19日(日本時間)、FIFAワールドカップブラジル大会のグループB第2節で、チリがスペインに2−0で勝利した。チリは序盤から攻守の切り替えが早く、主導権を握って試合を進めた。すると前半20分、FWエドゥアルト・バルガスのゴールで先制。43分に、MFチャルレス・アランギスの得点でリードを広げた。後半は前に出るしかなくなったスペインに押し込まれたが、GKクラウディオ・ブラボの好守もあり無失点に抑えた。この結果、連勝を収めたチリとオランダの決勝トーナメント進出が決定。一方で、スペインとオーストラリアはグループリーグ敗退となった。

 チリ、躍動感溢れるサッカーで快勝(リオデジャネイロ)
チリ 2−0 スペイン
【得点】
[チリ] エドゥアルド・バルガス(20分)、チャルレス・アランギス(43分)

“無敵艦隊”がブラジルの地で撃沈された。初戦でオランダに1−5と大敗し、この試合もチリに完敗。2008年のEUROを制してから続いていた主要大会連覇は3で途切れることになった。

 スペインはチリの激しいプレッシングの前に、持ち前のパスワークを封じられた。
 すると20分、チリにパスサッカーのお株を奪われるかたちで先制された。スペインは中央付近でボールを失うと、そこからMFアレクシス・サンチェス、アランギスとつながれ、最後はバルガスにトラップでGKイケル・カシージャスもかわされてゴールに流しこまれた。早くもスペインに暗雲が立ち込めた。

 なんとか反撃したいスペインは27分、FWジエゴ・コスタがゴール前でボールを受け、左足で叩き付ける。しかし、シュートは左サイドネットに外れ、巡ってきたチャンスを生かし切れない。その後は勢いに乗るチリに押し込まれた。

 43分には、PA手前でFKを与えてしまい、アレクシス・サンチェスに右足で狙われた。ゴール右に飛んだボールは、カシージャスが弾いたものの、こぼれ球をアランギスに拾われ、右足アウトサイドでシュートを打たれた。逆を突かれたカシージャスは懸命に手を伸ばしたが、無情にもゴールネットを揺らされた。

 このままでは終われないスペインは、後半開始から攻勢を強め、まず1点を返そうと試みた。4分、ジエゴ・コスタがPA内でシュートを放ったものの、これはDFにブロックされた。8分には、DFセルヒオ・ラモスの直接FKがGKに弾かれてPA内右サイドにこぼれたボールを、ジエゴ・コスタがオーバーヘッドで折り返す。これにMFセルヒオ・ブスケツがフリーで左足で合わせたが、ゴール左へ外してしまった。

 チャンスをモノにできずにいると、チリにボールを回され、反撃の勢いを削がれた。時間だけが経過し、グループリーグ敗退が現実味を帯びていった。
 39分、イニエスタがPA手前から右足を振り抜いた。シュートはゴール右上に飛んだが、ブラボに右手1本で弾き出される。43分にはゴール前で得たFKを、MFサンティ・カソルラ直接狙った。しかし、これもブラボに防がれた。6分のアディショナルタイムでもスペインにゴールは生まれなかった。

 スペインは初戦、第2戦ともに前線からの激しいプレッシングに苦しんだ。だが、以前のスペインならば、その包囲網をかいくぐれるだけの技術と連動性があった。今大会は、連動した動きが少なく、パスミスも多発。スペインらしくない内容が、まさかのグループリーグ敗退を現実にしてしまった。

(鈴木友多)


【チリ出場メンバー】
GK
クラウディオ・ブラボ
DF
エウヘニオ・メナ
ガリー・メデル
ゴンサロ・ハラ
MF
マウリシオ・イスラ
フランシスコ・シルバ
アルトゥーロ・ビダル
→カルロス・カルモナ(88分)
チャルレス・アランギス
→フェリペ・グティエレス(64分)
マルセロ・ディアス
FW
アレクシス・サンチェス
エドゥアルド・バルガス
→ホルヘ・バルディビア(85分)

【スペイン出場メンバー】
GK
イケル・カシージャス
DF
ハビ・マルティネス
セルヒオ・ラモス
ジョルディ・アルバ
セサル・アスピリクエタ
MF
アンドレス・イニエスタ
シャビ・アロンソ
→コケ(46分)
セルヒオ・ブスケツ
ダビド・シルバ
FW
ペドロ・ロドリゲス
→サンティ・カソルラ(76分)
ジエゴ・コスタ
→フェルナンド・トーレス(64分)