27日(日本時間)、FIFAワールドカップブラジル大会のグループG最終節で、ドイツ代表が米国代表に1−0で勝利した。引き分け以上で決勝トーナメント進出が決まる両国。前半は大きな動きなく終了した。後半10分にFWトーマス・ミュラーが決め、ドイツが先制。ドイツはその後も攻勢を仕掛けるが、追加点を奪えなかった。守備陣は、今大会2試合目の完封。勝ち点7で首位でのグループリーグ(GL)突破を決めた。敗れた米国は、ポルトガルに勝ち点で並ばれたが得失点差で上回った。2位で2大会連続の決勝トーナメント進出となった。

 ミュラー、2大会連続得点王へ4ゴール目(レシフェ)
米国 0−1 ドイツ
【得点】
[ド] トーマス・ミュラー(55分)


 ドイツが米国を下し、グループ首位で1位通過を果たした。敗れた米国も、他会場の結果により2位を守った。

 ともに初戦を勝利し、2戦目を引き分けたドイツと米国。試合前の時点で勝ち点4で、得失点差によりドイツがグループ1位、米国が2位につけていた。ガーナとポルトガルはいずれも勝ち点1。ドイツと米国はこの試合を引き分けでも決勝トーナメント進出が決まる。敗れたとしても得失点差により、モチベーションの難しいゲームだった。雨が降りしきるピッチコンディンションも良好とはいえず、ケガのリスクを含めると、あまり無理はしたくない。そんな両国の思惑がわずかに見え隠れする試合だった。

 序盤から攻勢を仕掛けたのはドイツだった。両サイドハーフのメスト・エジルとルーカス・ポドルスキの突破からチャンスを作る。しかし、センタリングがわずかに中に飛び込む選手に合わなかった。31分にはMFトニ・クロースがミドルシュート。35分にはペナルティエリア内右でボールを持ったエジルが、DFの股間を抜くシュート。いずれもGKのほぼ正面をつき、ゴールにはならなかった。前半を終えて、ドイツがボールポゼッション率は6割を占めた。

 なかなか米国の守備陣をこじ開けられないと見るや、ドイツのヨアヒム・レーブ監督はポドルスキに代えて、ミロスラフ・クローゼを投入した。前の試合でゴールを決め、W杯通算最多得点記録(15点)に並んだベテランストライカーをトップに上げ、代わりにミュラーをポドルスキのポジションに下げた。

 その効果がすぐに生まれたのか、7分にはMFバスティアン・シュバインシュタイガーの左からのクロスにクローゼが頭で合わせた。シュートはミートせず、ゴール右に外れたが、オフサイドぎりぎりで飛び出したクローゼのFWらしい動きは、相手に脅威を与えたはずだ。

 すると、その4分後に試合が動く。右CKを得たドイツは、エジルがショートコーナーを選択。リターンパスを受けて、ニアサイドにセンタリングを上げる。それを頭で合わせたのは、DFペア・メルテザッカー。198センチの長身から繰り出されたヘディングシュートがゴール左を襲ったが、GKティム・ハワードの好セーブに遭う。ハワードの弾いたボールが転々と、ペナルティエリアのラインを割ろうとした。そのこぼれ球を拾ったのがミュラーだ。

 前回大会得点王は冷静に詰めた。ゴール右に狙いすましたシュート。飛びついたハワードも届かぬ、絶妙なコースだった。これでミュラーは今大会4得点目。ネイマール、リオネル・メッシと並び得点ランキングトップタイに立った。通算得点でも9得点目。W杯との相性の良さを見せた。

 ドイツはこのわずかなリードをほとんど危なげなく守り抜いた。アディショナルタイムに一瞬、ヒヤリとする場面もあったが、キャプテンのフィリップ・ラームが体を張ってゴールを守り、ポルトガル戦以来の完封勝利。16大会連続で決勝トーナメント進出を決めた。次はポルトアレグレでグループH2位を迎え撃つ。ここまで好調のミュラーが史上初の2大会連続得点王へ、どこまでゴール数を伸ばせるかにも注目だ。

(杉浦泰介)

【米国】
GK
ティム・ハワード
DF
オマール・ゴンザレス
マット・ベスラー
ファビアン・ジョンソン
ダマーカス・ビーズリー
MF
カイル・ベッカーマン
ジャーメイン・ジョーンズ
マイケル・ブラッドリー
ブラッド・デイビス
→アレハンドロ・ベドヤ(59分)
グラハム・ズシ
→デアンドレ・イェドリン(84分)
FW
クリント・デンプシー

【ドイツ】
GK
マヌエル・ノイアー
DF
マッツ・フンメルス
ペア・メルテザッカー
ジェローム・ボアテング
ベネディクト・ヘーベデス
MF
フィリップ・ラーム
バスティアン・シュバインシュタイガー
→マリオ・ゲッツェ(76分)
トニ・クロース
メスト・エジル
→アンドレ・シュールレ(89分)
ルーカス・ポドルスキ
→ミロスラフ・クローゼ(46分)
FW
トーマス・ミュラー