(写真:宮澤<左から2番目。52番>はインサイドでも活躍。両軍最多の4ブロック)

 2日、女子バスケットボールの第20回Wリーグプレーオフ・ファイナル第1戦が東京・大田区総合体育館で行われ、レギュラーシーズン1位のJX-ENEOSサンフラワーズが同3位の三菱電機コアラーズを91-68で下した。第1Qを28-23とリードしたJX-ENEOSは、Qを重ねるごとに得点の差を開いていった。第1戦をモノにし、前身の日本リーグを含めても史上最多となる11連覇へ王手。3日に同会場で開催される第2戦に勝利すれば、通算22回目の優勝が決まる。

 

 宮澤、3ポイント4本成功するなど両軍最多22得点(大田区総合体育館)
JX-ENEOSサンフラワーズ 91-68 三菱電機コアラーズ
【第1Q】28-23【第2Q】21-14【第3Q】24-19【第4Q】18-12

 

(写真:激しいディフェンスが持ち味。今季70失点以上は4試合のみである)

 レギュラーシーズン20勝2敗の女王JX-ENEOSは、プレーオフでもその強さを発揮している。セミファイナルはレギュラーシーズン4位のデンソーアイリスに2連勝。2戦とも失点を60点以下に抑えたディフェンスの堅さが持ち味だ。さらに個々の能力が高く得点能力も十分。センターフォワード(CF)渡嘉敷来夢、フォワード(F)宮澤夕貴、ガード(G)吉田亜沙美ら現役・元日本代表を多く揃え、攻守ともにスキがない。

 

 対する三菱電機は16勝6敗と3位でプレーオフに進出。6位のトヨタ紡織サンシャインラビッツ、2位のトヨタ自動車アンテロープスを破って初のファイナルに進出した。JX-ENEOSのキャプテンを務める吉田は「三菱さんはクォーターファイナルから調子を上げてきていて、タフなゲームを勝ち取ってきた勢いのあるチーム。レギュラーシーズンの時とは違うチームになっていて、すごく怖い存在だった」と評する。

 

(写真:チーム初のファイナルの舞台を楽しんでいる三菱電機)

 今シーズン、JX-ENEOSは吉田をベンチの切り札として置いておき、スターターの司令塔役にはGの藤岡麻菜美を起用している。また長年チームを支えていた大崎佑圭が選手登録から外れているため、2年目のC梅沢カディシャ樹奈を抜擢。レギュラーシーズン全22試合のスターターは渡嘉敷、梅沢、宮澤、ガードフォワード(GF)の岡本彩也花、藤岡が務めた。この日のファイナルでもレギュラーシーズンと変わらぬラインアップで三菱電機を迎えた。

 

 先制点を挙げたのは三菱電機だったが、すぐさまJX-ENEOSが取り返す。4-6の場面では梅沢がインサイドで相手のファウルを受けながら得点を決める。バスケットカウントワンスローも着実に入れる3点プレーで差を逆転した。藤岡は自陣でスティールすると、速攻を仕掛ける。一度はペースダウンさせられたが、ジャンプシュートを確実に決めた。

 

(写真:宮澤は「明日もチャンスがあればどんどん打っていきたい」と意気込む)

 勢いに乗るJX-ENEOSは、ここでスコアラーの宮澤が本領発揮した。スリーポイントを連続で入れて、三菱電機を突き放す。アウトサイドのシュートも得意だが、182cmの長身と長い手足を生かしインサイドでも勝負できる。同学年の藤岡のパスからゴール下からもシュートを決めてみせた。さらに吉田がコートに投入されると、攻守のテンポが変わる。第1Qは宮澤が8得点、梅沢が7得点、藤岡が6得点と活躍。28-23とリードした。

 

(写真:高卒ルーキーの藤本は「出たらシュートを打つと決めていた」と強気に攻めた)

 5点のリードを奪ったJX-ENEOSは、第2Qで21得点、第3Qで24得点を挙げた。第4Q終盤には渡嘉敷、宮澤ら主力を休ませた。ルーキーのF藤本愛瑚ら若手がコートに立った。このQは18得点だったものの、12失点に抑えた。終わってみれば91-68と23点差。危なげない試合だった。

 

 宮澤は3ポイントを4本成功するなど22得点。6リバウンドに加え4ブロックを記録した。渡嘉敷は16得点9リバウンド6アシスト3ブロックとオールラウンドな活躍を見せ、梅沢は12得点8リバウンドだ。岡本と吉田も2ケタ得点を挙げ、チーム全体のフィールドゴール成功率は56.5%。佐藤清美HCは「1人1人がバスケットにアタックしてくれた」と91得点を挙げたオフェンス面を評価した。勝因には「ディフェンスのところは68点取られたので修正しなければいけないと思いましたが、オフェンスは3ポイントの成功率52.6%だった。第3Qのところで走り切れたのが勝ちに繋がった」と挙げた。

 

(写真:「40分間通して自分たちのディフェンスをやり切らなければいけない」と語る吉田)

 勝ったJX-ENEOSだが、気を緩める様子は殊更ない。佐藤HCが「とにかく今日の試合勝てたことにホッとしている。ただ第1Qの立ち上がり、後半の立ち上げの失点が多かったのが反省点。明日に向けて修正していきたい」と口にすれば、吉田も「大事な一戦を勝てたことは良かったが、まだまだディフェンスの部分でソフトになったり、簡単に3ポイント打たれたり、ローテーションがうまくできていなかった。これらが試合を通して出ていた。明日はタフなゲームになってくる」と続いた。

 

(文・写真/杉浦泰介)