公式戦のチケットではない。ゲットしたとしても当たるか当たらないか分からない抽選券である。それを求めて5万人のファンが殺到したというのだから驚きだ。

 

 さらに2月25日、マツダスタジアム付近は抽選権を求めるファンで埋まり、交通がマヒする事態に発展した。スポニチ紙(2月26日付)によると、<昨年は先着順で整理券を配布したが、発売直後に転売が横行したため今年は初めて抽選を導入した>とのことだが、結果的には、これが裏目に出てしまった格好だ。

 

 旧市民球場時代の後半にはガラガラだったスタンドが、09年にマツダスタジアムに移転してからというのも、立錐の余地もないほどの盛況ぶりだ。

 

 セ・リーグで最もチケットがとれない球場は巨人の本拠地・東京ドームでもなければ、阪神の本拠地・甲子園球場でもない。マツダスタジアムなのである。

 

 ヒトが集まればモノも売れる。かつては3億円にも充たなかったオリジナルグッズの売り上げは、2014年=25億円、15年=35億円、16年=53億円、17年=60億円と右肩上がりで推移し、今では入場料と並ぶ収入の大きな柱となっている。

 

 カープの総売り上げが180億円だから、そのうちの3分の1がオリジナルグッズが占めている計算になる。

 

 松田元オーナーはマツダスタジアムのビジネスモデルをディズニーランドに求めている。「ディズニーショー」ならぬ「カープショー」を楽しむためにはユニホームはもちろんタオルマフラーやリストバンド、帽子、メガホンなど観戦用の小道具が欠かせない。オリジナルグッズも野球の質同様、毎年、進化しなければファンに飽きられる。さて今季はどんな新商品が人気をさらうのだろうか。

 

(このコーナーは二宮清純が第1週木曜、書籍編集者・上田哲之さんが第2週木曜、フリーライター西本恵さんが第3週木曜を担当します)


◎バックナンバーはこちらから