「マツダオールスターゲーム2014」第2戦が19日、甲子園で行われ、全パが12−6で大勝した。第1戦は無得点に終わった全パは、初回に糸井嘉男(オリックス)のタイムリーとウィリー・モー・ペーニャ(オリックス)の3ランで4点を先制。1、3回に1点ずつ返されたが、4、5回に連続得点し突き放す。一時は全セに2点差まで迫られたが6回に柳田悠岐(福岡ソフトバンク)の2ランなどで3点を追加した。続く7回にも3点を加えた勝負を決めた。通算成績は全パの80勝75敗10分け。MVPには4安打3打点に加え、1盗塁と好守も見せた柳田が選ばれた。

◇第2戦
 大谷、球宴最速の162キロをマーク(甲子園)
全パ   12 = 400113300
全セ    6 = 101020110
勝利投手 大谷(1勝0敗)
敗戦投手 藤浪(0勝1敗)
本塁打  (パ)ペーニャ1号3ラン、柳田1号2ラン
       (セ)山田1号ソロ、坂本1号ソロ、堂林1号ソロ
 全パが18安打12得点と打線が爆発し、前日に完封負けした鬱憤を晴らした。

 藤浪晋太郎(阪神)と大谷翔平(北海道日本ハム)の投げ合いからスタートした球宴第2戦。高校生の頃から比較されてきた同学年対決は、まず先にマウンドへ上がった藤浪が見せた。所属球団の本拠地・甲子園。藤浪が「目指すべき場所から職場となった」という球場で、初球を153キロのストレートで観客を沸かせると、そこから154、156、155キロと150キロ超を連発した。

 しかし、球速だけでは抑えられないのがプロの世界。全パの1番・柳田には6球目の152キロの直球をレフトに弾き返された。2番・大引啓次(日本ハム)の場面では、柳田に初球スチールを決められ、得点圏にランナーを置くピンチとなった。大引はライトフライに抑えたものの、糸井には二遊間を破るヒットを打たれ、先制点を許した。2死となった後も四球でランナーをためると、ペーニャに150キロ台の直球を一振りで決められた。打った瞬間にそれとわかる当たりは、レフトスタンド上段に飛び込む3ランホームラン。打たれた藤浪も「今まで打たれた中で一番大きい。逆に気持ちが良かった」と、苦笑いした一撃だった。

 4点のリードをもらった大谷は中2日の登板となるため、1イニング限定とされていた。同学年のライバルが直球勝負で挑んでいったのを目の当たりにしてだけに、それに触発されないわけはなかった。「そのための準備はしていた」とブルペンから真っ直ぐを投げ込んでいたという大谷。藤浪に負けじと真っ向勝負で臨んだ。

 1番・鳥谷敬(阪神)に対し、「真ん中しか狙っていなかった」という初球を真っすぐで161キロ。球場をどよめかせると、2球目はバットに当てられるも162キロを計測。オールスター史上最速を叩き出した。藤浪が150キロを連発すれば、大谷は160キロを超えるストレートを伊藤光(オリックス)のキャッチャーミット目がけて投げ込み、甲子園に詰めかけた野球ファンたちを大いに沸かせた。

 だが大谷はマット・マートン(阪神)にタイムリーを浴びるなど1回を3安打1失点。それでも5番・阿部慎之助(巨人)との初球でも162キロを計測し、投じた23球中12球が160キロ台という圧巻のピッチングだった。

 全パの2番手は球界ナンバーワン投手との呼び声が高い金子千尋(オリックス)だ。金子は多彩な変化球をテンポよく投げ込んだ。トニ・ブランコ(横浜DeNA)、雄平(東京ヤクルト)、村田修一(巨人)に的を絞らせず、三者凡退で切って取った。速球で押した20歳の若手右腕とは違った巧みな投球術で魅せた。

 全パは3回裏に3番手・則本昂大(東北楽天)が山田哲人(ヤクルト)に一発を浴びると、4回にはブランコを二塁に置いて、村田にセンター前へ弾き返された。打球を捕った柳田は強肩で鳴らす中堅手。矢のようなバックホームでランナーを刺した。柳田の好守で相手に行きかけた流れを断ち切った。

 4、5回に1点ずつを加えた全パは、5回裏に全セに2点を返され再び2点差となった。6回表、全セの4番手・山井大介(中日)を捉えた。先頭の今宮健太(ソフトバンク)がツーベースで出塁すると、代打で登場した中田翔(日本ハム)があわやホームランという当たりの二塁打で1点を加えた。1死後、打席には柳田。第1打席は左に、第2打席は右にとヒットを放っていた。左右に打ち分ける器用なところもアピールしたが、本来はフルスイングが持ち味のスラッガー。3球目、山井が投じた低めの直球をフルスイングした。「芯に当たってくれました」と振り返った打球は、弾丸ライナーでセンターバックスクリーンに突き刺さった。

 柳田の豪快な一発で勢いに乗った全パは、7回表にも3本の適時打で3点を追加し、勝負を決めた。全セも7回に坂本勇人(巨人)、8回には堂林翔太(広島)からアーチが生まれたが単発のみ。両軍2ケタ安打を記録した打撃戦だったが、効率よく得点を重ねた全パが12−6と大勝した。