24日(日本時間)、FIFAワールドカップブラジル大会のグループA最終節で、ブラジルがカメルーンに3−1で勝利し、グループリーグ突破を決めた。ブラジルは前半17分、FWネイマールのゴールで先制。26分にMFジョエル・マティプに同点弾を奪われたものの、35分に再びネイマールが決めて勝ち越した。後半は開始早々の4分にFWフレッジのゴールでリードを広げると、39分にはMFフェルナンジーニョのダメ押し点で試合を決めた。ブラジルは勝ち点を7に伸ばし、同7で並んだメキシコを得失点差で上回って首位通過。ベスト16ではグループB2位のチリと対戦する。

 ネイマール、ベスト16導く2ゴール(ブラジリア)
ブラジル 4−1 カメルーン
【得点】
[ブ] ネイマール(17分、35分)、フレッジ(49分)、フェルナンジーニョ(84分)
[カ] ジョエル・マティプ(26分)

 王国の強さを改めて示した。ブラジルは大会初勝利を目指すカメルーンの勢いに押し込まれかけたが、終わってみれば4ゴール。チームに勝利をもたらしたのは、背番号10・ネイマールだった。

 試合が動いたのは前半17分。ブラジルに先制ゴールが生まれた。MFルイス・グスタボが左サイドでボールを奪うと、ゴール前へアーリー気味の低いクロスを上げる。これにネイマールが右足インサイドでゴール右へ流し込んだ。グスタボのボールを奪ってからのクロスまでのスムーズさ、そして簡単ではないクロスをいとも簡単に押し込んだネイマールの高い技術力が合わさったゴールだった。

 ネイマールはさらにギアを上げてカメルーンゴールを脅かした。20分、PA内で高く上がった相手のクリアボールを左足ダイレクトボレー。シュートはGKの正面を突いて防がれたものの、ノーゴールに終わったメキシコ戦での鬱憤を晴らすかのように、この日の背番号10はキレキレだった。

 だが26分、ブラジルは一瞬のスキを突かれてカメルーンに同点弾を奪われた。DFアラン・ニョムにPA内左サイド深くまで仕掛けられ、折り返しのボールをマティプに押し込まれた。そこから、今大会初ゴールを挙げたカメルーンに流れが傾かに思われた。

 しかし、この男がブラジルに主導権を手繰り寄せる。35分、ネイマールが左サイドでボールを持つと、中央に切れ込み、右足でシュート。これが右方向へ動き出していたGKの逆を突き、ゴールネットを揺らした。ネイマールの得点ランキングで単独トップに立つ4点目で、ブラジルが再びリードを奪って試合を折り返すことに成功した。

 後半4分には、フレッジが左サイドからのクロスを頭で叩き込んだ。フレッジはこれが今大会初ゴール。後半立ち上がりの一発で、カメルーンの士気を低下させた。
 ブラジルのフェリペ・スコラーリ監督は26分、ベスト16に備えてネイマールを下げてMFウィリアンを投入。ピッチを後にする背番号10には観客席から惜しみない拍手が注がれた。

 エースを下げたブラジルだが、攻勢を弱めない。39分、細かいパス交換から途中出場のフェルナンジーニョがゴールを決めた。3点差をつけると、その後も試合終了までカメルーンを押し込み、快勝でGL最終戦を締めくくった。

 GLを突破を決めたセレソンだが、開催国の彼らに課せられたノルマは優勝のみ。ベスト16では今大会好調のチリとの対戦が決まった。南米の攻撃的なチーム同士の一戦は激しい展開になることが予想される。そんな時、頼りになるのが絶対的エースの存在だろう。カメルーン戦も、ネイマールがゴールを決めたことで、チームの勢いが増したように映る。彼が勝負どころでゴールに絡めるか否かが、ブラジルの命運を握っている。それが、サッカー王国の10番を背負う男の使命だ。

(鈴木友多)

【ブラジル】
GK
ジュリオ・セーザル
DF
ダニエウ・アウベス
チアゴ・シウバ
ダビド・ルイス
マルセロ
MF
パウリーニョ
→フェルナンジーニョ(46分)
オスカル
ルイス・グスタボ
FW
フッキ
→ラミレス(63分)
フレッジ
ネイマール
→ウィリアン(71分)

【カメルーン】
GK
シャルル・イタンジェ
DF
ニコラ・ヌクル
アンリ・ベディモ
アラン・ニョム
MF
ランドリー・エングエモ
ステファヌ・エムビア
エヨング・エノー
ジョエル・マティプ
FW
ベンジャミン・ムカンジョ
→エドガル・サリ(58分)
バンサン・アブバカル
→ピエール・ウェボ(72分)
エリック・シュポ・モティング
→ジャン・マクン(81分)