21日(日本時間)、FIFAワールドカップブラジル大会のグループD第2節で、コスタリカ代表がイタリア代表に1−0で勝利した。試合はポゼッションを重視した攻撃を展開するイタリアに対し、カウンターから勝機を見出そうとするコスタリカ。前半終了間際に素早い攻撃からMFブライアン・ルイスのゴールが決まり、コスタリカが先制した。リードを奪ったコスタリカは後半、積極的に交代カードを切ってきたイタリアの反撃を許さなかった。コスタリカはグループリーグ(GL)2連勝。勝ち点6となり、グループDを24年ぶりにGLを突破した。敗れたイタリアは勝ち点3のまま。勝ち点で並ぶウルグアイとの直接対決で決勝トーナメント進出の可否が決まる。

 ルイス、24年ぶりの決勝T進出導くゴール(レシフェ)
イタリア 0−1 コスタリカ
【得点】
[コ] ブライアン・ルイス(44分)


 コスタリカ旋風が吹き荒れた。4度の優勝を誇るイタリア、2度のウルグアイ、1度のイングランド。W杯優勝経験のあるチームが揃うグループC。一番乗りでGL通過を果たしたのは、ベスト16が最高のコスタリカだった。

 そのコスタリカはGL初戦でウルグアイに逆転勝ち。今大会の波乱のひとつに挙げられるアップセットを演じていた。前日のゲームでは、そのウルグアイがイングランドに勝利していた。これによりコスタリカは、イタリアに勝てば1990年のイタリア大会以来の決勝トーナメント進出が決まる。

 コスタリカは5人のディフェンスラインを敷き、2人の守備的MFを置く7人で守備を固める布陣。攻撃はトップのジョエル・キャンベルを頂点に両サイドハーフのブライアン・ルイス、クリスティアン・ボラニョスの3人でカウンターアタックを仕掛けた。

 対するイタリアは司令塔のアンドレア・ピルロを軸に攻撃を組み立てるポゼッション志向である。負傷によりイングランドとのGL初戦を欠場していたGKジャンルイジ・ブッフォンがこの試合で復帰。W杯5大会連続出場となる世界屈指の守護神がゴールマウスに戻り、攻守の役者は揃った。

 この日もピルロが振るうタクトは冴え渡った。27分に浮き球のパスで、イタリアのファーストシュートの起点となる。31分には、ハーフウェイライン付近から前線へロングパス。裏へ抜け出したFWマリオ・バロテッリが飛び出してきた相手GKに対し、ループシュートを放ったが、ゴール左に外れた。33分にもピルロのパスが起点となり、チャンスを作った。いずれもゴールには至らなかったが、その存在感は際立っていた。

 一方のコスタリカは、速攻で反撃を開始した。36分にはボラニョスが左サイドから中に切れ込んでミドルシュートを放つ。ここはブッフォンに好セーブに阻まれた。42分には右サイドのルイスがクロスを上げ、DFオスカル・ドゥアルテのヘディングシュートを演出。ゴールは枠の上を越えていったが、ゴールの予感をさせるものだった。

 切れ味鋭いカウンターは、徐々に閂を緩めていく。ハーフタイムを迎える直前の44分、ついにコスタリカがイタリアゴールを開錠した。素早い攻撃で左サイドにはたくと、サイドバックのフニオル・ディアスがアーリークロスを放る。ファーサイドに走り込んだルイスが頭で合わせたシュートはバーを叩き、ゴールの中でバウンドした。戻ってきたボールをDFがクリアーしたが、レフェリーはゴールを認定。今大会から導入されたゴールラインテクノロジーが改めて、それを証明しスタジアムは沸いた。コスタリカが待望の先制点を奪った。

 後半開始と同時にチェーザレ・プランデッリ監督はアントニオ・カッサーノをピッチに送り込む。アズーリの背番号10を纏うファンタジスタに攻撃の活性化を期待した。11分にロレンツォ・インシーニェ、24分にはアレッシオ・チェルチと突破力のあるアタッカーを入れて、攻勢を仕掛ける。積極的に交代カードを切る采配。意図は明確だったが、ゴールという結果では表れなかった。しっかりと守備ブロックを敷くコスタリカの牙城を崩せず、焦るイタリアはオフサイドやファウルを連発するばかりに終わった。

 コスタリカはイタリアにシャットアウト勝ち。最終節を残してGL突破が決定した。初出場で決勝トーナメント進出を決めたイタリアW杯。現地の6月20日は、24年前の快挙と奇しくも同じ日だった。現在とは参加チーム数もGLの組数も違うが、グループCという点でも同じである。当時は決勝トーナメント1回戦で大敗し、大会を後にした。4度目の出場となった今大会、ロス・ティコス(コスタリカ代表の愛称)の快進撃は、サッカーの王国を舞台にどこまで続くのか。

【イタリア】
GK
ジャンルイジ・ブッフォン
DF
アンドレア・バルザーリ
ジョルジョ・キエッリーニ
マッテオ・ダルミアン
イグナツィオ・アバーテ
MF
ダニエレ・デ・ロッシ
アンドレア・ピルロ
チアゴ・モッタ
→アントニオ・カッサーノ(46分)
アントニオ・カンドレーバ
→ロレンツォ・インシーニェ(57分)
クラウディオ・マルキージオ
→アレッシオ・チェルチ(69分)
FW
マリオ・バロテッリ

【コスタリカ】
GK
ケイラー・ナバス
DF
ジャンカルロ・ゴンサレス
ミチャエル・ウマニャ
オスカル・ドゥアルテ
フニオル・ディアス
クリスティアン・ガンボア
MF
セルソ・ボルヘス
ジェルトシン・テヘダ
→ホセ・クベロ(68分)
ブライアン・ルイス
→ランダル・ブレネス(81分)
クリスティアン・ボラニョス
FW
ジョエル・キャンベル
→マルコス・ウレーニャ(74分)

(文/杉浦泰介)