21日(日本時間)、FIFAワールドカップブラジル大会のグループH第2節で、エクアドル代表がホンジュラス代表を2−1で下した。強力な2トップを擁する両国が、持ち味を発揮。31分、FWカルロ・コストリーが決め、ホンジュラスが先制した。34分にはエクアドルのFWエネル・バレンシアが同点弾。E・バレンシアは後半20分にもセットプレーから得点し、エクアドルが勝ち越した。エクアドルは、そのまま逃げ切り、今大会初勝利。決勝トーナメント進出へ一歩前進した。

 エースのゴールで先制もGL連敗(クリチバ)
ホンジュラス 1−2 エクアドル
【得点】
[ホ] カルロ・コストリー(31分)
[エ] エネル・バレンシア(34分、65分)


 グループリーグ初戦スイスに逆転負けを喫したエクアドルが、ホンジュラスに逆転勝ちした。

 初戦を落とした国同士の対戦は、同じ4−4−2のフォーメーション。エクアドルはバレンシアとフェリペ・カイセド、ホンジュラスはカルロ・コストリーとジェリー・ベングトソンと強力な2トップを抱える。少ない手数で前線に送り込むスタイルという点でも一致している。

 どちらも決勝トーナメント進出のためには、ここで初白星を掴んで最終節を迎えたい。その思いの強さは前半7分に警告をもらったDFビクトル・ベルナルデスの激しいチャージからも窺えた。

 最初の決定機を作ったのはエクアドル。最終ラインからの縦パスに、右サイドから斜めのランニングでボールを受けたE・バレンシアがフリーで抜け出す。胸トラップでボールを収め、GKと1対1になったが、シュートを左に外した。対するホンジュラスもセットプレーから好機を迎える。28分に左からのCKにファーサイドで待っていたベルナルデスが、フリーでヘディングシュート。慎重に頭で合わせたものの、ゴール右に外れた。互いに大きなチャンスを生かせなかった。

 試合が動いたのは31分。自陣からのクリアーのような長いボールを相手DFと競り合って、抜け出したのはホンジュラスのエース。コストリーはボールをコントロールすると、左足で強烈なシュートをゴール左に突き刺した。互いに決定機を逃した後、待望の先制点を奪ったのは、ホンジュラスだった。

 しかし、その3分後にエクアドルが追いつく。右サイドバックのファン・パレデスが高い位置でボールを持つと、ドリブルでペナルティエリア右のやや外から思い切りよく右足を振りぬく。ボールはシュートブロックした相手選手の足に当たり、コースが変わる。ゴール左に転がっていき、このまま誰も触れなければゴールキックの場面。だが足に当たった分だけ、ボールの勢いは弱まり、ちょうどいいパスになった。ファーサイドに走り込んでいたE・バレンシアにとっては、あとは押し込むだけで良かった。スライディングしながら、左足に当てゴールに入れた。

 同点に追いつかれたホンジュラスは、アディショナルタイムにチャンスを作る。右からのクロスにコストリーが頭で合わせる。シュートはポストに阻まれたが、こぼれ球をジェリー・ベングトソンが詰めてネットを揺らした。しかし、すぐに笛が鳴り、ノーゴール。ポストから跳ね返ったボールを処理する際、ベングトソンがハンドをしていたという判定が下された。前半終了のホイッスルが鳴った後も、ホンジュラスの選手たちは抗議したが、当然覆らず1−1で後半を迎えた。

 そして決勝点が生まれたのは、20分だ。左サイドでFKを得たエクアドルは、キッカーのワルテル・アジョビが左足で正確なセンタリングを供給。ゴール前でE・バレンシアがヘディングで合わせる。あごを引き、額で叩き、しっかりと枠内におさめた。エクアドルは勝ち越しに成功した。殊勲のE・バレンシアは、一度、決定機で外していた。その反省を生かしてか、2ゴールはいずれも丁寧にゴールを狙った。

 エクアドルはその後、ホンジュラスに反撃を許さず、2−1のスコアのまま試合を締めた。立役者は、2ゴールを挙げたE・バレンシア。マンチェスター・ユナイテッドで活躍するアントニオ・バレンシアではなく、もうひとりのバレンシアの活躍で今大会初勝利をもぎとった。

【ホンジュラス】
GK
ノエル・バジャダレス
DF
マイノル・フィゲロア
ビクトル・ベルナルデス
ブライアン・ベッケルス
エミリオ・イサギーレ
→カルロス・ガルシア(46分)
MF
ホルヘ・クラロス
ルイス・ガリード
→マリオ・マルティネス(71分)
ロジェール・エスピノサ
ボニエク・ガルシア
→マルビン・チャベス(82分)
FW
ジェリー・ベングトソン
カルロ・コストリー

【エクアドル】
GK
アレクサンデル・ドミンゲス
DF
ホルヘ・グアグア
フリックソン・エラソ
ファン・パレデス
ワルテル・アジョビ
MF
クリスティアン・ノボア
オスワルド・ミンダ
→カルロス・グルエソ(83分)
ジェフェルソン・モンテーロ
→ガブリエル・アチリエール(90+2分)
アントニオ・バレンシア
FW
フェリペ・カイセド
→エディソン・メンデス(82分)
エネル・バレンシア

(文/杉浦泰介)