27日(日本時間)、FIFAワールドカップブラジル大会のグループH最終節でアルジェリア代表がロシア代表と1−1で引き分けた。試合は6分にFWアレクサンドル・ココリンのゴールでロシアが先制。追いかけるアルジェリアも攻勢を仕掛けるが、得点を奪えぬまま前半を終えた。アルジェリアは後半15分にセットプレーからFWイスラム・スリマニが決め、同点に追いつく。引き分けでグループリーグ(GL)を突破できるアルジェリアは残り30分間を耐え抜いた。アルジェリアは4度目の出場で初の決勝トーナメント進出を果たした。

 ロシア、28年ぶりのベスト16入りならず(クリチーバ)
アルジェリア 1−1 ロシア
【得点】
[ア] イスラム・スリマニ(60分)
[ロ] アレクサンドル・ココリン(6分)


 アルジェリアが“4度目の正直”で悲願の決勝トーナメント進出を果たした。

 24年ぶりに出場した前回の南アフリカ大会では1ゴールも挙げられず3戦全敗の屈辱を味わった。今大会はまずベルギーに善戦すると、2戦目の韓国からは32年ぶりの勝利をもぎとった。勝ち点3で、2連勝のベルギーに次ぐ2位につけ最終節を迎えた。

 一方、勝たなければGL突破の道はないロシアは序盤から積極的に仕掛けた。早くもそれが実を結んだのは6分だった。中央でボールを持ったMFビクトル・ファイズリンが左サイドへ展開。左サイドバックのドミトリ・コムバロフは早いタイミングでクロスを中に放り込んだ。ニアサイドに飛び込んだのはココリン。ドンピシャで合わせた打点の高いヘディングにGKライス・エンボリは、ボールの行方を見つめることしかできなかった。ロシアが先制に成功。28年ぶりの決勝トーナメント進出をグッと手繰り寄せた。

 ココリンは19分にも、右サイドからMFアレクサンドル・サメドフのクロスに頭で合わせた。ミートし切らず、ゴール左に逸れていったが、国内の強豪ディナモ・モスクワに所属する23歳のストライカーの好調ぶりが窺えた。

 一方、このままだとロシアに勝ち点で抜かれ、GL突破が潰えてしまうアルジェリアもセットプレーから活路を見出す。30分、43分にはCKからのヘディングでゴールを脅かすが、ロシアの守護神イゴール・アキンフェエフに阻まれる。45分には左サイドで得たFKから、195センチの長身DFエサイド・ベルカレムが頭で合わせたが、バーのはるか上を飛んで行った。前半は1点のビハインドのまま終えた。

 後半開始早々にチャンスを作ったのはロシア。サメドフがココリンとのワンツーで抜け出し、GKと1対1の絶好機を迎えた。ここで立ち塞がったのが日本でもプレー経験のあるエンボリだ。鋭い飛び出しでシュートコースを消し、身を挺してセーブした。エンボリの活躍でロシアに追加点を許さなかった。

 絶体絶命のピンチを切り抜けたアルジェリア。徐々にペースを取り戻していく。すると15分に左サイドでFKを得た。前半はセットプレーで3度のチャンスを生かせなかった。いわば“4度目の正直”となるプレースキック。蹴るのは、そのうちの2本を任されていたヤシン・ブラヒミだ。右足から放たれた正確なクロスは、飛び出したGKの手の届かないファーサイドの絶妙なコースに飛んで行った。高い打点からのヘディングでゴールへ突き刺したのはスリマニ。エースの2試合連続ゴールで、アルジェリアが同点に追いついた。

 その後は反撃を試みたロシアが、36分までに交代カードを使い切ったが、どれも不発に終わった。試合は1−1のスコアのまま終わり、アルジェリアが勝ち点4、ロシアが同2となった。別会場で試合をしていた韓国がベルギーに負けたため、勝ち点1のまま。グループ2位の座を賭けた椅子取りゲームは、アルジェリアが勝ち取った。1982年スペイン大会、86年メキシコ大会、10年南アフリカ大会とGLで涙をのんできたアルジェリア。4度目の出場にして初のノックアウト・ラウンドに進む。グループG1位のドイツが対戦相手だ。3試合で7得点2失点と攻守も安定している。初出場のスペイン大会でアルジェリアが掴んだ初白星は、当時の優勝候補・西ドイツからだった。32年前のアップセットの再現なるか。

(杉浦泰介)

【アルジェリア】
GK
ライス・エンボリ
DF
エサイド・ベルカレム
ラフィク・ハリシュ
アイサ・マンディ
ジャメル・メスバ
MF
カール・メジャニ
ナビル・ベンタレブ
アブデルムメヌ・ジャブ
→ナビル・ギラス(77分)
ソフィアヌ・フェグリ
ヤシン・ブラヒミ
→ハッサン・イェブダ(71分)
FW
イスラム・スリマニ
→エル・アルビ・スダニ(91分)

【ロシア】
GK
イゴール・アキンフェエフ
DF
セルゲイ・イグナシェビッチ
バシリ・ベレズツキ
アレクセイ・コズロフ
ドミトリ・コムバロフ
MF
デニス・グルシャコフ
→イゴール・デニソフ(46分)
ビクトル・ファイズリン
アレクサンドル・サメドフ
オレグ・シャトフ
→アラン・ジャゴエフ(67分)
FW
アレクサンドル・ココリン
アレクサンドル・ケルジャコフ
→マクシム・カヌンニコフ(81分)