(写真:初代女王に輝いた日本生命のメンバー ©T.LEAGUE)

 17日、卓球のnojima T.LEAGUEプレーオフファイナルが東京・両国国技館で行われた。女子はレギュラーシーズン2位の日本生命レッドウルフが同1位の木下アビエル神奈川を3対2で破った。男子はレギュラーシーズン1位の木下マイスター東京が同2位の岡山リベッツを3対1で下した。MVPは女子がシーズン無敗の早田ひな(日本生命)が選ばれた。男子はシングルスとダブルスで通算22勝を挙げた水谷隼(KM東京)が受賞した。

 

 日本生命が早田の活躍でKA神奈川との熱戦を下し、初代T.LEAGUE女王に輝いた。

 

 1stマッチのダブルスはチャン・チェンチェンとジャン・ホイの中国ペアを起用。石川佳純、木原美悠で組むKM神奈川をファイナルゲームの末に破った。村上恭和監督は「オーダーを見た時にダブルスを取った方が優位だと思っていた」と振り返る。幸先良く先手を取った。

 

 2ndマッチは世界ランキング9位の平野美宇で勢いをつけたかったが、同13位のドゥ・ホイカン(香港)にファイナルゲームの末に敗れた。得意の高速ラリーで相手を苦しめたものの、あと一歩届かなかった。

 

(写真:急成長を遂げ、後期MVPに続きシーズンMVPを受賞した早田 ©T.LEAGUE)

 この日のヒロインは3rdマッチに登場した。レギュラーシーズン11戦全勝と無敗を誇った早田だ。同シングルス14勝4敗のエン・シュエジャオ(中国)を相手に大熱戦を繰り広げる。11-8、9-11、11-9、3-11でファイナルゲームを迎えた。

 

 T.LEAGUEの特別ルールで6-6からスタートするファイナルゲーム。相手に連続得点を許すなど、先にマッチポイントを奪われたが、粘りを見せた。デュースが続き、観客も息を飲む展開となった。最後は16-17の相手のマッチポイントから3連続得点で引っくり返した。早田は勝利が決まった瞬間、しゃがみ込むほど苦しい試合だった。

 

 王手をかけた日本生命に立ちはだかったのは、KA神奈川のエース石川佳純だ。世界ランキングはT.LEAGUE出場選手最高の4位でリーグ最多のシングルス16勝を挙げている。対する前田美優は同173位、シングルスは6勝。格上相手にアップセットを起こしたかったが、1-3で敗れてしまった。

 

 初代女王の座をかけた戦いはヴィクトリーマッチに持ち越された。日本生命は無敗の早田を起用。KA神奈川はエン・シュエジャオに3rdマッチのリベンジの機会を与えた。早田は「気持ちの勝負。3rdマッチのことは忘れて0-0の勝負だと思っていました」と臨んだ。

 

(写真:ヴィクトリーマッチで勝利が決まり、感極まる早田 ©T.LEAGUE)

 ヴィクトリーマッチは1ゲームのみの延長戦。早田は得意のフォアの強打が決まり、対するエン・シュエジャオもパワフルなスマッシュで対抗する。6-6の接戦、早田の返球がネットインするなど流れが傾きかけると、ここから早田が連続得点。10-6と王手をかけた。1点を返された後にタイムアウトを取った。

 

 一呼吸を入れた後、最後はエン・シュエジャオの返球がネットに阻まれた。早田は顔を両手で覆う。死闘を制した早田が2勝を挙げて日本生命を優勝に導いた。今季レギュラーシーズンと合わせて13戦無敗と、文句なしのシーズンMVPだ。

 

 KM神奈川のリュウ・エングン監督は「私たちにとって脅威だった」と舌を巻いた。日本生命の村上監督も「この1年大きく成長した」と称え、「サーブレシーブの技が増えた」と語る。重点的に練習を行っていたレシーブ力がアップしたことで、得意のフォアの強打が生きた。殊勲の早田は「出場すると決めた時から初代チャンピオンになりたいと思っていたのでうれしい」と喜んだ。

 

 昨年10月に両国国技館でスタートしたT.LEAGUE。開幕戦は5624人の観客を集めた。レギュラーシーズンの1試合平均は1186人。この日のファイナルは男女共に5000人を超える観客が詰め掛けた。松下浩二チェアマンは「今日のファイナルについては100点」と胸を張る。「選手がいいプレーをしてくれた。開幕戦と違いファンが増えた。いいかたちになってきてるのかなと思います」

 

 現場からの声も上々だ。石川は「たくさんの方に足を運んでいただき、ホームでもアウェイでもすごくいい雰囲気が試合をすることができました。自分自身も楽しかったですし、チームメイトも『楽しい』と言っていた。その中で強い相手と戦ってレベルアップに繋がった」と語った。日本リーグで30年以上指揮を執った村上監督が「日本リーグのファイナルは1000人ぐらいが最高。T.LEAGUEで大きく変わった」と口にすれば、中国出身のリュウ・エングン監督は「世界最高峰の中国スーパーリーグに次ぐリーグ」と評価した。

 

(写真:男子はレギュラーシーズントップのKM東京が制した ©T.LEAGUE)

 来季に向けて、松下チェアマンも意欲的だ。
「世界ナンバーワンのリーグを目指している。レベルの高い試合を創出させることが必要。いろいろな国々の選手が集まったリーグではありますが、オリンピックチャンピオンや世界チャンピオンが来ていない。そういった強い選手が入ってこそ、世界一強いリーグと言える。2シーズン目には参加してもらえるように交渉を続けたい」

 

 T.LEAGUEは「育成と地域密着」を理念として掲げている。

「まだ全然できていない。ゼロベースからスタートした。これから積み上げていって、達成していきたい。まだまだ目標のところは1割か2割しか達成できていない」(松下チェアマン)。“初場所”の千秋楽を終えたT.LEAGUEは更なる高みへと目指す。

 

(文/杉浦泰介)