茨城アストロプラネッツの上杉泰賀です。4月9日の埼玉武蔵戦でチーム第1号ホームランを放ちました。ホームランバッターではないのですが、新チームの記念すべき一打を打てたことはとても誇らしく思います。この1本で少しでも「上杉泰賀」の名を知ってもらえたら嬉しいですね。

 

 常に全力プレー

 チーム1号ホームランは狙っていたわけではありません。あのときは初回、先頭バッターとして打席に入り、「ファーストストライクが来たら振ろう」と。それでツーボールからストライクが来たので思い切って振ったら、ライトスタンドに入りました。手応え十分、会心の当たりでした。

 

 茨城に入団したのは、高校を卒業して3年間、クラブチームで野球を続けてきて、そろそろ「野球にケジメをつけよう」と考えたからです。アルバイトをしながらクラブチームに所属していたので、そのまま続けても親に心配や迷惑をかけることになる。それでトライアウトを受けてダメだったら、野球をすっぱり辞めようと。結果、トライアウトに合格して、茨城に入団することができました。ひとつステップをクリアして、次はNPBという夢に向かっています。

 

 BCリーグに入って感じたのはピッチャーの投げる球のスピード、キレ、コントロールの良さです。また守っていてもレベルの高さを感じますね。バッターは選球眼が良くて、甘いボールは見逃さない。しかも飛んでくる打球が強くて、速いことにも驚きました。

 

 今、3割5分以上の打率を残していますが、これはたまたまだと思っています。苦手な左ピッチャー対策などやるべきことはたくさんありますが、打席では考えないように無心でバットを振っています。それよりも、課題は守備ですね。

 

 ショートを守るのは生まれて初めてのことで、サードとの違いに最初は戸惑いました。前後左右の動きが多く、そして中継やサインプレーなどやることも多い。今は坂克彦監督に「基本のき」から教えてもらってます。監督からは「とにかく前に出ろ、打球を見て足を止めないように」とアドバイスをもらい、またグラブの出し方もサード時代とは違うので、そのあたりも日々、トレーニングを積み自分のものにしている最中です。

 

 大変といえば大変ですが、でもレベルの高いところで野球ができる楽しさの方が強いですね。目標は打率3割以上と30盗塁。新しくできたチームでもこれだけの成績を残せば、NPBのスカウトにも注目されるんじゃないでしょうか。また「NPBが目標」というのを知っている小野瀬将紀コーチ兼主将からは、「上に行きたいんだったら一塁までの全力疾走。そしてアウトになったあとベンチに戻ってくるときも全力疾走。そしてベンチでの声出し。こういうところもスカウトは見ているぞ」と言われました。その教えを守り、今はとにかく全力で野球に取り組んでいます。

 

 小野瀬さんからは盗塁についても教わっていて、バッテリーの配球を読んで走ることを覚えました。カウントや状況を考えて盗塁を仕掛ける、こうしたことも茨城球団に来て初めてやるようになったことです。

 

 高3の夏、西東京大会一回戦で負けて、周りはそこで野球を辞めた人がほとんどですが、僕自身はその悔しさもあって野球を続けているのかなと思います。巧打と足が自分のアピールポイントなので、その長所をさらに伸ばしてNPBドラフトで名前を呼ばれるように頑張ります。チーム第1号ホームランの次はNPB入り第1号? うーん、そうなったら最高ですね。ファンの方々もどこでも全力疾走の僕のプレーを見に球場に来てください。応援よろしくお願いします。

 

<上杉泰賀(うえすぎ・たいが)プロフィール>茨城アストロプラネッツ
1998年3月25日、東京都出身。兄の影響で小学1年生から野球を始め、小学校時代のポジションはピッチャー。中学進学後、内野手に転向しサードを守った。府中工時代は4番サードでチームの主軸を務め、高3夏の西東京大会には好投手・鈴木達也を擁して臨んだものの、富士森高に延長の末に1-3で敗れた。高校卒業後はアルバイトをしながら地元の全府中野球倶楽部に所属。3年目にレギュラーとなり打率は5割を超した。その年にBCリーグのトライアウトを受け合格。新球団・茨城アストロプラネッツでは「生涯初」のショートを守る。右投左打、身長171センチ、体重72キロ。ここまで17試合に出場し打率3割6分9厘、チームのチャンスメイクを担っている。


◎バックナンバーはこちらから