埼玉武蔵ヒートベアーズを率いて2年目、選手時代も含めればチーム創設以来、埼玉武蔵のユニホームを着て戦っています。ここまで優勝とは無縁ですが、なんとかチームの土台を作り、そして勝てるチームにするために今季もチーム一丸となって頑張っていこうと思っています。

 

 野手・投手両目線から打撃指導

 チームでは昨秋に初めてキャンプを張りました。オフの間も体を動かすことを意識付けできたのか、キャンプ後も選手はしっかりと体作りに取り組んでくれていたようです。2月の合同自主トレで久しぶりに選手たちを見ましたが、いい感じで動けていましたね。監督としてチームが進化している手応えを感じました。

 

 監督として2年目の今季、目標は昨季と変わらずに「勝ちぐせをつけること」です。チームができてから初年度15年前期の2位が最高で、あとは3位、4位、5位に終わっています。チーム全体、球団フロントも含めた全体に負け慣れしている雰囲気がある、これが監督を引き受けたときの印象でした。それをとにかく払拭していきたいですね。「勝つチーム」に立て直すには2、3年必要でしょうが、辛抱強く取り組んでいきます。

 

 選手たちにいつも言っているのは、アマチュアではなくプロ選手であるということ。一社会人としてきちんとすること。そして何があったとしてもグラウンドには気持ちを切り替え、リフレッシュして来ることです。

 

 今季、埼玉武蔵の選手層を見ると高卒から1、2年のフレッシュな選手と、そこから年齢の離れたベテラン勢という構成です。中間層がいない分、年齢差もあってピリッとした雰囲気のチーム作りができそうです。

 

 今季は片山博視投手兼任コーチがヘッドコーチを務めます。守備と走塁は私が担当し、投手に関しては片山コーチに全任します。そしてバッティングに関しては私と片山コーチの両方で情報を共有しながら指導していきます。私は野手出身としてバッター目線からのアドバイスをして、片山コーチはピッチャー側からの視点でアドバイスします。しかも片山コーチはNPB時代に対戦した打者の情報もあるので、そうしたバッター、ピッチャー両方の心理状態なども教えられるでしょう。守備と走塁に関してはキチンとやってもらうのは当然ですが、バッティングは型にハメることなく選手の個性を伸ばしていく方向です。そのために野手・投手両方の視点でアドバイスすることはとても有益だと考えています。

 

 今季、注目してほしい選手としては加藤壮太です。身長188センチ、体重89キロの大型外野手で、足が速く守備もいい。課題はバッティングでしたが、高卒3年目を迎える今季、キャンプ、合同自主トレを通じて打撃開眼の光明が見えてきた印象です。ファンの方、スカウトも含めてうちのセンター加藤にぜひ注目してみてください。

 

 チームとしては末永凌がキャプテンとして今季も引っ張ってくれるでしょう。彼は守備、走塁の意識が高く、さらにグラウンドでも周りが見えている。ベンチが何を求めているかを瞬時に感じとって、ピッチャーに声をかけたり、ときには間をとったりとフィールドでのインサイドワークに長けています。野球IQの高い選手なのでベンチとしても非常に信頼しています。

 

 今季はNPB出身選手もいて、外国人の補強にも力を入れています。球団をあげて初優勝を狙います。地元の埼玉は17年に夏の甲子園で花咲徳栄高が優勝し、18年は埼玉西武がパ・リーグ優勝。さらに熊谷市の立正大が神宮大会を制覇しました。埼玉のチームとしては、この流れに乗らないわけにはいきません。

 

 初優勝、そして独立リーグ日本一を目指して進化する埼玉武蔵への応援をよろしくお願いします。

 

<角晃多(すみ・こうた)プロフィール>埼玉武蔵ヒートベアーズ監督
1991年1月13日、神奈川県出身。東海大相模中から同高野球部へ進み、4番として活躍した。甲子園出場は果たせなかったが高校通算36本塁打をマーク。卒業後、08年秋のドラフト会議で千葉ロッテから育成3位指名を受けて入団。プロ入り3年目の11年、育成選手として初の月間MVP(3・4月)を受賞。翌12年に支配下選手として登録。14年オフ、戦力外通告を受け、15年にBCリーグ武蔵(当時)へ入団。シーズン途中からキャプテンに就任し、15年ベストナイン受賞。16年、野手コーチ補佐、17年限りで現役を引退し、翌18年から監督に就任した。


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