25日(日本時間)、FIFAワールドカップブラジル大会のグループD最終節で、コスタリカ代表がイングランド代表に0−0で引き分けた。ウルグアイ、イタリアに連勝し、勢いに乗るコスタリカは、イングランドを相手にしても堅い守りを披露。GKケイラー・ナバスを中心にゴールを最後まで割らせなかった。勝ち点1を積み上げたコスタリカは、2勝1分け、勝ち点7でグループDを1位で通過した。一方、56年ぶりにグループリーグ(GL)敗退となったイングランドは、今大会初の勝ち点。GL3連敗は免れた。

 コスタリカ・守護神ナバス、2試合連続完封(ベロオリゾンテ)
コスタリカ 0−0 イングランド


 コスタリカが“死の組”を無敗で1位通過した。前々回王者で4度の優勝を誇るイタリア、第1回大会を含め2度制しているウルグアイ、サッカーの母国で1度頂点に立っているイングランド。優勝経験のある強豪3チームが揃うグループDで、戦前にコスタリカの躍進を予想した者はいただろうか。コスタリカが世界を驚かす快進撃を見せている。

 既に前節でGL突破を決め、この日は引き分け以上でトップ通過となる。MFクリスティアン・ボラニョスらがスタメンから外れたが、FWジョエル・キャンベル、MFブライアン・ルイスなど、前の試合とほぼ変わらぬメンバーで臨んだ。フォーメーションは5−4−1。ボランチ2人を含む7人で守備ブロックを敷き、手数をかけずカウンターから活路を見出すスタイルだ。

 一方のイングランドは、GL敗退が決定している。エースのFWウェイン・ルーニー、キャプテンのMFスティーブン・ジェラードをベンチに置き、DFルーク・ショー、MFジャック・ウィルシャーなど若手主体のメンバーを組んだ。積極的に前で仕掛けるタイプのアタッカーも多く起用した。

 前半12分、ウィルシャーのパスからFWダニエル・スターリッジがペナルティエリア手前でミドルシュートを放った。ゴール右に外れたが、攻めの姿勢が窺えた。

 23分には、コスタリカがゴールほぼ正面約25メートルの好位置でFKを獲得。MFセルソ・ボルヘスの蹴ったボールは鋭いカーブを描き、ゴール左上を襲った。ここはGKベン・フォスターが右手一本で触れると、ゴールポストを叩いた。

 35分には左からのCKでファーサイドのDFフィル・ジョーンズが頭で中へ折り返すと、スターリッジがフリーで合わせた。しかし、スターリッジのヘディングシュートは枠を越え、ゴールが遠い。その後もスターリッジを中心にイングランドが攻め立てるが、コスタリカ守護神・ナバスの牙城を崩せぬまま前半を終えた。

 後半に入っても、ナバスはイングランド攻撃陣の前に立ちふさがった。4分、ショーのミドルシュートがDFに当たると、裏へと抜け出したスターリッジへの絶妙なパスになる。スターリッジはトラップした隙をナバスは見逃さない。少し前に流れたボールに対し、一気に距離を詰めセービング。シュートすら打たせなかった。

 コスタリカは、攻撃ではカウンターからチャンスを作る。17分、高い位置でルイスがボールをカットすると、途中出場のボラニョスへパスを送る。ボラニョスはミドルレンジからシュートを狙う。シュートはフォスターに阻まれたが、鋭いカウンターを見せつけた。

 イングランドは20分、右サイドでボールを持ったスターリッジがウィルシャーとのワンツーで抜け出すと、ゴール左隅を狙ったシュートを放つ。だが、ボールはわずか2個分ほど外れ、得点にならない。

 サッカーの母国の威信にかけて、イングランドは28分にジェラード、31分にはルーニーと、顔役を次々とピッチに送り込んだ。

 35分には最終ラインからのロングパスをルーニーが胸トラップ。ミドルレンジからのループシュートを狙った。ここでもナバスが砦となった。背番号1は右手一本で枠外へかき出した。コスタリカはその後も守護神のナバスが抜群の存在感を放ち、ディフェンスリーダーのジャンカルロ・ゴンサレスらとともに形成する堅固な守りは最後まで崩れなかった。

 試合はスコアレスドロー。コスタリカは土つかずのまま、決勝トーナメント1回戦へと進む。日本が可能性を残すグループC2位と、同国初のベスト8をかけて戦う。前線にいる3人のアタッカーの個人技に頼るシンプルな攻撃だが、その分、無駄が削ぎ落とされており鋭利な刃物を思わせる。守りも3試合で1失点と安定しているだけに、ノックアウトラウンドでも“ロス・ティコス”が台風の目になる可能性は十分にある。

(杉浦泰介)

【コスタリカ】
GK
ケイラー・ナバス
DF
ジャンカルロ・ゴンサレス
ミチャエル・ウマニャ
ロイ・ミラー
フニオル・ディアス
クリスティアン・ガンボア
MF
セルソ・ボルヘス
→ミチャエル・バランテス(78分)
ジェルトシン・テヘダ
ブライアン・ルイス
ランダル・ブレネス
→クリスティアン・ボラニョス(59分)
FW
ジョエル・キャンベル
→マルコス・ウレーニャ(65分)

【イングランド】
GK
ベン・フォスター
DF
ガリー・ケイヒル
クリス・スモーリング
フィル・ジョーンズ
ルーク・ショー
MF
フランク・ランパード
ジャック・ウィルシャー
→スティーブン・ジェラード(73分)
ジェームズ・ミルナー
→ウェイン・ルーニー(76分)
アダム・ララーナ
→ラヒーム・スターリング(62分)
ロス・バークリー
FW
ダニエル・スターリッジ