21日(日本時間)、FIFAワールドカップブラジル大会のグループE第2節で、フランス代表(FIFAランキング17位)がスイス代表(同6位)に5−2で破り、連勝で決勝トーナメント進出をほぼ確実にした。フランスは前半17分にセットプレーから先制。その1分後にも相手のミスにつけこんで追加点を奪うと、40分にはカウンターから3点目をあげる。後半も2点を加えて試合を決めた。スイスは試合終盤に2点を返したものの、勝ち点3のままで最終節にグループリーグ突破を目指す。

 ベンゼマ、2試合連続ゴール(サルバドル)
スイス 2−5 フランス
【得点】
[ス] ブレリム・ジェマイリ(81分)、グラニト・ジャカ(87分)
[フ] オリビエ・ジルー(17分)、ブレズ・マトゥイディ(18分)、マテュー・バルブエナ(40分)、カリム・ベンゼマ(67分)、ムサ・シッソコ(73分)

 2試合で計8点。前回大会はグループリーグ敗退の屈辱を味わったフランスが圧倒的な決定力をみせ、決勝トーナメント進出へ弾みがつく1勝となった。

 互いに初戦を制した欧州勢同士の対決。立ち上がりは中盤でボールを奪い合って相手の攻撃の芽を摘み、ゴールシーンは簡単には見られないように思われた。
 
 しかし、セットプレーから試合は大きく動き始める。17分、フランスはCKを獲得。MFマテュー・バルブエナがハイボールを入れると、FWオリビエ・ジルーが相手DFの背後から高い打点で頭を合わせる。ボールはGKの頭上、伸ばした手をかすめて、ゴールへ吸い込まれた。

 先制ゴールの興奮冷めやらぬスタジアムが再び大きく揺れたのは、その1分後だ。スイスの緩いバックパスをFWカリム・ベンゼマが逃さず、カット。そのまま一気にドリブルで持ち込む。左サイドを駆け上がったMFブレズ・マトゥイディに預けると、左足を振りぬいてゴールネットを揺らした。

 電光石火の攻撃で2−0。さらに31分にはカウンターからベンゼマが左サイドからペナルティエリア内に侵入する。たまらず、スイスのDFが足をかけて倒してしまい、PKを獲得。追加点のチャンスを迎える。

 キッカーはベンゼマ。だが、右足から放たれたシュートはスイスのGKディエゴ・ベナーリオに止められる。こぼれ球にはMFヨアン・カバイエが詰めたものの、バーを叩き、スイスは首の皮1枚つながった。

 だが、最大の決定機を逃しても、試合の流れは変わらなかった。フランスは守りでも、しっかりプレスをかけてパスの出所を抑え、ボールをつながせない。

 そして40分、ゴール前に人数をかけて攻めるスイスに再びカウンターで襲いかかる。自陣からDFラファエル・バラーヌ、ジルーと素早くつなぎ、左サイドからクロスを供給。これを中央に走りこんだバルブエナが押し込み、前半で勝負を決める3点目が入った。

 後半はスイスがサイド攻撃で反撃を試みるも、フランスには好機を確実にモノにする勝負強さがある。22分にはMFポール・ポグバが右45度の角度からフワッと浮かせたパスを送り込む。前線で抜け出したのはベンゼマだ。ダイレクトで合わせてダメ押しゴール。自身にとっては2戦連続の得点となった。

 フランスの勢いはもう止まらない。さらに28分には、そのベンゼマがゴール前正面でボールを持つ。相手DFが侵入を阻止すべく寄ってきたのをあざ笑うかのように今度は右サイドへ振る。パスを受けたMFムサ・シッソコが右足でゴールに沈め、スコアボードに5点目が刻まれた。

 フランスの5ゴールはすべて異なる選手によるもの。多彩な攻撃のバリエーションをみせ、グループ1位通過にも大きく前進した。一方、スイスは後半36分にMFブレリム・ジェマイリのFKで一矢を報い、終了間際にもMFグラニト・ジャカがダイレクトボレーを決めて、せめてもの意地をみせた。大敗には違いないが、得失点差を考えても2点を返したのは最終節につながる。

 最終節は26日にフランスがエクアドル、スイスがホンジュラスと対戦する。

(石田洋之)

【スイス】
GK
ディエゴ・ベナーリオ
DF
ステファン・リヒトシュタイナー
スティーブ・フォン・ベルゲン
→フィリップ・センデロス(9分)
リカルド・ロドリゲス
ヨハン・ジュルー
MF
ギョクハン・インレル
グラニト・ジャカ
バロン・ベーラミ
→ブレリム・ジェマイリ(HT)
シェルダン・シャキリ
FW
ハリス・セフェロビッチ
→ヨシプ・ドルミッチ(69分)
アドミル・メーメディ

【フランス】
GK
ウーゴ・ロリス
DF
マチュー・ドビュシ
パトリス・エブラ
ラファエル・バラン
ママドゥ・サコ
→ロラン・コシエルニー(66分)
MF
ヨアン・キャバイエ
マテュー・バルブエナ
→アントワーヌ・グリーズマン(82分)
ブレズ・マトゥイディ
ムサ・シッソコ
FW
オリビエ・ジルー
→ポール・ポグバ(63分)
カリム・ベンゼマ