30日(日本時間)、FIFAワールドカップブラジル大会の決勝トーナメント1回戦で、コスタリカがギリシャをPK戦の末に下し、初のベスト8進出を果たした。試合は前半から両チームが互いにシュートに持ち込むんだものの、無得点のまま試合を折り返した。試合が動いたのは後半3分、コスタリカがFWブライアン・ルイスのゴールで先制した。そのまま後半終盤へ突入し、コスタリカ勝利かと思われた。だが、アディショナルタイムにDFソクラティス・パパスタソプーロスが同点弾。土壇場で勝負が振り出しに戻ると、延長戦でも決着がつかずPK戦へ。コスタリカが4人連続成功したのに対し、ギリシャは4人目のFWテオファニス・ゲカスが失敗。コスタリカは5人目のDFミチャエル・ウマニャが決めて激闘にピリオドを打った。コスタリカは準々決勝でオランダと対戦する。

 GKナバス、ベスト8導くPKストップ(レシフェ)
コスタリカ 1−1 ギリシャ
   PK 5−3)
【得点】
[コ] ブライアン・ルイス(52分)
[ギ] ソクラティス・パパスタソプーロス(90分+1)

“旋風”が“神話”を打ち崩した。「死の組」を突破したコスタリカが、今度はPK戦にまでもつれ込む死闘を制した。

 コスタリカは序盤、積極的シュートを狙い、主導権を掴もうとした。前半5分、DFクリスティアン・ガンボアがPA手前からミドルシュート。8分には、MFクリスティアン・ボラニョスがPA内左から左足で狙った。しかし、いずれも枠をとらえられず、先制点を奪うには至らなかった。

 すると37分、ギリシャの鋭いカウンターからピンチを迎えた。速攻からの波状攻撃で、左サイドからのクロスをFWディミトリス・サルピンギディスにファーサイドで右足で合わせられた。しかし、これをGKケイラー・ナバスが右足で弾き出すスーパーセーブ。守護神の活躍で、相手に主導権を渡すことはなかった。

 そして、後半7分、コスタリカに待望の先制点が生まれた。ボラニョスが左サイドからグラウンダーのクロス。これに中央で待っていたルイスが左足ダイレクトで合わせた。決して強い威力ではなかったが、コースを突いたシュートがゴール右下へ吸い込まれた。主将・ルイスの一撃で、コスタリカがベスト8進出へ大きなリードを奪った。

 さらに勢いに乗りたいコスタリカだったが、21分にアクシデント。DFオスカル・ドゥアルテがこの試合2枚目の警告を受けて退場となり、数的不利の状況となったのだ。ここからコスタリカはFWの数を1枚増やしたギリシャの猛攻にさらされる。37分、DFコンスタンティノス・マノラスに右CKからヘディングシュートを打たれたがゴール上へ。43分には、右サイドから低くて速いクロスを入れられたものの、FWコンスタンティノス・ミトログルのトラップが大きくなったところをナバスが必死に押さえた。

 粘り強い守りで劣勢をしのいでいたコスタリカだが、アディショナルタイムに同点弾を奪われた。ロングボールをゴール前に入れられ、受けたゲカスにPA内右からシュートを打たれた。一度はナバスがセーブしたものの、こぼれ球をパパスタソプロスに押し込まれた。コスタリカは勝利目前で、ギリシャに並ばれた。

 迎えた延長、コスタリカは疲労、数的不利の中で防戦一方。だが、守護神・ナバスを中心にギリシャの攻撃を跳ね返していった。全長前半5分、MFゲオルギオス・カラグーニスにPA外からシュートを打たれたが、DFジャンカルロ・ゴンサレスが体を張ってブロック。延長後半8分には、カウンターから2対5の状況をつくりだされたが、ナバスがMFラザロス・フリストドゥロプーロスのシュートを至近距離で防ぎ、決勝点を与えなかった。

 試合はブラジル対チリ戦に続いて2回目のPK戦へ突入した。互いに3人目までが成功。スタジアムが揺れたのは4人目だ。先攻・コスタリカのFWジョエル・キャンベルが成功し、ギリシャのゲカスがボールをセットした。ここで、ゲカスのゴール左へ蹴ったボールを、ナバスが横っ飛びしながら左手1本でストップ。1本のリードを奪ったコスタリカは、続く5人目・ウマニャがきっちりゴール左へ沈めて歓喜の瞬間を迎えた。

 後半終了間際に追いつかれて以降、コスタリカが逆転されるのは時間の問題かと思われた。しかし、全員が足を止めることなく、守備組織を堅持し続けた。その粘りが、コスタリカの強みといえる。思えばグループリーグ初戦ではウルグアイに先制されてからの逆転勝利。同第2節ではイタリア相手に前半の1点を守り切った。“粘り強い旋風”の勢いは、まだまだ弱まる気配はない。

(鈴木友多)

【コスタリカ】
GK
ケイラー・ナバス
DF
ジャンカルロ・ゴンサレス
マイケル・ウマーニャ
オスカル・ドゥアルテ
ジュニオール・ディアス
クリスティアン・ガンボア
→ジョニー・アコスタ(77分)
MF
セルソ・ボルヘス
クリスティアン・ボラーニョス
→ランダル・ブレネス(83分)
ジェルツィン・テヘダ
→MF 22 ホセ・ミゲル・クベロ(66分)
FW
ジョエル・キャンベル
ブライアン・ルイス


【ギリシャ】
GK
オレスティス・カルネジス
DF
ヤニス・マニアティス
→コンスタンティノス・カツラニス(78分)
コスタス・マノラス
バシレイオス・トロシディス
ソクラティス・パパスタソプロス
ホセ・ホレバス
MF
ゲオルギオス・カラグニス
ラザロス・フリストドゥロプーロス
アンドレアス・サマリス
→コスタス・ミトログル(58分)
FW
ゲオルギオス・サマラス
FW
ディミトリス・サルピンギディス
→テオファニス・ゲカス(69分)