シカゴ・カブスの和田毅が29日、本拠地でのコロラド・ロッキーズ戦に先発し、7回5安打1失点で待望のメジャーリーグ初勝利をあげた。和田は9日にメジャー初登板初先発を果たし、この日が3試合目の先発。初回を三者連続三振に仕留める絶好の立ち上がりをみせると、ロッキーズ打線を6回に失った1点のみに抑えた。試合はカブスが4−1で勝利した。
 崖っぷちからの1勝だ。
 左ヒジ手術を受け、渡米3年目でようやくメジャー昇格を果たした和田は、初登板こそ5回5安打1失点と試合をつくったものの、24日のサンディエゴ・パドレス戦では5回途中5安打4四球と乱調で5点を奪われて敗戦投手になっていた。カブスはナショナルリーグ中地区最下位に低迷中で、既に来季を見据えたチームづくりに着手している。生き残りには連続の失敗は許されないマウンドだった。

 相手のロッキーズはナ・リーグ西地区最下位ながら、チーム打率.282、チーム本塁打123本はリーグトップ。強力打線を相手に和田は丁寧なピッチングをみせる。初回、先頭のチャーリー・ブラックモン、D.J.ルマイユ、カルロス・ゴンザレスをいずれも三振に切って取り、4回まで1安打に抑え込む。

 味方が2点を先制した直後の5回には1死二塁のピンチを背負いながら、後続を断ち、スコアボードに0を連ねていく。6回は連打で一、三塁とされ、2死後、4番のノーラン・アレナドにセンター前へタイムリーを浴びて1点を失ったが、続くウィリン・ロサリオをショートゴロに打ち取り、最少失点で切り抜けた。

 7回は先頭打者に、この日初めて四球を与えるも、ベン・ポールセンを併殺網にひっかけて3人で攻撃を終わらせる。8回もマウンドに上がった和田だが先頭打者に代打が出たところで降板となった。カブスは8回に2点を追加し、継投でロッキーズに反撃を許さなかった。

<ダルビッシュ、野茂以来の3年連続2ケタ>

 テキサス・レンジャーズのダルビッシュ有は、本拠地のニューヨーク・ヤンキース戦で先発し、7回9安打2失点で10勝目(6敗)をあげた。ダルビッシュはメジャー移籍以降、3年連続の2ケタ勝利で、日本人では野茂英雄以来2人目の記録となった。

 毎回のように走者を背負いながら、粘って逆転勝ちを呼び込んだ。
 ダルビッシュは3回、5回とブレット・ガードナーに2打席連続で一発を浴び、2点の先行を許す。だが、4回の一、二塁のピンチでは8番のイチローをセカンドゴロに打ち取るなど要所を締める。

 するとレンジャーズは5回、打者一巡の攻撃で4点を奪って逆転に成功。直後の6回にはこの試合、初の三者凡退に抑えて、流れを相手に渡さない。7回には2死から、ガードナー、デレク・ジーターに連打を許したが、3番ブライアン・マキャンのバットに空を切らせ、リードを保って8回以降はリリーフ陣にマウンドを託した。

 今季のレンジャーズは借金22を抱え、アメリカンリーグ西地区最下位に沈む。チームが地区優勝争いを展開していたメジャー1年目、2年目とは異なり、先発陣ではダルビッシュが孤軍奮闘している状況だ。その中での2ケタ勝利だけに過去2年とは異なる価値がある。