツフェルト監督が交代でピッチに送り出した選手。その意味で、指揮官の切ったカードは2枚とも“当たり”だった。

 過去の最高成績であるベスト8超えへ、“ナティ”(スイス代表の愛称)が上々のスタートを切った。

(鈴木友多)

【スイス出場メンバー】
GK
ディエゴ・ベナーリオ
DF
ステファン・リヒトシュタイナー
スティーブ・フォン・ベルゲン
リカルド・ロドリゲス
ヨハン・ジュルー
MF
ギョクハン・インレル
グラニト・シャカ
バロン・ベーラミ
バレンティン・シュトッカー
→アドミル・メーメディ(46分)
シェルダン・シャキリ
FW
ヨシップ・ドルミッチ
→ハリス・セフェロビッチ(75分)

【エクアドル出場メンバー】
GK
アレクサンデル・ドミンゲス
DF
ホルヘ・グアグア
フリクソン・エラソ
ファン・カルロス・パレデス
ワルテル・アジョビ
MF
クリスティアン・ノボア
アントニオ・バレンシア
カルロス・グルエソ
FW
ジェフェルソン・モンテーロ
→ジョアン・ロハス(77分)
フェリペ・カイセド
→ミカエル・アロヨ(70分)
エネル・バレンシア