熱戦が繰り広げられているFIFAワールドカップブラジル大会も、5日(日本時間)からベスト8の戦いに突入する。8強に名を連ねたにはブラジル、コロンビア、フランス、ドイツ、オランダ、コスタリカ、アルゼンチン、ベルギー。奇しくも、すべてグループリーグを首位通過した国である。フランス―ドイツは欧州大陸でライバル関係にあり、ともにW杯優勝経験があるチーム同士の一戦だ。南米勢の激突となるブラジル―コロンビア戦では、“背番号10対決”が注目される。ブラジルのFWネイマールとコロンビアのMFハメス・ロドリゲスだ。ともに22歳であり、今大会もチームを勝利に導く活躍を見せている。

【フランス×ドイツ】

 フランスは攻守にバランスのとれた戦いで2大会ぶりのベスト8に進出した。GLを含めた4試合での成績は得点10、失点2。攻撃面では3ゴールのFWカリム・ベンゼマを筆頭に、6人の選手がゴールを記録している。2列目より前線の選手が万遍なく得点できている事実は、ドイツの守備陣に的を絞らせづらくしていることだろう。守備ではGLのスイス戦で2失点した以外はクリーンシート(零封)を達成。高さ、強さ、速さを兼ね備えた最終ラインが攻撃を跳ね返し、中盤の3選手がルーズボールを拾う。“レ・ブルー”の完成度は、大会が進むにつれて高まっている。

 対するドイツは、優勝候補と目されながらも、苦しい戦いが続いている。「死の組」を突破して迎えた決勝トーナメント1回戦では、アルジェリアと120分の死闘を演じ、ベスト8への切符を手にした。4試合で9ゴールの攻撃力は目を見張るものの、アルジェリア戦では幾度もDFラインの裏を突かれるなど守備面で脆さを露呈した。GKマヌエル・ノイアーの的確な飛び出しでピンチを防いだものの、次の相手は決定力の高いフランス。ピンチは失点に直結する確率が高い。守備でフランスの攻撃をしっかりと防ぎきれなければ、自慢の攻撃陣も安定しない。ここに来てチーム内でインフルエンザが流行しつつあるという報道もあり、コンディションをどこまで整えられるかも、ベスト4進出のポイントだ。

【ブラジル×コロンビア】

 ネイマール擁するブラジルは、ベスト16でチリとPK戦にまでもつれ込む激闘を制した。ネイマールはPK戦で5人目のキッカーを務め、勝利した後は涙を流すなど、優勝が絶対ノルマというセレソンが背負うプレッシャーの大きさをのぞかせた。チリ戦で左太ももと右足首を負傷したが、コロンビア戦には出場できる模様。4得点を挙げているエースを欠けば、ブラジルの戦力低下は免れないだけに、ネイマールの出場はベスト4へ向けて明るい材料といえる。しかし、ベストコンディションではない以上、FWフッキやFWフレッジといったネイマール以外のアタッカーの奮起が欠かせない。早い時間帯でリードを奪えば、圧倒的な声援を背に、優位に試合を進められるだろう。

 コロンビアは今大会4戦全勝で同国初のベスト8へと辿り着いた。総得点11、総失点2というバランスのとれた戦いで、さらなる高みを目指す。中心選手であるロドリゲスは、ここまで得点ランキング単独トップの5ゴール、2アシストの大活躍。ベスト16のウルグアイ戦では、1ゴール目に胸トラップから豪快に左足ボレーで叩き込むというスーパーゴールで世界のサッカーファンの度肝を抜いた。シュート、パス、ドリブルの全てが高水準で、周囲を生かす術も備えている。ロドリゲスが、ブラジルの背番号10よりも輝きを放った時、コロンビアがベスト4に近付いているのは間違いない。

(鈴木友多)