22日(日本時間)、FIFAワールドカップブラジル大会のグループF第2節で、アルゼンチンがイランに1−0で勝利した。アルゼンチンは前半開始から圧倒的にボールを支配し、イランゴールに迫った。しかし、相手の粘り強い守りを崩すには至らず、無得点で試合を折り返した。後半もアルゼンチンが攻勢を強めたものの、ゴールを奪えず、スコアレスドローに終わるかと思われた。しかし、後半アディショナルタイムにFWリオネル・メッシが決勝点を挙げ、アルゼンチンが連勝でグループリーグ突破を決めた。

 主将・メッシ、劇的アディショナルタイム弾(ベロオリゾンテ)
アルゼンチン 1−0 イラン
【得点】
[ア] リオネル・メッシ(90分+1)

 英雄ディエゴ・マラドーナが見守る中で、背番号10が試合にピリオドを打った。アルゼンチンは序盤からボールポゼッションを高めてイランを押し込んだものの、相手の堅守に苦戦。それでも、主導権は渡すことなく、土壇場に生まれたメッシのゴールで勝利を手にした。

 アルゼンチンは時にはPA内に8人のフィールドプレーヤーが守るイラン守備陣を崩さなくてはならなかった。21分、FWセルヒオ・アグエロがPA内左でFWゴンサロ・イグアインのパスを受けてダイレクトシュート。ボールはゴール右上に飛んだものの、GKに横っ飛びでセーブされた。同36分のDFエセキエル・ガライがメッシからのFKに頭で合わせたが、ゴール上に外れた。結局、アルゼンチンはイランの人数をかけた守りを崩し切れず、無得点のまま後半に突入した。

 すると、後半は前がかかりになったところをイランにカウンターで狙われた。8分、速攻を仕掛けられ、右サイドからのクロスをFWレザ・グーチャンネジャードに頭で合わせられた。これはGKセルヒオ・ロメロが好守した。22分にも、右サイドからのアーリークロスをFWアシュカン・デヤガーにヘディングで狙われる。シュートは前目にポジションをとっていたロメロの頭上を抜くかに思われたが、これをロメロが指先で弾き出すスーパーセーブ。守護神の活躍でなんとかピンチをしのいでいった。

 ここで頼みの綱となるのが主将で背番号10を背負うメッシだが、15分に放ったミドルシュートはわずかにゴール左へ。29分に狙った直接FKは左サイドネットに外れて均衡を破るには至らない。アルゼンチンベンチも動き、32分、イグアイン、アグエロに代えてFWロドリゴ・パラシオとFWエゼキエル・ラベッシを投入。前線の選手を入れ代えて攻撃の活性化を試みた。

 それでも、ゴールを奪えないアルゼンチン。時間だけが経過し、アディショナルタイム2分の表示が出され、スタジアムにスコアレスドローの空気が漂い始めた。その直後だった。メッシが右サイドでボールを持つと、中央に切れ込んでから左足を振り抜く。外から巻くようにカーブのかかったシュートがゴール左に決まると、観客席は割れんばかりの大歓声。メッシは両手を広げて、その声援に応えた。

 連勝のアルゼンチンはグループリーグ突破を確定。苦しみはしたものの、しっかりと勝ち切る強さを示した。これで第3戦は主力を温存させることも可能となる。その意味でも、メッシの決勝点は値千金だった。

(鈴木友多)

【アルゼンチン】
GK
セルヒオ・ロメロ
DF
エセキエル・ガライ
パブロ・サバレタ
マルコス・ロホ
フェデリコ・フェルナンデス
MF
フェルナンド・ガゴ
アンヘル・ディ・マリア
→ルーカス・ビリア(90分+2)
ハビエル・マスチェラーノ
FW
ゴンサロ・イグアイン
→ロドリゴ・パラシオ(76分)
リオネル・メッシ
セルヒオ・アグエロ
→エゼキエル・ラベッシ(76分)

【イラン】
GK
アリレザ・ハギギ
DF
ジャラル・ホセイニ
アミル・ホセイン・サデギ
ペジマン・モンタゼリ
メヘルダド・プーラディ
MF
エハサン・ハジサフィ
→レザ・ハギギ(88分)
ジャバド・ネクナム
アンドラニク・ティムリアン
FW
マスード・ショジャエイ
→ホスロ・ヘイダリ(76分)
レザ・グーチャンネジャード
アシュカン・デヤガー
→アリレザ・ジャハンバフシュ(85分)