5日(日本時間)、FIFAワールドカップブラジル大会の準々決勝で、ブラジルがコロンビアを2−1で下し、3大会ぶりのベスト4進出を決めた。ブラジルは前半7分、DFチアゴ・シウバのゴールで先制。リードして試合を折り返すと、後半24分にはDFダビド・ルイスの直接FK弾で点差を広げた。後半35分、MFハメス・ロドリゲスにPKで1点を返され、終盤も押し込まれたものの、逃げ切った。ブラジルは準決勝でドイツと対戦する。

 ルイス、鮮やか無回転FK弾(フォルタレーザ)
ブラジル 2−1 コロンビア
【得点】
[ブ] チアゴ・シウバ(7分)、ダビド・ルイス(69分)
[コ] ハメス・ロドリゲス(80分)

 セットプレーからの2発で勝負を決めた。チアゴ・シウバの先制ゴール、そして、貴重な追加点となったダビド・シルバのFK弾。CBでコンビを組む2人が、攻守でチームを支えた。

 試合はいきなり動いた。前半7分、セレソンのキャプテンが先制点を奪ったのだ。ネイマールの左CKがファーサイドへ流れると、待ち構えていたのはチアゴ・シウバ。相手DFの前にうまく体を入れて、左足で押し込んだ。
 勢いに乗るブラジルは20分にもチャンスを迎えた。FWフッキがPA内から左足で狙ったが、これはGKダビド・オスピナに弾かれる。こぼれ球をMFオスカルが右足でミドルシュートで追撃したものの、再びオスピナにセーブされた。リードを広げたかったところだが、ブラジルは主導権を握ったまま、試合を折り返した。

 後半、勝利に近付くセレソンにアクシデントが起こった。19分に、チアゴ・シウバがボールを蹴ろうとしていたオスピナにチャージしたとしてイエローカードを受けた。チアゴ・シウバは累積2枚目の警告で、次戦出場停止。セレソンは勝ち抜いても、キャプテンで守備の要を欠いて準決勝を戦わなくてはならなくなった。ルイス・フェリペ・スコラーリ監督もチアゴ・シウバの警告に頭を抱えた。

 それでも、ブラジルは24分に追加点を奪った。ゴール正面、約35メートルの位置で得たFKに、キッカーはダビド・ルイス。右足インサイドで押し出すように蹴ったボールは、無回転で揺れながらゴール右上へ吸い込まれた。ダビド・ルイスは巨体を揺らしながらサポーターの下へ駆け寄ってゴールを喜んだ。

 勝利に大きく前進したブラジルだが、33分、今大会で台頭した新星、MFハメス・ロドリゲスに反撃を許した。PA手前でボールを受けたロドリゲスから、PA内のFWカルロス・バッカに通され、止めにいったGKジュリオ・セーザルがファールをとられた。このPKをロドリゲスにゴール左へ流し込まれた。ブラジルは残り約10分で1点差に詰め寄られた。

 ここから試合は激しさを増し、ブラジルは攻勢を強めるコロンビアに押し込まれた。しかし、チアゴ・シウバ、ダビド・ルイスを中心にしっかりと守備組織を築き、攻撃を跳ね返す。交代でうまく時間を使い、確実に準決勝進出へと向かっていった。

 ところが、である。43分、ブラジルに悲劇が襲った。ネイマールが自陣でハイボールをトラップしようとした際、背後からDFフアン・スニガにチャージを受けた。この時、スニガのヒザがネイマールの背中を強打。ネイマールは顔をゆがめてピッチに倒れ込み、立ち上がることなく、担架でピッチを後にした。この時点では、誰もがエースが軽傷であることを願ったに違いない。しかし、ブラジルが準決勝進出を決めた後に飛び込んできた知らせは、「脊椎骨折」。全治まで数週間を要すると診断され、ネイマールは残る2試合(準決勝、決勝または3位決定戦)への出場が絶望となった。

 準決勝は優勝候補のドイツと対戦する。そのなかで、チーム最多4ゴールを挙げている背番号10の離脱はあまりにも痛い。さらに、ドイツ戦はチアゴ・シウバも出場停止。優勝へ一歩前進したブラジルだが、そこへの道のりは、頂上を前にして一気に険しくなった。

(鈴木友多)

【ブラジル】
GK
ジュリオ・セーザル
DF
チアゴ・シウバ
ダビド・ルイス
マルセロ
マイコン
MF
フェルナンジーニョ
パウリーニョ
→エルナネス(86分)
オスカル
FW
フッキ
→ラミレス(83分)
フレッジ
ネイマール
→エンリケ(88分)

【コロンビア】
GK
ダビド・オスピナ
DF
クリスティアン・サパタ
マリオ・ジェペス
パブロ・アルメロ
ファン・スニガ
MF
カルロス・サンチェス
ハメス・ロドリゲス
ファン・クアドラード
→フアン・フェルナンド・キンテーロ(80分)
フレディ・グアリン
FW
テオフィロ・グティエレス
→カルロス・バッカ(70分)
ビクトル・イバルボ
→アドリアン・ラモス(46分)