24日(日本時間)、FIFAワールドカップブラジル大会のグループA最終節で、メキシコ代表(FIFAランキング20位)がクロアチア代表(同18位)に3−1で勝ち、グループ2位(2勝1分)で決勝トーナメント進出を決めた。勝った方がグループリーグを突破する一戦は後半途中までスコアレスの緊迫した展開が続く。しかし、後半27分、DFラファエル・マルケスのヘディングシュートが決まってメキシコが先制。そこから立て続けに得点を重ね、相手の逆襲を1点にとどめた。敗れたクロアチアは98年フランス大会以来のベスト16入りはならなかった。

 6大会連続の決勝T進出(レシフェ)
クロアチア 1−3 メキシコ
【得点】
[ク]イバン・ペリシッチ(87分)
[メ]ラファエル・マルケス(72分)、アンドレス・グアルダード(75分)、ハビエル・エルナンデス(82分)

 自力で決勝トーナメントには行くにはメキシコは引き分け以上、クロアチアには勝利が必要な直接対決。試合は勝ち点3がほしいクロアチアが立ち上がりから攻勢をみせた。

 まずは7分、右CKを獲得するとショートコーナーで相手にフェイントをかけ、DFダニエル・プラニッチがクロスを入れる。ゴール前でMFイバン・ペリシッチが合わせるも、枠をとらえられなかった。さらにペリシッチは9分、カウンターから右サイドへ攻め込み、ラストパスを供給。しかし、ボールの先に味方はおらず、決定機には至らない。

 14分には再びCKを得て、はね返ったボールを再びゴール前に入れ直す。ファーサイドでFWイビチャ・オリッチが体を張ってヘッドで折り返したが、メキシコのDFがしっかり競って簡単にはシュートを打たせなかった。

 すると、メキシコも徐々にチャンスをつくる。16分、ショートパスをつないで敵陣に迫り、MFエクトル・エレーラがペナルティエリアの外、やや右側からミドルシュートを放った。ボールはバーを叩き、惜しくもゴールならず。19分には、そのエレーラがスルーパスを出し、FWオリベ・ペラルタが抜け出す。GKと1対1の状況になりかけたものの、バランスを崩し、ゴールに押し込めない。

 対するクロアチアも29分、DFベドラン・チョルルカがロングボールを入れ、FWマリオ・マンジュキッチのポストプレーからペリシッチが左足を振り抜く。だが、ボールは無情にもバーの上を通過した。39分にはFKを獲得し、DFダリヨ・スルナが直接ゴールを狙うも、これもバーの上へ抜けて行った。

 最初は受けに回る展開が目立ったメキシコだが、前線の相手にきちんと体を寄せて自由にさせず、次第に攻めに転じる時間が増えていく。後半19分には右サイドで粘ったDFパウル・アギラルがクロス。ファーサイドに流れたボールをDFアンドレス・グアルダードがキープし、シュートに持ち込む。これをスルナが手を出して止めたように映ったが、レフェリーからはハンドの判定はなし。不運なジャッジで先制機を逃したものの、その後のCKもあわやゴールに吸い込まれそうな軌道で、押せ押せムードなのは明らかだった。

 そして27分、試合の行方を決める1点が生まれる。左からのCKをエレーラが対応しにくいファーサイドへ入れると、そこへ現れたマルケスを止める人間はいなかった。頭で合わせたボールはGKの手をかすめてゴール右へと吸い込まれた。

 キャプテンの貴重な先制弾で勢いに乗ったメキシコは3分後、途中出場のハビエル・エルナンデスが中央突破。相手DFを引きつけておいて、右サイドのペラルタへパスを出す。受けたペラルタが折り返すと、ボールは中央のエルナンデスをスルーして左サイドにいたグアルダードの元へ。左右に振られたクロアチアの守りは乱れ、グアルダードの前にはゴールマウスとGKしかいなかった。左足で流し込んで2−0。グループリーグ突破には勝たなくてはならないクロアチアを絶望の淵に落とす得点が刻まれた。

 完全に気持のが切れた相手から、さらにメキシコはCKから1点を加え、3−0とリードを広げる。このまま得点を重ねれば、得失点差でブラジルを上回り、グループリーグ1位通過の目もあったが、クロアチアも終了間際にペリシッチのゴールで意地をみせた。

 結果的にはカメルーンに勝利したブラジルとは勝ち点7で並んだが、得失点差(ブラジルは+5、メキシコは+3)でメキシコはグループ2位での突破となった。決勝トーナメント1回戦ではB組1位のオランダと30日に顔を合わせる。

(石田洋之)

【クロアチア】
GK
スティペ・プレティコサ
DF
シメ・ブルサリコ
→マテオ・コバチッチ(58分)
ダニエル・プラニッチ
→ニキチャ・イェラビッチ(74分)
ベドラン・チョルルカ
デヤン・ロブレン
ダリヨ・スルナ
MF
イバン・ペリシッチ
イバン・ラキティッチ
ルカ・モドリッチ
FW
マリオ・マンジュキッチ
イビチャ・オリッチ
→アンテ・レビッチ(69分)

【メキシコ】
GK
ギジェルモ・オチョア
DF
フランシスコ・ロドリゲス
ラファエル・マルケス
ミゲル・ラジュン
エクトル・モレノ
アンドレス・グアルダード
→マルコ・ファビアン(84分)
パウル・アギラル
MF
エクトル・エレーラ
ホセ・バスケス
FW
ジオバニ・ドス・サントス
→ハビエル・エルナンデス(62分)
オリベ・ペラルタ
→カルロス・ペーニャ(79分)