北陸・信越から北関東、東北、近畿を地盤とする「ベースボールチャレンジリーグ(BCリーグ)」は、日本で最大のプロ野球独立リーグである。

 

 

 2007年に四国アイランドリーグ(現・四国アイランドリーグPlus)に続いて誕生した。今季は元阪神の西岡剛が栃木ゴールデンブレーブスに入団して話題を呼んだ。西岡は「僕はただの野球好きで、野球しかできない。NPB復帰が目標で、34歳になってもそんな夢を追いかけられることが嬉しい」と語っていた。

 

 BCリーグからは、これまでドラフトで41人のNPBプレーヤーが誕生している。内村賢介(元東北楽天など)、野原祐也(元阪神)、大村孟(東京ヤクルト)、笠井崇正(横浜DeNA)らが代表格だ。

 

 BCリーグの代表が、かつては広告代理店に勤めていた村山哲二である。

「BCリーグは野球を諦めきれない選手たちが集う場所。夢を叶える場所であると同時に、夢に区切りをつける場所でもある」

 

 プロ野球選手とはいっても、年俸は最高で250万円。生活するにはギリギリの金額だ。

 

 それでもトライアウトを受けに来る若者はあとを絶たない。それだけNPBには魅力があるということなのだろう。

 

「BCリーグのチームとは2軍監督時代に対戦しました。恵まれない環境の中で頑張るBCの選手たちは、阪神の2軍選手にとって見習うべき存在でした」

 

 そう語るのは元阪神2軍監督の掛布雅之だ。テスト生同然のドラフト6位入団から“ミスタータイガース”と呼ばれるまでになった掛布には、BCリーグでプレーする選手たちの気持ちが痛いほどわかるようだ。

 

 その掛布、この4月から始まったBCリーグ応援番組「Dreames~夢を追いかける男達~」(専用アプリにて視聴。毎週木曜20時~21時)に出演している。

 

 他にも田尾安志、川相昌弘、川口和久らの名前があがっている。

 

 掛布は続けた。

「今のドラフトは走攻守、三拍子揃った選手を求めすぎる。BCには荒削りだけどよく飛ばすヤツ、すごい球を投げるヤツ、めちゃくちゃ足が速いヤツ、そんな選手がいる予感がする。ワクワクする選手を見つけたい」

 

 この応援番組について村山は、目的をこう語っている。

「NPB球団の方から“BC出身の選手にはストーリーがある。全員がドラマを持っている。ファンが共感しやすんです”と褒められることがあります。

 

 BCには超一流、いわゆる野球エリートは少ない。一度、レールから外れた選手たちが再び表舞台に立つために汗を流している。そんな姿を見てもらいたいんです」

 

 かつて237もあった社会人野球の企業チームはリストラを進めた影響により96にまで減った。

 

 今では独立リーグはNPBの重要な選手供給源であるばかりか、地域の活性剤の役割も果たしている。もうひとつのプロ野球にも注目である。

 

<この原稿は2019年4月28日号『サンデー毎日』に掲載されたものです>

 


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