準々決勝2日目は、アルゼンチン―ベルギー、オランダ―コスタリカのカードが行われる。アルゼンチンとベルギーの一戦では、FWリオネル・メッシの個人技に、指揮官の采配が光るベルギーの組織がどう対応するか。オランダ―コスタリカ戦は、旋風を巻き起こしているコスタリカが、優勝候補・オランダをも打ち破るかに注目が集まる。

【アルゼンチン×ベルギー】

 アルゼンチンは延長にもつれ込んだベスト16のスイス戦で、延長後半13分にMFアンヘル・ディ・マリアの決勝点で3大会連続のベスト8を決めた。ディ・マリアのゴールをアシストしたのがメッシだった。中盤でボールを受けるとドリブルで中央を突破し、奪いにきたDFをかわしてからディ・マリアへのスルーパスを通した。運動量の少なさを指摘されることも多いメッシ。しかし、勝負どころでの鋭さは、チームの大きな武器だ。また、メッシがボールを持った時に彼にマークが集中すれば、他の選手への警戒が薄くなる。その典型がスイス戦でのディ・マリアのゴールだ。周囲がメッシを生かし、メッシも周囲を生かす。“戦術メッシ”で、アルゼンチンは6大会ぶりのベスト4進出を果たせるか。

 対するベルギーも米国との延長戦を制して、28年ぶりにベスト8進出を果たした。ベルギーで注目されているのが、マルク・ビルモッツ監督の采配だ。途中交代で起用した選手が活躍し、勝利に貢献している。米国戦でも、延長前半開始から投入されたFWロメル・ルカクが先制点を演出し、追加点も決めた。チームがゴールを奪った後に、ビルモッツ監督が飛び跳ねて喜ぶ姿は今や大会の目玉といっていい。果たして、“ビルモッツ・マジック”はアルゼンチン戦でも効果を発揮するか。

【オランダ×コスタリカ】

 コスタリカは今大会の台風の目となっている。「死の組」を突破し、ベスト16ではギリシャとのPK戦にまでもつれ込んだ死闘をモノにした。ベスト8は同国初の快挙。ここからは未知の世界となる。オランダ戦では、押し込まれる時間帯が長くなることが予想される。しかし、劣勢を耐えしのげば、十八番のカウンターでゴールを奪うことは十分に可能だ。ポイントはボールを奪った後の守から攻への切り替え。オランダが攻めた後にできるであろうサイドのスペースをうまく突き、一気にゴールまで向かいたい。

 オランダはベスト16のメキシコ戦で、1点ビハインドで迎えた後半43分に追いつき、アディショナルタイムで逆転するという劇的勝利を収めた。延長戦、PK戦を戦ったチームが多い中、90分間で決着をつけられたことは、コンディショニングで有利に働くはずだ。ともに3ゴールのFWアリエン・ロッベン、FWロビン・ファンペルシーの強力アタッカー陣を抑え込めるチームはそうはいない。ベンチにもFWクラース・ヤン・フンテラールらが控えており、攻撃陣に不安は見当たらない。一方で、ボランチのMFナイジェル・デ・ヨングが負傷で欠場が濃厚。穴埋めにはサイドバックのDFダレイ・ブリントが起用される見込みだ。メキシコ戦ではボランチと最終ラインの間にできたスペースを突かれて失点しただけに、コスタリカ戦では中央の連係を高めて修正したいところだ。

(鈴木友多)