24日(日本時間)、FIFAワールドカップブラジル大会のグループB最終節で、オランダ代表(FIFAランキング15位)がチリ代表(同14位)を2−0で下し、3連勝で首位通過を決めた。2連勝同士の対決は、前半はチリが積極的な攻撃をみせ、相手ゴールを脅かす。しかし後半に入ってリズムを取り戻したオランダは32分、途中出場のMFレロイ・フェルのゴールで先制する。アディショナルタイムにも追加点をあげて勝利をモノにした。敗れたチリはグループ2位(2勝1敗)での決勝トーナメント進出となった。

 フェル、代表初ゴールが決勝弾(サンパウロ)
オランダ 2−0 チリ
【得点】
[オ] レロイ・フェル(77分)、メンフィス・デパイ(90+2分)

 既に決勝トーナメント行きが決まっている両チームだが、この一戦は単なる順位決定戦ではなかった。2位通過だとA組1位との対戦になり、ブラジルが勝ち上がってくることが濃厚だ。ホスト国との対決は避けたい両チームの思惑がぶつかり合う熱戦となった。

 前半、ペースをつかんだのはチリだ。センターバックの選手が中盤まで上がって攻撃参加するアグレッシブなスタイルでオランダ陣内に迫る。13分には左サイドを破り、DFエウヘニオ・メナがクロス。ゴール前でFWエドゥアルド・バルガスがヘッドで競ったが、ボールはバーの上を越えた。

 23分には左CKを獲得。ゴール前にオランダの選手が集中したところを逃さず、手前の空いたスペースにグラウンダーのボールを入れる。これにMFフェリペ・グティエレスが詰めてシュートを放つも、枠をとらえきれなかった。

 一方のオランダは2試合3得点のストライカー、FWアリエン・ロッベンを中心にチャンスを演出する。34分にはペナルティエリア脇の右45度の角度からロッペンがFKをあげる。フワッと浮いたボールは相手DFが一番対応しにくいファーサイドへ。DFステファン・デ・フライが頭から飛び込むも、やや伸びすぎてゴールには押し込めなかった。

 さらに39分には自陣でボールを奪うと、一気のドリブルで相手ゴールに迫る。2人のマークもものともせず、左足から放たれた弾道はわずかに右へ逸れた。前半、攻勢をかけたチリがボール支配率では大きく上回る中、オランダもやや盛り返したかたちで試合を折り返す。

 後半に入ると、オランダも前へ出るようになり、徐々にボールも相手陣内でつながり始める。21分にはロッペンが正面突破。チリDFがゴール前でブロックをつくろうとすると、巧みにかわしてシュートコースをつくり、左足を振り抜く。これはGKに阻止されたものの、31分にはFWメンフィス・デパイのミドルシュートでゴールを襲い、流れはオランダに傾き始めた。

 そして32分、先制点の瞬間が訪れる。オランダは右CKを獲得すると、一旦、右サイドで味方に預け、クロスを入れ直す。競り合いの中で頭ひとつ抜け出たのが、途中出場のフェルだ。ヘッドで叩き込んだボールはゴールネットを揺らした。FWロビン・ファン・ペルシーが累積警告で欠場する中、今大会初出場の24歳が値千金の働きをみせた。

 得失点差でオランダを下回るため、1位通過には勝利しかないチリは反撃に転じる。セットプレーで何度もチャンスを得てゴール前にボールを放り込むも、高さで勝るオランダの壁は容易には破れない。
 
 逆にアディショナルタイム、守りが手薄になったところをカウンターで突かれ、ロッベンに左サイド奥深くまでドリブルで持ち込まれる。折り返しのクロスにゴール前に駆け出したのはデパイだ。きっちりと枠内に流し込み、勝負あり。20歳の若きFWが2試合連続ゴールでダメを押した。

 1位通過のオランダは3試合とも複数得点で前評判通りの攻撃力をみせている。決勝トーナメント1回戦ではA組2位のチームと30日に対戦。2位のチリは南米開催の地の利を生かし、前回王者のスペインを撃破し、決勝トーナメントにコマを進めた。1回戦は29日にA組1位チームと激突する。

(石田洋之)

【オランダ】
GK
ヤスパー・シレッセン
DF
ロン・フラール
ステファン・デ・フライ
ダレイ・ブリント
ダリル・ヤンマート
MF
ナイジェル・デ・ヨング
ヴェスレイ・スナイデル
→レロイ・フェル(75分)
ジョルジニオ・ワイナルドゥム
FW
アリエン・ロッベン
ディルク・カイト
→テレンセ・コンゴロ(89分)
イェレマイン・レンス
→メンフィス・デパイ(69分)

【チリ】
GK
クラウディオ・ブラボ
DF
エウヘニオ・メナ
マウリシオ・イスラ
ガリー・メデル
ゴンサロ・ハラ
MF
フランシスコ・シルバ
→ホルヘ・バルディビア(70分)
フェリペ・グティエレス
→ジャン・ボーセジュール(HT)
チャルレス・アランギス
マルセロ・ディアス
FW
アレクシス・サンチェス
エドゥアルド・バルガス
→マウリシオ・ピニージャ(81分)