10日(日本時間)、FIFAワールドカップブラジル大会の準決勝で、アルゼンチンがPK戦の末にオランダを下し、決勝進出を決めた。試合は互いにしっかりと守備組織を築き、なかなかシュートの場面が訪れない。緊迫した状況が続き、90分を終えてスコアレス。迎えた延長戦でもゴールは生まれず、PK戦に突入した。PK戦では、アルゼンチンのGKセルヒオ・ロメロがオランダの1人目DFロン・フラール、3人目MFウェズレイ・スナイデルをストップ。キッカー陣は4人全員が成功して、PKスコア4−2でオランダを下した。この結果、決勝カードはアルゼンチン―ドイツの対戦となった。

 守護神ロメロ、PK2本ストップ(サンパウロ)
オランダ 0−0 アルゼンチン
   (PK 2−

 前日のブラジル―ドイツ戦とは一転してスコアが120分を終えても動かない、まさに“がっぷり四つ”の戦いだった。

 戦前はFWリオネル・メッシとFWアリエン・ロッベンという両者のエースが、どちらがチャンスに絡むかが、試合の流れを左右するかに注目が集まった。しかし、メッシ、ロッベンともにボールを持つと、素早く複数人にプレスをかけられ、ゴールに向かうことができない。アルゼンチンとオランダの、相手エースに対する警戒心の高さが如実に表れていた。また、お互いにしっかりと陣形を保ち、ピッチ上にはスペースがほとんどない状態。結局、前半に決定機が訪れることはなく、シュート数もアルゼンチン3本、オランダ1本に留まった。

 後半もこう着状態が続いたが、中盤以降、互いにチャンスを迎えた。
 アルゼンチンは後半30分、MFエンソ・ペレスが右サイドでボールを受けると、ニアサイドへアーリークロス。これにFWゴンサロ・イグアインが右足を伸ばして合わせたが、シュートはゴール右外のサイドネットに外れた。

 対するオランダは後半アディショナルタイム、スナイデルがPA手前で受けた縦パスをワンタッチで前方へ。ロッベンが走り込み、PA内左から左足で狙ったが、シュートコースにスライディングしてきたMFハビエル・マスチェラーノにブロックされた。

 90分で決着がつかず、試合は延長戦へ。それまで2枚の交代カードを切っていた両チームベンチは、オランダが延長前半6分にFWロビン・ファンペルシーを下げてFWクラース・ヤン・フンテラールを投入。アルゼンチンも11分に、FWエゼキエル・ラベッシを下げてMFマキシ・ロドリゲスをピッチへ送り出した。すると、チャンスを迎えたのはアルゼンチン。延長後半12分、メッシが右サイドで仕掛けてからフワリとした浮き球のクロスを上げる。これにロドリゲスがファーサイドで右足ダイレクトで合わせた。だが、ジャストミートしなかったシュートは難なくGKにキャッチされた。勝負の行方はついにPK戦へともつれ込むことになった。

 先攻はオランダ。準々決勝でPK戦を経験していることが有利に働くかと思われたが、その時に1人目を務めたファンペルシーはすでに交代している。ルイス・ファン・ハール監督はフラールをトップバッターに指名した。フラールは右足でゴール右を狙ったが、コースが甘く、反応したロメロにセーブされた。

 一方でアルゼンチンは、1人目のメッシが確実にゴール左へ流し込み、1本目でリードを奪った。すると、守護神が再びビッグセーブを見せる。2人目が互いに成功して迎えた3人目、スナイデルのゴール左へのキックを、ロメロが横っ飛びで弾き出した。勝利をグッと引き寄せるセーブに、ロメロ自身も胸を叩きながら雄叫びを上げた。続くキッカーのFWセルヒオ・アグエロが成功し、アルゼンチンが2本のアドバンテージを得た。そして、4人目・ロドリゲスのシュートも決まり、PKスコア4−2で決勝進出を決めた。

 延長戦終了まで、流れはどちらにも傾かなかった。しかし、PK戦の1本目で、ロメロがフラールのキックを止めたことで初めて、流れはアルゼンチンに傾いた。また直後のキックを成功させたメッシもさすがだった。あの場面で失敗していれば、再び勝負の行方はわからなくなっただろう。

 アルゼンチンは英雄ディエゴ・マラドーナを擁した1990年イタリアW杯以来、24年ぶりのファイナルへと進む。対戦相手は、同大会の決勝で敗れたドイツ(当時は西ドイツ)。24年の時を経て、果たしてアルゼンチンはリベンジを達成できるか。

(鈴木友多)

【オランダ】
GK
ヤスパー・シレッセン
DF
ロン・フラール
ステファン・デ・フライ
ブルーノ・マルティンス・インディ
→ダリル・ヤンマート(46分)
ダレイ・ブリント
MF
ディルク・カイト
ナイジェル・デ・ヨング
→ヨルディ・クラーシ(62分)
ウェズレイ・スナイデル
ジョルジニオ・ワイナルドゥム
FW
ロビン・ファン・ペルシー
→クラース・ヤン・フンテラール(96分)
アリエン・ロッベン

【アルゼンチン】
GK
セルヒオ・ロメロ
DF
エセキエル・ガライ
パブロ・サバレタ
マルティン・デミチェリス
マルコス・ロホ
MF
ルーカス・ビリア
エンソ・ペレス
→ロドリゴ・パラシオ(81分)
ハビエル・マスチェラーノ
FW
ゴンサロ・イグアイン
→セルヒオ・アグエロ(82分)
リオネル・メッシ
エゼキエル・ラベッシ
→マキシ・ロドリゲス(101分)