17日(日本時間)、FIFAワールドカップブラジル大会のグループF第1節で、イランとナイジェリアが0−0で引き分けた。試合はナイジェリアがボールを支配したものの、イランの固い守備に苦しんでゴールをこじ開けられなかった。対するイランも、攻撃に移った際に効果的な仕掛けがなく、無得点。勝ち点1を分け合って、第2戦に臨むことになった。ナイジェリアはボスニア・ヘルツェゴビナ、イランはアルゼンチンとそれぞれ戦う。

 ともに決め手を欠いてスコアレス(クリチバ)
イラン 0−0 ナイジェリア

 序盤からナイジェリアがボールを支配し、イランゴールに迫った。前半3分、FWビクター・モーゼスがPA手前でボールを持つと、中央へカットインしてからミドルシュートを打ったがGKに防がれた。ナイジェリアは攻守の要であるMFジョン・オビ・ミケルがパスを配球し、モーゼス、FWアーメド・ムサの両ウィングが裏を狙うかたちが明確だった。
 
 これに対してイランは、11人全員が自陣に戻り、守備を固めた。ボールを支配されてゴール前まで押し込まれるものの、守備陣の体を張った守り、相手のシュート精度の低さにも助けられて失点を免れて行った。

 すると34分、イランにチャンスが訪れた。右CKからFWレザ・グーチャンネジャードが強烈なヘディングシュート。ゴール左へ飛んだが、これはGKビンセント・エニュアマに鋭い反応でセーブされた。

 0−0のまま迎えた後半も、こう着状態が続いた。ナイジェリアベンチは7分にモーゼスを下げてFWショラ・アメオビ、24分にはMFラモン・アジーズに代えてFWピーター・オデムウィンギーを投入し、攻撃の活性化を図った。しかし、サイド攻撃を仕掛けてもクロスの精度が低く、決定機をつくるには至らない。42分に、右サイドからのクロスを、アメオビが頭で合わせたものの、シュートに威力がなく、難なくGKにキャッチされた。

 イランも相手の攻勢をしのいで、ゴールを目指したが、バイタルエリアでのアイデアに欠いて、ナイジェリア守備陣を崩し切れない。38分、MFエフサン・ハジサフィがPA手前のMFアンドラニク・ティムリアンにパス。ティムリアンはそこからミドルシュートを狙ったが、大きく枠を外れた。

 終始、ナイジェリアは攻勢だったにも関わらず、ゴールを奪えなかった。必要なのはラストパスの精度だろう。これがゴール前を大きく越えたり、ゴールラインを割ってしまっては、得点に結びつけることは難しい。

 イランは、防戦一方となり、よく耐えたという見方もできる。しかし、アルゼンチン、ボスニア・ヘルツェゴビナはナイジェリアよりも攻撃力のあるチームだ。守るだけでは、勝機はない。やはり、攻撃面でゴール前でのダイレクトプレーや強引な仕掛けなどで、ゴールを奪うための方法を模索したいところだ。

(鈴木友多)


【イラン出場メンバー】
GK
アリレザ・ハギギ
DF
ジャラル・ホセイニ
アミル・ホセイン・サデギ
ペジマン・モンタゼリ
メヘルダド・プーラディ
エハサン・ハジサフィ
ジャバド・ネクナム
アンドラニク・ティムリアン
FW
ホスロ・ヘイダリ
→マスード・ショジャエイ(89分)
レザ・グーチャンネジャード
アシュカン・デヤガー
→アリレザ・ジャハンバフシュ(73分)

【ナイジェリア出場メンバー】
GK
ビンセント・エニュアマ
DF
エフェ・アンブローズ
ジュウォン・オシャニワ
ゴドフレイ・オボアボナ
→ジョセフ・ヨボ(29分)
ケネス・オメルオ
MF
ジョン・オビ・ミケル
ラモン・アジーズ
→ピーター・オデムウィンギー(69分)
オジェニ・オナジ
FW
アーメド・ムサ
エマヌエル・エメニケ
ビクター・モーゼス
→ショラ・アメオビ(52分)