27日（日本時間）、FIFAワールドカップブラジル大会のグループＨ最終節で、ベルギー代表（FIFAランキング11位）が韓国代表（同57位）を１−０で下し、３戦全勝の勝ち点９で１位通過を決めた。韓国は１分２敗の勝ち点１でグループリーグ敗退となった。決勝トーナメント進出には勝利が第一条件となる韓国は序盤からチャンスをつくり、前半終了間際には相手の退場で数的優位に立つ。しかし、ゴールを奪えず、逆に後半33分にカウンターで決勝点を許した。
アジア勢、１勝もできず（サンパウロ）
韓国 ０−１ ベルギー【得点】
［ベ］ ヤン・ベルトンゲン（78分）
アジアにとっては“ブラジルの悲劇”とも言える惨敗だ。
グループリーグ突破に一縷の望みがあった韓国も敗れ、今大会の成績は４カ国で３分９敗。4.5枠が与えられていた大陸出場枠にも次回は大きな影響が出そうだ。
韓国が決勝トーナメントに進出するには勝利、しかも、大勝することが条件。その上で別会場で対戦中のアルジェリアとロシアの結果を待つしかない状況だった。
一方、ベスト16入りを決めているベルギーは前節からスタメンを７名も変更。引き分けでも１位通過が決まるとあって、先を見越した選手起用となった。
先制点を奪いたい韓国は10分、右サイドでのFKから逆サイドにボールが流れ、DFキム・ヨングォンがシュートを放つも、枠を大きく外れる。22分にはMFイ・チョンヨンがDFラインの裏をとり、DFイ・ヨンが縦へのロングボールを供給したが、長すぎてそのままゴールラインを割った。韓国はDFラインを高くして、攻撃に人数をかけるものの、肝心な部分でのパスやシュートの精度が低く、決定的な場面をつくれない。
すると、25分ベルギーはゴール前での競り合いから、FWケビン・ミララスがシュート。DFに当たったこぼれ球がMFドリース・メンテルスに渡る。完全にフリーで目の前にはGKしかいない状況だったが、メンテルスのシュートはバーの上に飛び、決めきれない。韓国にはツキがまだ残っているように感じられた。
点がほしい韓国は30分、MFキ・ソンヨンが中央からドリブルで上がり、思い切ってミドルシュートを放つ。これをGKがはじいてCKを獲得。そこからゴール前で競ったボールが枠内に吸い込まれそうになる。しかし、相手GKティボー・クルトワが懸命にかき出し、得点は認められない。
そんな前半終了間際、ベルギーのMFスティーブン・デフールがぶつかって倒れた相手の足を踏みつけたとみなされ、レッドカードで退場になる。微妙な判定ながら、韓国にとっては数的優位にも立ち、後半に希望が見えるかたちで試合を折り返した。
後半に入ると、韓国はFWイ・グノ、MFキム・ボギョンらＪリーグでもプレー経験のある攻撃の選手を投入。何が何でも点をとる意志をみせる。そのイ・グノは６分、イ・チョンヨンのクロスにジャンプして頭を合わせるも、ボールはバーの上へ抜けていく。16分にはCKにキ・ソンヨンがヘディングシュートをみせたが、GKの正面を突いた。
守りに力点を置いたベルギーに対し、韓国は攻めても攻めてもゴールをこじ開けられない。時間の経過とともに、選手は焦りと疲労から守備への意識が薄くなる。そこを最終的には相手につけこまれた。
33分、カウンターからベルギーが攻め上がると、韓国の選手は戻りきれない。FWディボック・オリギの強烈なシュートは、GKキム・スンギュが何とか止めたが、そのはね返りをケアする味方は誰もいなかった。DFヤン・ベルトンゲンが目の前に転がってきたボールを落ち着いて流し込み、１−０。ベルギーはDFの選手がここぞとばかりに前線に上がっており、仕掛けどころをわきまえていた。
痛い失点で絶望的な状況に追い込まれた韓国は35分にはイ・グノがスルーパスに合わせて裏へ抜けるが、うまく合わせられず、シュートは枠を外れる。アディショナルタイムにはイ・ヨンがミドルシュートを放って最後まで諦めない姿勢はみせたが、やはり１点が遠かった。
３連勝で１位通過を決めたベルギーは、決勝トーナメント１回戦でＧ組２位の米国と７月２日に対戦する。
（石田洋之）
【韓国】GK
キム・スンギュ
DF
ユン・ソギョン
キム・ヨングォン
イ・ヨン
ホン・ジョンホ
MF
ソン・フンミン
→チ・ドンウォン（73分）
ハン・グギョン
→イ・グノ（HT）
キ・ソンヨン
イ・チョンヨン
FW
ク・ジャチョル
キム・シンウク
→キム・ボギョン（66分）
【ベルギー】 GK
ティボー・クルトワ
DF
ヤン・フェルトンヘン
ダニエル・ファン・ブイテン
ニコラス・ロンバーツ
アンソニー・バンデン・ボーア
MF
マルアン・フェライニ
ドリース・メルテンス
→ディボック・オリギ（60分）
スティーブン・デフール
ムサ・デンベレ
アドナン・ヤヌザイ
→ナセル・シャドリ（60分）
FW
ケビン・ミララス
→エデン・アザール（88分）