25日(日本時間)、FIFAワールドカップブラジル大会のグループD最終節で、ウルグアイ代表(FIFAランキング7位)がイタリア代表(同9位)を1−0で勝利し、グループ2位で決勝トーナメント進出を決めた。グループリーグ突破には勝つしかないウルグアイはチャンスを何度もつくりながら得点を奪えない。イタリアは後半、レッドカードによる退場で数的不利になり、守りを固めて引き分けを狙う。このままスコアレスドローでイタリアの決勝トーナメント進出かと思われた後半36分、ウルグアイがセットプレーから値千金の決勝点をあげた。

 イタリア、2大会連続のGL敗退(ナタル)
イタリア 0−1 ウルグアイ
【得点】
[ウ] ディエゴ・ゴディン(81分)

 ともに1勝1敗の勝ち点3。両雄の直接対決は、得失点差で上回るイタリアが引き分けでもグループリーグを突破できる状況でキックオフを迎えた。

 先制点が流れを左右する一戦だけに両チームとも、まず守りを固める布陣を選択する。3バックから守勢にまわる際には5バックで対応するスタイルだ。大きなリスクをとらず、後半に勝負をかける思惑がみてとれた。

 そんな中でも前半、チャンスをたくさんつくったのは勝利が求められるウルグアイだ。7分にはペナルティエリアの左外でFKを獲得。ボールはGKにクリアされるも、今度は逆サイドから入れ直してMFアルバロ・ゴンサレスが頭で競り合い、押し込もうとする。これは再びイタリアの守護神ジャンルイジ・ブッフォンがキャッチした。

 さらに19分には左サイドからMFアルバロ・ペレイラが低いクロスを供給。これに反応したFWエディンソン・カバーニが抜け出そうとするが、相手DFもカバーし、シュートには至らない。

 対するイタリアはセットプレーやミドルシュートでゴールを狙う。12分、MFアンドレア・ピルロが左45度の角度からFK。名手の放った弾道は無回転でゴールマウスをとらえ、GKがなんとかパンチングで弾き出した。27分には相手からボールを奪って速攻に転じ、FWマリオ・バロテッリが遠い位置から右足を振り抜く。これは左に逸れ、先制弾とはならなかった。

 ウルグアイは32分に左サイドから横にこまかくつないで、ゴール前でFWルイス・スアレスが最終ラインを突破。前節のイングランド戦で2ゴールを決めているストライカーが放ったシュートはブッフォンが身を挺して防ぐ。こぼれ球にMFニコラス・ロデイロが詰めるも、ブッフォンが最後の砦となってゴールを割らせない。試合は両チーム無得点で前半を終了する。

 後半に突入すると、局面を打開したい両チームは揃ってカードを切り、主導権を握ろうと試みる。一進一退の攻防が続く中、試合の行方を左右する出来事が起きたのは14分だ。イタリアのMFクラウディオ・マルキージオがボールを持って仕掛けようとした際、相手と接触。その時にスパイクの裏で蹴ったとみなされ、レッドカードが出される。

 イタリアにとっては厳しすぎる一発退場。数的優位に立ったウルグアイは絶好機とばかりに襲いかかる。21分には縦パスがゴール正面でカバーニに入り、相手DFとのマッチアップでつぶれたところを、すかさずスアレスがボールを受け、突破を図る。しかし、シュートはブッフォンが倒れ込みながら右手一本で弾き、決めきれない。

 苦境に陥ったイタリアは、数的不利となったことで戦い方をシンプルにしていく。守りを固め、少ない手数でゴール前に運ぶ。23分にはボールを縦につなぎ、右サイドからMFマルコ・ベラッティがスルーパスを送りこむ。FWチーロ・インモービレがDFラインの裏をとってビックチャンス到来と思われたが、オフサイドだった。

 両チーム無得点のまま、時間は進んで残り10分。試合運びが明確になったイタリアはスコアレスドローを狙い、焦るウルグアイは攻撃が単調になっていく。このまま得点は入らず、終了のホイッスルを聞くのか……。そんな雰囲気も漂ってきた36分、ついに試合が動く。

 右CKを獲得したウルグアイは、この機会を逃すまいとゴール前に人数をかける。放り込まれた浮き球に全員が反応し、混戦となる中、フリーで高くジャンプしたのがDFディエゴ・ゴディンだった。体ごと押し込んだようなシュートがゴールネットを揺らす。1−0。数的有利の強みをいかし、とうとうウルグアイがゴールをこじ開けた。

 こうなるとイタリアも攻めに転じるしかない。39分にはピルロがFKで同点を狙うが、キックは壁に当たり、ゴール左に流れる。なおも41分、途中出場のFWアントニオ・カッサーノとMFチアゴ・モッタがボールをつなぎ、ゴール前へ。だが、カッサーノのラストパスがつながらず、決定的チャンスにはならない。最後はGKのブッフォンも前線に上がって総攻撃を仕掛けたものの、タイスコアに持ち込むことはできなかった。

 負けられない戦いを制したウルグアイは決勝トーナメント1回戦では日本の属するC組の1位と29日に対戦する。一方、前々回の覇者イタリアは初戦でイングランドに勝って好スタートを切りながらの連敗。前回に続くグループリーグ敗退の屈辱を味わった。

(石田洋之)

【イタリア】
GK
ジャンルイジ・ブッフォン
DF
マッティア・デ・シーリオ
ジョルジョ・キエッリーニ
マッテオ・ダルミアン
アンドレア・バルザーリ
レオナルド・ボヌッチ
MF
クラウディオ・マルキージオ
アンドレア・ピルロ
マルコ・ベラッティ
→チアゴ・モッタ(75分)
FW
マリオ・バロテッリ
→マルコ・パローロ(HT)
チーロ・インモービレ
→アントニオ・カッサーノ(71分)

【ウルグアイ】
GK
フェルナンド・ムスレラ
DF
ディエゴ・ゴディン
ホセ・ヒメネス
マルティン・カセレス
MF
アルバロ・ペレイラ
→クリスティアン・ストゥアーニ(63分)
クリスティアン・ロドリゲス
→ガストン・ラミレス(78分)
ニコラス・ロデイロ
→マキシミリアーノ・ペレイラ(HT)
エヒディオ・アレバロ
アルバロ・ゴンザレス
FW
ルイス・スアレス
エディンソン・カバーニ