2018Jユースカップを戦い終えた愛媛FC U-18は、(2018年)11月から再開となった高円宮杯U-18サッカープリンスリーグ2018四国へと戦いの場を移していた。

愛媛新聞社

 

 

 

 

 11月17日(土)には、第15節となる徳島ヴォルティスユースとの首位決戦が徳島スポーツビレッジ(徳島県板野町)にて行われた。(第14節終了時点)勝ち点差は僅かに2差の首位・徳島ヴォルティスを追走する愛媛FC。是が非でも勝ちたい試合は一進一退の攻防が終盤まで続いた。

 

 0-0のまま後半も残り10分を切る中、FW柳下将野選手のラストパスからMF上岡陸選手がゴール!これが決勝点となり、愛媛が首位攻防戦を制した。この勝利で首位に躍り出た愛媛は、勢いそのままに次戦へと臨んでいく。

 

 第16節は11月23日(金)に愛フィールド梅津寺(松山市梅津寺町)にて行われた。対戦相手は過去の戦績から見ても、相性が悪い徳島市立高校。しかし、そんな心配をよそに序盤からボールの支配率を高め、試合を優位に進めた。1対1でも当たり負けせず、技術面でも相手を翻弄していた。

 

(写真:プリンスリーグ第16節。愛媛がCKのチャンス)

 前半44分に柳下選手の先制ゴールが決まると、前半終了間際にもMF岩井柊弥選手からのボールをDF渡邊創太選手が得点を決めて2-0。後半の立ち上がりにも柳下選手が追加点を決めた。勢いが途絶えない愛媛は、試合終了間際にもFW岡田蒼生選手のパスからMF谷岡昌選手がダメ押しのゴールを決めて勝負あり。

 

 愛媛FC U-18が難敵を相手に4-0の快勝を収めた。選手達の成長ぶりが窺える晴らしい内容だった。

 

 12月1日(土)には第17節がPikaraスタジアム(香川県丸亀市)にて行われた。対戦相手は高松商業高校。内容では愛媛が圧倒したもののなかなか得点を奪えない。試合は終盤へと突入。ようやく後半40分に、岩井選手とのホットラインから渡邊選手がゴール!これが決勝点となり首位の座を守ったままリーグ最終戦を迎える愛媛FC U-18。

 

 プリンスリーグ最終節(第18節)は12月8日(土)に土佐西南大規模公園陸上競技場(高知県黒潮町)にて行われた。対戦相手は大手前高松高校。待望の先制点は、前半終了間際に生まれた。MF伊藤友弥選手のアシストから岩井選手がゴール!良い時間帯での得点にチームも勢いづいた。

 

 後半7分には、上岡選手のゴールが決まった。その4分後には、柳下選手が追加点を決め、愛媛は試合を優位に進めた。後半39分には、DF横江建城選手が試合を決定付ける4点目を奪取。最終スコア4-0で愛媛が最終戦を勝利で締めくくり、遂に2013年以来のリーグ優勝を果たしたのだ!

 

 この結果、愛媛は四国代表としてプレミアリーグ(高円宮杯U-18サッカーリーグの1部リーグ)のプレーオフ(参入戦)へと駒を進めた。プレーオフでは、トーナメント1回戦と2回戦が行われ、この2戦を全勝すれば、晴れて高校年代最高峰のリーグへと昇格となる。

 

(写真:プレーオフ1回戦(vs作陽高校)。中盤での激しい攻防)

 12月14日(金)、高円宮杯U-18サッカープレミアリーグ2018プレーオフの1回戦が、コカ・コーラボトラーズジャパン広島スタジアム(広島県広島市西区)にて行われた。1回戦の相手は、プリンスリーグ中国の優勝チームである岡山の作陽高校。リーグ最少失点を記録する等、守備力が高いチームである。対する我らの愛媛も守備力には定評があり、堅守を特徴とするチーム同士の戦いとなった。

 

 上空を厚い雲が覆う中、時計は午後2時10分を過ぎ、作陽高校のキックオフで試合がスタート。序盤から激しい攻防が展開される。愛媛はサイドを巧みに使い攻撃を組み立てるものの、フィニッシュまで持ち込めない。イライラした状況が続く。守備はGK草野真人選手を中心にDF陣が踏ん張り、粘り強さを見せる。押しこまれるシーンも見受けられたが、渡邊選手などの中盤の守備も堅く充分に戦えていた。

 

 スコアレスのまま後半に入り、エイドが変わると雲間から嫌な角度で西日が差し込んでくる。それでも、試合に集中して懸命に戦い続ける愛媛イレブン。後半30分、敵陣左サイドを岡田選手がドリブルで駆け上がり、ペナルティーエリアに侵入。すると相手DFが、堪らずタックルで阻止。これがファウルと判定され、愛媛がPKのチャンスを得た。キッカーは柳下選手。ボールをセットし、短い助走から右足を鋭く振り抜いた。ボールは見事ゴールマウスに突き刺さった!

 

「ラララララララララララー!オオオオー!」

 愛媛サポーターによる歓喜のチャントが会場に鳴り響く!結局これが決勝点となり、愛媛の勝利!2回戦に進出を決めたのである。

 

 12月16日(日)、高円宮杯U-18サッカープレミアリーグ2018プレーオフの2回戦が、広島広域公園第一球技場(広島県広島市安佐南区)にて行われた。1回戦から中1日。疲れは溜まっていると思うが、あと1勝で昇格が決まる。全てを出し尽くし、夢を掴み取ってもらいたい。

 

 2回戦の相手は、プリンスリーグ北信越の優勝チームである新潟明訓高校。DFラインに高身長の選手を揃えるなど、これまた守備に定評があるチームとの噂。だが、ここまで来たら気持ちで相手を上回ることが大事なのかもしれない。

 

(写真:プレーオフ2回戦。雨の中、試合前に横断幕を設置)

 お昼前から降り始めた雨がサポーター達を凍えさせる中、時計は午後1時30分を過ぎ、新潟明訓高校のキックオフで試合がスタート。立ち上がりから積極的な姿勢を見せる愛媛。右サイドのスペースを活用し、敵陣へ一気に押し込むと岩井選手がシュートを放つ。それを皮切りに柳下選手のシュートも飛び出す。いずれも相手GKに止められたが、ゴールの期待感が高まっていく。

 

 前半9分、敵陣中央で味方DFラインからボールを受けるMF美佐田誠大選手。相手DFラインの裏に走り込むMF石田健真選手の前方にとスルーパスを通す。ボールに追い着いた石田選手がペナルティーエリア右からファーサイドに向けてクロスを供給。左サイドから走り込んで来た岡田選手が、このボールを左足で捉える。相手GKが必死に手を伸ばすが、ボールはその横を擦り抜け、見事ゴールイン!チームメイトと抱き合い喜びを分かち合う岡田選手!

 

「ラララララララララララー!オオオオー!」

 愛媛サポーター達も歓喜の大合唱!

 

 欲しかった先制点を序盤に手に入れた愛媛。このまま勢いに乗れるかと思ったが、北信越チャンピオンも黙ってはいない。前半途中からシステムを変更して、反撃を試みる。ショートカウンターやロングフィードで愛媛陣内に攻め込んで来る。自陣ゴール前、フリーでシュートを打たれるシーンもあったが、守護神・草野選手のファインセーブもあり、前半は1-0と愛媛のリードのまま終了。

 

 後半の立ち上がりも、自陣に押し込まれる場面が続く。後半4分、相手のセットプレーからピンチを迎えるが、ゴールライン上で身体を張った渡邊選手が愛媛ゴールを死守する。この後も一進一退の攻防が続く中、後半40分には敵MFにミドルシュートを打たれ、一瞬、失点を覚悟してしまったが辛うじてクロスバーに助けられた。その後も相手チームの猛攻があり、とても長く感じる展開だったが、時間は過ぎ去り、遂にタイムアップ!

 

(写真:昇格を成し遂げ、歓喜に沸く愛媛FC U-18)

 虎の子の1点を最後まで守り抜き1-0で愛媛が勝利を収めた!この瞬間、悲願のプレミアリーグ昇格を成し遂げたのである!

 

 試合終了の笛と同時に両手を突き上げる愛媛イレブン。ピッチに雪崩れ込む控え選手達。ベンチではスタッフ陣がガッツポーズやハイタッチ。会場全体に、歓喜の輪が広がっていく。サポーター同士も抱き合ったり、握手やハイタッチを繰り返し、喜びを爆発させた!

 

 試合後、死闘を演じた対戦相手にもエールを送り、落ち着いたところで最後は選手達と一緒に歓喜のラインダンス。そして「カンピオーネ!カンピオーネ!オレ・オレ・オーレー!」の大合唱で締め括った。

 

 愛媛の皆さん、7年振りのプレミアリーグ復帰、本当におめでとう!難しい短期決戦の中、集中して結果を出してくれたことに感謝したい。そして誇らしいことに、プレミアリーグプレーオフ(参入戦)を勝ち上がり昇格したチームは四国では初めてという快挙だそうだ。チームの皆は四国サッカー界の歴史にも、その名を残したのである。

 

 私達を興奮させ、感動させて貰えるのも、「愛媛FC」という存在があり、アカデミーの活動があるからだ。ご家族や支えてくださる多くの方々へ感謝したい。また、今回の戦いに尽力し、次のステージへと旅立っていく(愛媛FC U-18の)3年生の選手達にも「ありがとう!」の気持ちを伝えたいと思う。

 

 この春、高校年代・日本最高峰の舞台で、まだ見ぬ強豪チーム達との激しい戦いに挑む。2019シーズンが待ち遠しくて仕方がない。

 

<松本 晋司(まつもと しんじ)プロフィール>

1967年5月14日、愛媛県松山市出身。愛媛FCサポーターズクラブ「Laranja Torcida(ラランジャ・トルシーダ)」代表。2000年2月6日発足の初代愛媛FCサポーター組織創設メンバーであり、愛媛FCサポーターズクラブ「ARANCINO(アランチーノ)」元代表。愛媛FC協賛スポンサー企業役員。南宇和高校サッカー部や愛媛FCユースチームの全国区での活躍から石橋智之総監督の志に共感し、愛媛FCが、四国リーグに参戦していた時期より応援・支援活動を始める。

 

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