25日(日本時間)、FIFAワールドカップブラジル大会のグループC最終節で、ギリシャ代表(同12位)がコートジボワール代表(FIFAランキング23位)を2−1で破り、初の決勝トーナメント進出を決めた。ギリシャは前半に2選手が負傷交代を余儀なくされる苦しい展開ながら、相手のミスに乗じて先制する。後半に入って同点に追いつかれたものの、アディショナルタイムにPKを獲得。これを決めて勝ち越し、グループ最下位からの逆転でベスト16入りを果たした。

 コートジボワール、残り数分で暗転(フォルタレーザ)
ギリシャ 2−1 コートジボワール
【得点】
[ギ] アンドレアス・サマリス(42分)、ゲオルギオス・サマラス(90+3分)
[コ] ウィルフリード・ボニー(74分)

 最後の最後まで諦めなかったギリシャがドラマを起こした。
 キックオフの時点では決勝トーナメント進出へのハードルは決して低くなかった。目の前のコートジボワールに勝ち、かつコロンビアと対戦する日本が引き分け以下に終わることが突破への条件。まずは勝利が大前提のギリシャは、立ち上がりから積極的に相手陣内に攻め上がる。

 しかし、勝って自力で突破を目指すコートジボワールもエースストライカーのFWディディエ・ドログバをスタメンに入れ、必勝態勢をとった。10分にはドログバから、FWジェルビーニョとつないで一気に相手陣内に襲いかかり、CKを獲得するなど、個の力でゴールを奪いに行く。

 そんな12分、ギリシャにアクシデントが発生する。MFパナギオティス・コネが左太ももを痛めて交代。点を獲らなくてはいけない試合で攻撃の選手を早々に失う。さらに23分には守護神のGKオレスティス・カルネジスが腰を痛めて自らベンチに退くことを申し出、早くも交代枠を2つも使う非常事態に追い込まれた。

 それでもギリシャは粘り強かった。個人技で突破をはかるコートジボワールの攻撃を体を張ってしのぎ、カウンターでチャンスをつくる。33分には左サイドから侵入し、FWゲオルギオス・サマラスからDFホセ・ホレバスとつないでミドルシュート。ボールは惜しくもバーをたたく。

 そして42分、先制点が生まれる。相手陣内でコートジボワールのパスをカットし、サマラスと途中出場のアンドレアス・サマリスが中央を駆け上がる。相手DFが戻りきれないまま、サマリスが右足を振り抜き、ゴールネットを揺らした。1−0。ギリシャにとっては願ってもないかたちで1点を先行する。

 コートジボワールは押し気味で試合を進めたものの、個人頼みで組織としての連動がなく、失点のシーンに象徴されるようにミスも目立った。後半に入ると、追いつきたいコートジボワールは攻勢をさらに強め、4分にはジェルビーニョのパスを受けてMFイスマエル・ティオテがシュート。11分にはドログバからFWサロモン・カルーへスルーパスを送るなどゴールに迫る。
 
 この時点で日本はリードを許しており、ギリシャは1点を守り切れば決勝トーナメント進出の芽が出てきた。そこで前線に人数はかけず、守りを固め、ボールを奪えばカウンターを仕掛ける戦法を採る。

 だが、そうはさせじとコートジボワールは守備網を打ち破る。29分、カルーのスルーパスにジェルビーニョがペナルティエリア内を抜け出す。折り返しのボールに合わせたのは途中出場のFWウィルフリード・ボニー。1−1の同点。このままいくと、今度はコートジボワールがグループリーグを突破する状況へと変わった。

 再び攻めるしかなくなったギリシャは、残り1枠の交代を使ってベテランFWのテオファニス・ゲカスを投入。チャンスとみるや積極的にシュートを放ち、勝ち越しを狙う。42分にはFWディミトリオス・サルピンギディスが右サイドから斜めに走ったところへ縦パスが送り込まれたが、ゴール前に詰めている選手がおらず、ビッグチャンスを逃した。

 試合は、いよいよアディショナルタイムへ。コートジボワールに初の決勝トーナメント進出が見えてきたかに思われた。しかし、ギリシャは諦めず、相手陣内に入り込み、左からホレバスがマイナスのクロス。これに反応したサマラスをコートジボワールのDFが後ろからひっかけて倒した格好になってしまう。

 ファウルかどうか微妙に見えたが、レフェリーの判定はPK。土壇場でギリシャは絶好機が巡ってくる。チームの命運を託されたサマラスは右足でゴールに突き刺し、歓喜の瞬間を迎えた。ギリシャは3度目の出場で初めてのベスト16入り。グループ2位の突破で、決勝トーナメント1回戦ではD組1位のコスタリカと激突する。

(石田洋之)

【ギリシャ】
GK
オレスティス・カルネジス
→パナギオティス・グリコス(24分)
DF
コンスタンティノス・マノラス
バシリオス・トロシディス
ソクラティス・パパスタソプーロス
ホセ・ホレバス
MF
ヨアニス・マニアティス
パナギオティス・コネ
→アンドレアス・サマリス(81分)
ゲオルギオス・カラグーニス
→テオファニス・ゲカス(78分)
ラザロス・フリストドゥロプーロス
FW
ゲオルギオス・サマラス
ディミトリオス・サルピンギディス

【コートジボワール】
GK
ブバカル・バリー
DF
アルトゥール・ボカ
コロ・トゥレ
セルジュ・オーリエ
スレイマヌ・バンバ
MF
イスマエル・ティオテ
→ウィルフリード・ボニー(61分)
ヤヤ・トゥーレ
セレイ・ディエ
FW
サロモン・カルー
ジェルビーニョ
→ジョバンニ・シオ(82分)
ディディエ・ドログバ
→イスマエル・ディオマンデ(78分)