19日(日本時間)、FIFAワールドカップブラジル大会のグループA第2節で、クロアチア代表(FIFAランキング18位)がカメルーン代表(同56位)に4−0で大勝し、決勝トーナメント進出に望みをつないだ。試合は前半11分にクロアチアがFWイビチャ・オリッチのゴールで先制。相手の退場で数的優位に立った後半はエースストライカーのFWマリオ・マンジュキッチの2得点などで突き放した。敗れたカメルーンはグループリーグ敗退が決まった。

 マンジュキッチ、復帰戦で2ゴール(マナウス)
カメルーン 0−4 クロアチア
【得点】
[ク]イビチャ・オリッチ(11分)、イバン・ペリシッチ(48分)、マリオ・マンジュキッチ(61分、73分)

 開幕戦では先制しながらブラジルに逆転負けを喫したクロアチアが、4ゴールの圧勝。決勝トーナメント進出をかけたグループリーグ最終節(対メキシコ、24日)に弾みをつけた。

 お互いに負ければ、敗退が決まる一戦、先制点がカギを握る。先に攻勢をみせたのはカメルーンだ。5分にはバンサン・アブバカルのドリブル突破からFKを得るなど相手陣内に攻め入る。

 しかし、11分、クロアチアはDFダリヨ・スルナが右サイドからクロス。ゴール前でマンジュキッチがつぶれて、こぼれたボールを今度はイバン・ペリシッチが入れ直す。ファーサイドから姿を現したのがオリッチだ。落ち着いて押し込み、1−0。ファーストシュートでクロアチアが先手をとる。

 追いかける展開となったカメルーンはたびたび右サイドからの突破をみせるものの、クロアチアがすぐに人数をかけて守りを固め、決定的なチャンスをつくれない。思うようにいかないイライラが募る中、それがプレー以外のところで爆発してしまう。

 40分、クロアチアにカウンターを仕掛けられると、MFアレクサンドル・ソングが自陣に戻る際、前をふさいだマンジュキッチの背中にヒジ打ちをくらわせる。当然、レッドカードが出て、一発退場。1点ビハインドの上に数的不利となり、カメルーンはますます苦しい状況に追い込まれた。

 こうなると試合の流れは完全にクロアチアのものだ。ハーフタイムを挟んで、後半3分、ぺリシッチが相手GKのゴールキックをハーフウェーライン付近でカットすると、そのままドリブルで左サイドを突破する。中にはマンジュキッチが走り込む中、左足でシュート。マンジュキッチを警戒していたGKは逆を突かれ、ボールはゴールマウスの中に吸い込まれた。

 これで2−0。直後にはスルーパスを受けたマンジュキッチが相手GKと1対1の場面をつくるなど、クロアチアの一方的な展開になっていく。15分には左CKからDFダニエル・プラニッチが浮き球を上げると、飛び込んだのはマンジュキッチ。頭で豪快に押し込んでダメ押しの3点目をあげる。

 ゴールラッシュを締めくくったのもマンジュキッチだ。28分、右サイドから途中出場のFWエドゥアルドがシュートを放ち、GKに当たって逆側にはね返ったところに待ち構えていた。右足を振り抜いて、この日の2得点目を決めた。

 クロアチアは開幕戦は出場停止処分を受けていたエースのマンジュキッチが復帰戦で活躍。勝ち点3をあげ、最終節で勝ち点4で現在2位のメキシコに勝利すれば、自力でグループリーグを突破できる。

 一方のカメルーンはこれで2大会連続のグループリーグ敗退が決定。開幕前から出場ボーナスを巡ってチーム内で揉め、ブラジル入りが遅れるなど、ひとつにまとまっていなかった。この日はFWサミュエル・エトーが右ひざを痛めて欠場。個人技で一矢を報いようとしたものの、試合中にDFブノワ・アスエコトとFWベンジャミン・ムカンジョが頭突きをしながら言い争いを始めるシーンも見られ、後味の悪さだけが残った。

(石田洋之)

【カメルーン】
GK
シャルル・イタンジュ
DF
ブノワ・アスエコト
ニコラ・ヌクルー
オレリアン・シェジュー
→ダニー・ヌンク(45分)
MF
アレクサンドル・ソング
ステファン・エムビア
エヨング・エノー
ジョエル・マティプ
FW
ベンジャミン・ムカンジョ
バンサン・アブバカル
→ピエール・ウェボ(70分) 
エリック・シュポ・モティング
→エドガー・サリ(75分)

【クロアチア】
GK
スティペ・プレティコサ
DF
ダニエル・プラニッチ
ベドラン・チョルルカ
デヤン・ロブレン
ダリヨ・スルナ
MF
イバン・ペリシッチ
→アンテ・レビッチ(78分)
イバン・ラキティッチ
ルカ・モドリッチ
サミール
→マテオ・コバチッチ(72分)
FW
マリオ・マンジュキッチ
イビチャ・オリッチ
→エドゥアルド(69分)