27日(日本時間)、FIFAワールドカップブラジル大会のグループG最終節で、ポルトガル代表(FIFAランキング4位)がガーナ代表(同37位)を2−1で破り、今大会初勝利をあげた。1−1の同点で迎えた後半35分、エースのFWクリティアーノ・ロナウドが勝ち越し弾を決めた。この結果、1勝1敗1分で勝ち点を4に伸ばしたが、同勝ち点で並んだ米国に得失点差で及ばず、決勝トーナメント進出はならなかった。

 C・ロナウド、今大会初得点も実らず(ブラジリア)
ポルトガル 2−1 ガーナ
【得点】
[ポ] オウンゴール(31分)、クリスティアーノ・ロナウド(80分)
[ガ] アサモア・ギャン(57分)

 今大会初ゴールを決めたC・ロナウドはニコリともしなかった。
 両チームとも自力でのグループリーグ突破の可能性はなく、勝って、もう1カードの米国−ドイツの結果に身をゆだねるしかない状況。得失点差を考えても、できるだけ得点をあげて大勝したい一戦だった。

 この日のC・ロナウドは多くのチャンスを演出するも、結果的にゴールは勝ち越し弾の1点のみ。昨年の世界最優秀選手は、ここで大会を去ることになった。

 左足故障の影響もあって精彩を欠いた2戦と比較すれば、見せ場はつくった。まず、立ち上がりの5分、縦パスを受けて右サイドを抜け出し、相手GKの頭上を破るシュートを放つ。これは惜しくもバーに嫌われ、得点にはならない。

 ならばと12分にはFKのキッカーとして右足を振り抜く。ボールはゴールの右を襲ったものの、GKにパンチングでクリアされた。セットプレーがダメなら空中戦だ。19分、右からのクロスにファーサイドへ飛び込み、フリーになる。決定的なシーンを迎えたが、ヘディングシュートは相手GKが手を伸ばして弾き出した。

 C・ロナウドに触発されたのか、ガーナもエースストライカーのFWアサモア・ギャンが躍動する。20分にはロングフィードに対して相手DFラインの裏をとり、右足でシュート。23分にはペナルティエリア右外でのFKでファーサイドをとって頭で合わせる。いずれもGKに阻まれたものの、両エースの意地がぶつかり合う試合展開となった。

 しかし、ゴールはこの2人からではなく、思わぬところから生まれる。31分、ポルトガルは左サイドの深い位置からMFミゲル・ベローゾがゴール前へのC・ロナウドらを狙ってクロスをあげる。これをクリアしようとガーナのDFジョン・ボイェがジャンプするとボールは体に当たり、ポストにはね返ってゴールの中へ。痛恨のオウンゴールでポルトガルに1点を献上してしまった。

 1点をもらったポルトガルは追加点を狙うべく、32分にはC・ロナウドが3人のマークをものともせず、左サイドからシュート。これはGK正面を突いたが、試合の流れをつかみ、前半を終了する。

 だが、ガーナもこのままでは終われない。後半に入ると、立ち上がりにギャンが左サイドから自ら持ち込み、右足を振り抜く。揺らしたのはサイドネットだったが、12分に再び好機が巡ってくる。

 左サイトからMFクワドゥオ・アサモアが左のアウトサイドでクロスを供給。ボールコントロールが難しいキックながら、中央に走り込んできたギャンにピンポイントで合う。頭で押し込むと、同点ゴールになった。

 1−1。この時点で、もう1カードは米国がドイツに1点を先行されており、ガーナは勝ち越せば、グループリーグ突破の可能性が開けてくる。俄然、スイッチが入ったアフリカの雄は16分、ギャンが左サイドから低いボールを入れ、ファーサイドでFWマジード・ワリスが倒れ込みながら頭を合わせる。しかし、ボールはわずかに枠の右。ガーナは攻勢に出るもゴールは奪えず、試合時間は残り少なくなっていく。

 そんな後半35分、勝ち越しゴールをあげたのがC・ロナウドだ。左サイドからFWナニにあげたクロスが相手DFとGKに当たり、こぼれたところに待ち構えていた。左足を一閃すると、ボールはゴールネットに突き刺さった。

 しかし、得失点差で不利なポルトガルは1点リードでは先に進めない。38分には、C・ロナウドの中央突破から最後はシュートを放つも、相手GKに弾き出される。アディショナルタイムにはナニからの低いクロスをC・ロナウドが体ごと押し込もうとしたが、ボールはわずかのバーの上へ飛んだ。

 さらにチャンスは続き、縦への抜け出しからGKと1対1に。だが、またもやゴールを防がれ、リードを広げられない。4分間のアディショナルタイムが終了し、両チームにとって終戦を告げるホイッスルが鳴った。

 ポルトガルはC・ロナウドが万全のコンディションでなかったことに加えて故障者が続出し、この日の控えメンバーは7名しかいなかった。一方のガーナもチーム内のごたごたで主力2選手が試合当日にガーナ協会から出場停止処分を受けた。いずれもチーム内に不安がある状況では勝ち進むには値しなかった。

(石田洋之)

【ポルトガル】
GK
ベト
→エドゥアルド(88分)
DF
ブルーノ・アルベス
ペペ
ジョアン・ペレイラ
→シウベストレ・バレラ(61分)
MF
ミゲル・ベローゾ
ウィリアム・カルバーリョ
ジョアン・モウティーニョ
ルベン・アモリム
FW
クリスティアーノ・ロナウド
エデル
→ビエイリーニャ(69分)
ナニ

【ガーナ】
GK
ファタウ・ダウダ
DF
ジョナサン・メンサー
ジョン・ボイェ
ハリソン・アッフル
MF
クリスティアン・アツ
エマニュエル・アギェマン・バドゥ
アンドレ・アイェウ
→ワカソ・ムバラク(81分)
モハメド・ラビウ
→アフリエ・アクアー(76分)
クワドゥオ・アサモア
FW
アサモア・ギャン
マジード・ワリス
→ジョルダン・アイェウ(71分)