(写真:記者からの質疑に答える坂本専務理事<右>と福島BEYOND2019戦略室長)

 24日、日本ラグビーフットボール協会は2022年スタート予定の国際大会「ネーションズ・チャンピオンシップ」(NC)について、当初の提案通り12チームでの開催に向けて議論が進んでいることを報告した。現地時間22日にアイルランド・ダブリンで開催された国際統括団体ワールドラグビー(WR)のNC検討委員会に出席した坂本典幸専務理事は「日本の立場をクリアに表明できた。最終的な結論は出ていないが、前向きな議論ができた」と語った。

 
 NCは3部制を敷き、1部は欧州6カ国対抗(シックスネーションズ)と南半球4カ国対抗(ザ・ラグビー・チャンピオンシップ)の10チームに日本とフィジーの2チームを加えた計12チームで行われる予定だ。シックスネーションズのカンファレンスと、ザ・ラグビー・チャンピオンシップ(TRC)を主催するSANZAARのカンファレンスに分かれる。日本とフィジーはSANZAARのカンファレンスに加わり、上位が決勝戦を行う。
 
 大会新設が各協会に提案されたのは今年3月。スーパーラグビー(SR)のサンウルブズが2021年シーズン以降のSR除外が決まり、代表強化の場が失われようとしている。NCは日本にとって強豪国との対戦機会創出という点で是非とも実現させたいはずだ。
 
 ところが、一部で日本除外の可能性を報じられた。日本とフィジーを除く10チーム案が挙がっているというものだった。22日のWR理事会後に行われた検討委員会に出席し、帰国したばかりの坂本専務理事は状況をこう説明した。
「日本とフィジーが競争力が足りないということではない。ただ北と南が試合することで、移動が多くなり選手の負担が増えることを考慮して10チームで行う案も出てきた」
 

(写真:開幕までは4カ月を切った。坂本専務理事もW杯までには結論が出る見通しだという)

 ただ日本としても、指をくわえて事の成り行きを見守るわけにはいかない。検討委員会で主張を述べたという。
「アジアで初のW杯が開催され、ラグビーのマーケットが拡大するチャンス。ティア1だけでの大会ではWRのビジョンと相容れないと思います
 
 あくまで12チームベースで議論されるということだが、日本が参加する以前に、大会が成立するかも決まっていないのが実情だ。WRが提案した3部制における昇降格の有無については、坂本専務理事によれば、各協会で意見が分かれているという。「(NC成立にはシックスネーションズ、TRCの)10協会の承認が必要」。次回のNC検討委員会開催は未定である。
 
 もしNCが成立しなかった場合を考え、日本はTRCに加わることも視野にSANZAARと交渉を進めていく。
「今後は数カ月、各協会と話し合いを進めていきたい。ただ、いつまでという期限が示されたわけではない。先延ばしにはできない」(坂本専務理事)
 日本の政治力、交渉力が問われる数カ月間になりそうだ。
 
(文・写真/杉浦泰介)